民進党は4日夕、「加計学園疑惑調査チーム」(桜井充・今井雅人共同座長)の会合を国会内で開催。加計学園の獣医学部新設と同様、今年4月に国家戦略特別区域の特例措置での成田市の国際医療福祉大学医学部開設をめぐり、そのプロセスが非民主的で不透明な部分が多いとして、一般社団法人・全国医学部長病院長会議顧問の小川彰氏(岩手医科大学理事長・学長)から話を聞いた。

 国内では医師供給過剰による質の低下を懸念して、1979年の琉球大(沖縄県)以後、医学部新設はなく、文科省は2003年に医学部新設を禁ずる告示を出していたが、政府は15年7月31日、内閣府と文科省、厚労省の3省の合意として「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」を示し、同年11月12日に事業主の公募が行われた。この方針では、元々文科省と厚労省は反対だったことから「特別な大学、一般の臨床医の養成・確保を主たる目的とする既存の大学とは次元の異なる上記の目的に沿った際立った特徴を有する医学部とすること」と決めていた。

 会合終了後、桜井座長は記者団の取材に対して、内閣府の藤原審議官のメモに記載されていたように国際医療福祉大学の医学部開設をめぐっても政治的なやり取りがあったことを裏付けるものが出てきているのではないかと指摘。方針決定前の14年10月1日に開かれた「第1回東京圏国家戦略特別区域会議」の出席者名簿にすでに小泉一成・成田市長らとともに学校法人国際医療福祉大学の理事長の高木邦格氏の名前があることから、「この時点から成田市で、国家戦略特区を使って国際医療福祉大学部が医学部を新設できるようにしていこうとする計画が始まっており、加計学園のときと全く同じような構造だと思う。成田市の分科会では2014年12月17日、認可される前にすでに国際医療福祉大学の方が4人も出席され、国際医療福祉大学ありきで議論が始まっている。医学部の開設には医師会などでずっと反対の運動をやってきたが内閣府からも回答がないまま進められてきた」と問題視した。

 桜井座長は、自身が国会の質問で取り上げた際も「(国際医療福祉大学の医学部は)一般の大学とは違う」旨を明確に答弁していた(16年3月17日の参院予算委員会など)にもかかわらず、開学前の今年の3月27日に千葉県知事と国際医療福祉大学とが結んだ協定書には「千葉県内の医師の地域偏在や診療科偏在が解消するように次の取り組みを行うものとする」とあると指摘。「3省合意では『一般的な大学とは違うものを作る』とし、国会答弁でもその趣旨を主張しながら『一般的な医療、地域医療の貢献をする』としているのは、特区を使い医学部さえ作ればあとは野となれ山となれということだろう。加計学園の問題で『本当に創薬などライフサイエンス分野に従事する獣医師を育てるのか』と尋ねても、最後は『憲法で職業選択の自由があるからそこまで縛れない』と言うように、入り口のところはいろいろな理屈をつけているが結果的には一般の医学部、獣医学部を作るというのはまったく同じ。国家公務員法によって天下りをした人の名前があることも同じだ」と述べ、引き続き追及していくとした。

 次回については、3省合意に従って医学部が運営されていない実態が明らかになったことを受け、厚労省、文科省、内閣府から責任の所在や、今後の管理のあり方等について話を聞く考えを示した。