蓮舫代表は22日徳島県入りし、板野郡藍住町、阿波市で児童福祉施設の視察や農業者との意見交換、街頭演説などを行った。視察、農業者との意見交換には県連代表の仁木博文徳島1区総支部長、乾晴美元参院議員、同幹事長の庄野昌彦県議(徳島市)らが同行した(写真上は、「放課後等デイサービスいつもここから」でのレクリエーションの場で子どもたちとふれあう蓮舫代表と仁木総支部長)。

放課後等デイサービス事業所視察

 藍住町では、放課後等デイサービス事業所「放課後等デイサービスいつもここから」を視察。放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づき2012年度に始まった制度。対象は障害のある就学児童(6~18歳)で、家庭や学校とは違う居場所としての役割を事業所が担い、生活能力を向上させる訓練や社会との交流を図ることを目的としたもので、学校の授業終了後や長期休暇中に通うことができる。

説明を聴く蓮舫代表ら

  自閉症や発達障害の子どもらのデイサービスを行っている同施設では、(1)福祉の専門家との連携(2)医療の専門家との連携(3)教育との連携(4)プロアスリートとの協力――と、各分野の専門職とのつながりを大切にし、子どもたちのより一層の発達を支援。特に、スポーツが持つワーキングメモリ(作業記憶・作動記憶。情報を短時間保持し処理する力)を伸ばす機能に着目し、プロのアスリートを迎えサッカーやサーフィンを積極的に勧めている。こうしたスポーツ活動を通じて、コミュニケーション力の向上や学力の向上、精神的な安定といった効果を生んでいるという。今後は生涯にわたる支援を行っていきたいとして、住まいの提供や就労支援にも意欲を示している。

 理事長や事務局長をはじめとするスタッフ、子どもを施設に通わせる母親との意見交換では、現実と実態が合わない制度設計のなかでやりたくてもやれないサービスがある、行政とのやり取りのなかで意欲がそがれることがあるといった陳情、施設の対象が18歳までであるためその後の延長を希望する声などがあった。

 蓮舫代表は、現場の声に沿う形での制度設計に向け積極的にかかわっていきたいと表明。自身の病院から医療スタッフを派遣するなど連携をしている仁木総支部長も制度の遅れを指摘し、現場の声を政治に届けていくと約束した。

農業者らとの意見交換

 阿波市では、ブドウやホウレン草などの農業資材を生産、販売する農業者らと懇談。現場の声に耳を傾けた。

 意見交換の冒頭あいさつに立った仁木総支部長は、就農者の平均年齢が全国的に見て高いことや、耕地面積が小さい状況であるといった四国の農業の現状を踏まえると、自民党が進めようとする大規模型企業農業は必ずしも実態に合ったものではないと指摘。「政策は現場から生まれてくるものであり、現場から発する情報、生まれる政策こそがわが国にとって必要な政策だ。私たち民進党は現場をしっかり見据え、皆さんの声を聴き、そこから議論を重ね政策を作り上げていきたい」と述べ、現場からの率直な意見を寄せてほしいをと呼びかけた。

意見交換

 阿南市は自民党の三木武夫元総理の出身地であることにも触れ、「当時、田中角栄総理の金権政治に嫌気がさした国民の期待によってクリーンな三木総理が誕生した。今わが国では、お友達だけを優遇するような政治がはびこっているが、政治とは『信なくば立たず』。国民のための政治を皆さんと一緒に進めていきたい」と力を込めた。

 蓮舫代表は、子どもの頃に一番最初に覚えた総理大臣が三木元総理だったとして、「政治家にもクリーンな人がいるんだと思ったのを思い出した。その三木元総理のふるさとに来られたことを感謝する」とあいさつ。その上で、「安倍総理は日EU経済連携協定(EPU)を大枠合意したというが未だに国内農業への影響試算が出されていない。今の政権は『農業を大切にする』と言いながら、経済振興により重きを置いているように感じる」と指摘した。

 15日に九州北部豪雨災害の現地視察に訪れたことにも触れ、山の斜面の崩壊が森林の管理放棄による影響が大きいことから、高齢化率50%を超える中山間地域では、耕作放棄地の増加のみならず山のあり方についても考えるべきとの認識を表明。「激甚災害指定はされたが、現状復帰だけでも大変ななか今後も農業をやっていけるのか。こうした問題に真剣に向き合わなければいけない。私たちはこれまでもボトムアップで農業政策をつくってきた。ぜひお話を聴かせていただき、今後の政策づくりの糧にしていきたい」と述べた。

 農業者らからは、農業従事者の高齢化や後継者不足を指摘する声、「鳥獣被害がひどい。特にサルが増えて困っている」「補助金事業では、新規就農者だけではなく、今までやってきた人への支援も行ってほしい」「農地を増やしたいと思っても、いい農地が宅地化やソーラーパネルが設置されてしまったりしている。どうにかならないか」などと窮状を訴える声が上がった。

 蓮舫代表は、農地に支柱を組んでその上に太陽光パネルを設置することによって、太陽光発電と営農の両方を行う、ソーラーシェアリングを一案として紹介。民進党はこうした取り組みを推進していく考えを示すとともに、現場からの課題に対し党として取り組んでいく考えを示した。

ぶらさがり記者会見

ぶらさがり記者会見

ぶらさがり記者会見

 一連の日程を終え記者団の質問に応じた蓮舫代表は、「政府に届かない声が広がっている」と述べ、さまざまな形での障害を持っている子どもたちの居場所づくりについて、こうした子どもたちの親御さん、また子どもたちに居場所を提供したいという事業者にとって、切実な問題だと思うと述べた。

 農業関係者との意見交換については、「私たち(民主党政権)が導入した戸別所得補償制度がなくなることに対して、農家の声が届いていないという声があり、これは非常に重いと思った。今の政権は自分たちに近しい人の声しか聞いていないのではないか。だからこそ、私たちはこうした声を丁寧に聴いて、それを形にしていきたい」と述べた。

 24、25両日に開かれる衆参予算委員会に当たっては、森友学園問題や加計学園問題、南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に派遣された陸上自衛隊の日報問題をめぐり稲田防衛大臣自らが隠ぺいに関与したかどうかなどについて取り上げ、追及してく考えを示した。特に南スーダンのPKO部隊の日報隠ぺい問題に関しては、「(防衛監察本部による)特別防衛監察でいいのかという次元にきている。大臣の記憶は本当なのか、陸自からの報告を受けて『なかったことにしよう』と了承したのかどうなのか。特別防衛監察では、大臣は協力はするが基本的に調査対象ではなく、処罰の対象ではない。第三者の、外部による調査に切り替えるべきだ」と主張した。

阿波市内での街頭演説

阿波市内での街頭演説