党役員会見に関する基本的な方針について

野田佳彦幹事長記者会見

2017年8月7日(月)15時00分~15時25分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=fsy_1lfpuJo


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○九州北部豪雨から1ヵ月に当たって

【幹事長】
 先月の九州北部豪雨から1ヵ月が経過をいたしました。この災害で36名の皆様の尊い命が失われました。心からご冥福をお祈り申し上げたいと思います。現在でも約530人の方々が避難生活を余儀なくされています。被災された皆様にあらためてお見舞いを申し上げたいと思います。
 こうした中で台風5号が迫り、先月の豪雨で被災した地域も含めまして各地で避難指示・勧告が出されております。台風情報などに注意していただき、何よりもみずからの安全を優先していただけるようお願いしたいと思います。
 繰り返される災害からいかに国民の安全・生活を守るか、政治の大きな課題だと受け止めております。また、災害が発生した場合、高齢化・過疎化が進む地域でどのように復旧や復興や被災者の生活再建を図っていくかという課題も明らかになってまいりました。民進党としても、こうした課題に正面から取り組んでいきたいと思います。

○閉会中審査について

【幹事長】
 次に、閉会中審査についてですが、衆議院の安全保障委員会、そして参議院の外交防衛委員会の閉中審査について、与党が二転三転を重ねてきましたが、ようやく今週10日に開催することで決着する見込みとなりました。
 しかし、我々の求めている安倍総理・稲田元防衛大臣の出席を与党は現時点では拒否しています。先日の予算委員会閉中審査でも、安倍総理は殊勝な態度こそ見せてはおりましたが、本人自身が繰り返す「丁寧な説明」を実際の行動で示すという様子が全くないことは残念であります。
 森友問題でも財務省担当者と思われる音声録音が報道されました。また、2年も前に加計学園の担当者が国家戦略特区の政府ヒアリングに出席していたことも明らかになりました。説明を求める国民の声はさらに高まっていると思います。こうした国民の声に応えることが野党第1党の務めであり、新執行部発足までの間、現在の執行部で追及の手を緩めることなく、しっかりと取り組んでいきたいと思います。


■質疑

○江崎沖縄北方相発言について

【共同通信・野見山記者】
 内閣改造があったが、江崎鉄磨大臣が、(国会答弁については)役所のつくった文書を朗読するだけだとか、北方領土問題について私は素人だ、という発言をした。安倍総理は「仕事人内閣」だと言っているが、この江崎大臣の言葉、表現についてはどのように思われるか。

【幹事長】
 表現ももちろん問題があるのですが、もともと、最初は総理からの要請に対して、体力の問題を含めて断ったという報道を見ました。「仕事人内閣」というふれ込みではありますが、もともとやる気がない人なのではないでしょうか。
 私は同期当選です。私が日本新党で通った時に、江崎さんは当時の新生党で当選し、新進党でご一緒したことがありましたが、極めて正直な人だと思います。ですから、正直に断ったのだろうと思いますが、やる気が残念ながらないにもかかわらず、諸般の事情があるのでしょうけれども、閣僚を受けて、結果的には北方領土の問題については素人と言い、(役所の)原稿を棒読み(朗読)をすると言ってしまったということ。
 かつて、この種の表現をして、民主党政権では厳しい自民党の追及で辞めた閣僚もいました。追及されて辞めるよりは、もともとやる気がないのだったら早く辞められたほうがご自身のためになるのではないかなと思います。北方領土の問題に素人というのは、これはもう関係者はがっかりですしね。
 沖縄の問題だって、オスプレイがまたオーストラリアで墜落しました。この問題も大変重要な問題ですが、本当に沖縄に寄り添って仕事をすることができるのか、極めて疑問だと思います。
 かつて北海道・沖縄開発庁長官を務められた上原康助さんが逝去された報道にも接しましたが、上原先生ががっかりしているのではないでしょうか。そういうふうに私は思います。

○豪州での米軍機オスプレイ墜落事故について

【フリーランス・上出記者】
 オスプレイの事故だが、北海道で(日米共同訓練が)いよいよ始まるということで、かなり現地の方達も心配している。民進党としては、このオスプレイの問題についてはどのような行動をされるか。

【幹事長】
 まず、野田政権の時もオスプレイが2回事故を起こしました。その都度、安全性の審査をしっかりとやったのを見届けての判断をしました。そういうことがまだ全然ないのではないでしょうか。
 小野寺防衛大臣が(日本国内での飛行の)自粛要請をしたようですが、でも、もうきょう1機飛び立ったではないですか。というように、きちっと日本の言うことが伝わっていないというのは問題だと思いますので、まずは政府、関係者、それぞれがしっかりとアメリカに要請することが大事だと思います。

○閉会中審査での重要テーマについて

【NHK・山枡記者】
 冒頭で発言があった安全保障委員会などについてだが、総理・稲田元大臣が出席しない中という見通しではあるが、民進党としてこの機会をどのように活用していくか、どういうふうに攻めていくか伺いたい。

【幹事長】
 先ほど申し上げたように、例えば加計学園の問題でも、2年前の6月に加計学園の幹部が国家戦略特区のワーキンググループの会議に出席していたことがわかりましたよね。こんなことが今ごろわかるというのも、やはりずっと「加計隠し」をやってきたのではないかという、やはりこういう疑惑は大きいと思います。そういう疑惑をしっかりとただしていくということ。きょうの14時からも加計疑惑の調査チームが会議を開いておりましたが、そういう問題をやはりしっかりと木曜日の閉中審査では明らかにしていくことが大事だと思います。
 それから日報問題については、やはりずっと当事者だった稲田元大臣が出てきて説明するのが筋だと思います。かつて、田中眞紀子さんが外務大臣を辞められた時も、(辞任後に)参考人で国会招致をしました。その時、私、質問者を経験したことがあります。大臣を辞めたらもう終わりですという話ではないので、その要求もこれから引き続きしっかりやっていきながら、木曜日(10日の閉会中審査)に臨んでいきたいと思います。

○退位特例法 陛下の「おことば」から1年に当たって

【読売新聞・重松記者】
 陛下の「おことば」からあすで1年になる。特例法に深くかかわってこられた野田幹事長だけにさまざまなお気持ちがあるかと思うが、今どのような思いでいらっしゃるか。

【幹事長】
 特例法が成立し、その後、いわゆる具体的な施行をめぐっていろいろな準備が出てきています。その動きをこれからも、やはり法案に深く関わったという意味からも注視していきたいと思います。

○敵基地攻撃能力保有をめぐる議論について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 小野寺さんが防衛相になったことに伴い、北の核及びミサイル開発、特にICBMの実験成功を受けて、敵基地攻撃能力を自衛隊もそろそろ考えるべきではないかという話が出てきている。これについて民進党はどうお考えになっているか。当然議論の対象となる、本来そういうのを早く国会で議論すべきという意見も多いと思うが、この敵基地攻撃能力について議論することについて、どのようなお考えをお持ちか伺いたい。

【幹事長】
 小野寺防衛大臣がそういう提言をしていましたよね。ただ、今回は安倍総理自体は具体的にその検討をする必要性については言及していません。だから、政府内でどういうような議論になっていくかということは注目していきたいと思いますが、ミサイル防衛能力の向上については必要だと思います。ただし、敵基地攻撃まで議論するとなると、憲法上の問題も含めて、これは冷静な、丁寧な議論が必要になってくるだろうというのが我々の基本的な認識であります。

○現執行部体制を振り返って

【朝日新聞・又吉記者】
 代表選も近づいているところだが、蓮舫代表・野田幹事長体制でおよそ1年が経過した。その意義についてあらためてお言葉をいただきたいのと、関連して、このおおよそ1年で得たもの、あるいは失ったものを挙げるとすれば何かを伺いたい。

【幹事長】
 まず蓮舫代表の意義ですが、それは土井たか子さん以来久しぶりに、野党第1党の党首に女性が圧倒的多数によって選ばれたところに意義があり、参議院議員であること、国籍にかかわること、年齢も若く経験が十分でないことなどのハンディはありましたが、そういう「ガラスの天井」を破って日本のリーダーになることを多くの皆さんが期待されたと思います。
 そのご期待に応えることができず、その女性リーダーを守り、育て、たくましいリーダーに持っていくためにみんなが協力しなければいけなかったところを、残念ながらそういう力を結集することができなかったということ。意義であると同時に、残念な結果になったと思いますし、その意味ではナンバー2である私の責任も大きかったと思います。
 得たもの、失ったものという表現、一言では言いにくいと思いますが、提案型の国会を主張し、継続も含めて59本の法案を先般の通常国会でも提出しておりました。ただし、骨太の大きな政策については、これは憲法も一つだと思いますし、エネルギーもそうですし、前原さんが中心になっている尊厳ある生活保障、これは財源も含めた大事な議論、こういう議論の道筋はつけましたが、結果が出るまでに至らなかったということは残念だったなと思います。

○細野議員の離党表明について

【テレビ朝日・白川記者】
 細野豪志議員が離党表明をした。幹事長もやり、民主党時代には閣僚もやられた、主要メンバーの1人と言ってもいいかと思うが、この方の離党表明についての感想を伺いたい。

【幹事長】
 まだ届けが出ているわけではないので。極めて大きなテーマであると私も思いますが、それだけに、大事なことですので、届けが出ていないのにもかかわらず物を申すということは逆によくないと思いますので、コメントは控えたいと思います。

【テレビ朝日・白川記者】
 きょうまでに細野さんから幹事長のほうに何か、会いたいとか、そういった連絡はあったか。

【幹事長】
 それも含めて、きょうの段階ではコメントを控えたいと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 細野さんは現行民進党の綱領を編んだ人で、あれは細野綱領だと私は思うくらいだ。その代表代行でもあった人がかかる行為をしているのは、明らかな利敵行為ではないのか。当然ながら何らかの党規に違反している、処分の対象と。離党しようがしまいがやはり政党というのはそういうものではないかと思うが、こういうのを許していること自体がやはり民進党らしさであって、おそらく自民党ではこういうことはないと思う。率直に、彼が離党を言おうが言うまいが、現実には政府・与党に塩を送っていると見えるが、そこはどうか。

【幹事長】
 ご本人と直接お話をしないと、断定することもできないと思いますが、現象としてはやはり今の党にとってマイナスになっていることは間違いありません。それは残念なことだと思っています。

○政治団体「日本ファーストの会」設立について

【共同通信・野見山記者】
 先ほど14時半から衆議院議員の若狭勝さんが議員会館で記者会見をしていて、政治団体の「日本ファーストの会」というのを立ち上げたと。政治塾をこれから開いて、第1回には小池都知事を講師として呼ぶと。今後の趣旨としては、新しい国政政党をつくりたいという趣旨の会見、まだ途中までだがそういう説明をされた。こうした都民ファーストの国政進出にも関わるような動きというのをどのように注視されていくお考えか。

【幹事長】
 そういう動き自体は、若狭さんがお考えになっていたことは承知していましたし、「日本ファースト」というのですか、名称については今初めて聞きました。都民ファーストが都政で一定の考え方を示して戦ったことは承知していますが、国政の場合にはどういう立ち位置で、どういう理念でやるのか、どういうメンバーでやるのか、わかりませんので。たまたま今ご質問で「どう注視していくか」ということでしたが、まさに注視をしていきたいと思います。

【テレビ朝日・白川記者】
 若狭さんの政治団体のことについてお聞きしたいが、勉強会の初回の講師に小池都知事を呼ぶことが決まっているなど、やはり小池知事との関係はある程度深いのかなというところではある。都議選であれだけの勝利をおさめた小池知事のグループなので、やはり国政においても脅威にはなるとお考えか。

【幹事長】
 注視する、としか言いようがありませんね。

○衆議院愛媛3区・青森4区補欠選挙について

【NHK・山枡記者】
 補選のことで伺いたい。先ほど蓮舫・野田執行部体制の話があったが、代表選まではこの体制で、青森と愛媛であるが、次の新体制となってから、あるいは安倍3次改造内閣となってから初めての国政選挙になるわけで、どういう位置づけで、どう臨まれるか。次の体制に引き継ぐ意味でも、どういうふうに臨まれるかお聞きしたい。

【幹事長】
 内閣改造後の初の国政選挙になります。当然、いわゆる総選挙にも影響する大事な選挙だと思います。
 愛媛については、候補者も含めて、前回も戦った方でありますし、善戦をしてきた人ですし、精力的に活動しておりますので、あとは組織立った枠組みであるとか、そういうものをどう構築するかという選挙準備が大事だと思います。
 青森の場合は、愛媛に比べると急遽補選が決まったという状況でありますが、公認候補、決定をいたしました。同様にしっかりと準備をしていきたいと思います。
 当然、選挙は10月10日からですので、新執行部で臨む選挙になりますが、現執行部においても選挙の準備はきっちりとやって、新しい体制にバトンタッチができるように、万全を尽くしていきたいと考えています。

【NHK・山枡記者】
 今回、二つとも「弔い合戦」と見られているが、そういう位置づけでいいのかどうかということも含めて、何が争点になるか伺いたい。

【幹事長】
 国政選挙ですから。「弔い合戦」というのは一つの地域の事情だと思いますが、当然のことながら安倍政権の評価が問われる選挙になると思います。そういう要素を前面に出した選挙にしなければいけないと思います。

○核兵器禁止条約への日本の不参加について

【フリーランス・上出記者】
 広島・長崎の原爆の日だが、これを機にいろいろな方面から、日本が国連での核兵器禁止条約に全く参加していないことに対して、保有国と非保有国との橋渡しをすると言いながら実際にはほとんどやっていないのではないかということで、失望の念が聞こえている。特に日本人の国連事務次長の中満さんなども来日して日本政府に非常に強く働きかけている。民進党としてはどこまで本気で核兵器禁止条約の問題などに取り組んでいく気持ちがあるのか伺いたい。

【幹事長】
 世界で唯一の被爆国でありますから、核廃絶に向けた動きを、まさに先頭に立って動いていかなければいけない国が日本だと思います。
 核兵器禁止条約に関わる問題においては、確かに日米同盟が基軸でありますので、非常に立ち位置が難しかったことはよくわかるのですが、とは言いながらも、やはり核兵器禁止条約の枠組みの中に入って議論をするというところまではせめてやっておくべきではなかったのかなという印象を持っています。

【フリーランス・上出記者】
 これにも関連するが、今回の改造で、一応目玉ということで、安倍首相から遠いということで野田聖子さんと河野太郎さんが脚光を浴びている。河野さんの会見では、一応ぎりぎりまで言うことは言うが方針が決まったら政府の一員としてやる、という範囲でとどまっていて、残念ながら河野さんらしい何か風穴をあけるというような発言は今のところ聞かれない。そういうことも踏まえて、本当に橋渡しをやる役割を政府が考えているのか、その辺も含めて伺いたい。

【幹事長】
 河野さんが前、行革担当大臣をやられた時も、持論は封印されましたよね。たぶん同じようなことになるのかなと。これはわかりませんが、よくその動きは見ていきたいと思います。

○党代表選挙について

【朝日新聞・又吉記者】
 代表選に関して世論調査が出てきているが、民進党の代表選について関心がないという数字が過半数を超えているデータも出ている。そのあたりの理由についてどのようにお考えになるか。

【幹事長】
 まだ告示前ですし、立候補者が今準備をしている段階ですので、今すぐ関心を呼ぶという状況ではないと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 始まればそれなりに盛り上がるとは思うが、毎日新聞では民進党の代表選なんて関心ないよというのが5割を超えていたと思う。今、それを仕組んでおられるのが蓮舫さんと幹事長だが、盛り上げるために何かお考えはあるか。

【幹事長】
 我々が特定の何か企画をするということではなくて、これは代表選挙管理委員会、神本美恵子委員長のもとで公正中立に執行しますので、我々が何か特別なことを考えるということではありませんが、やはりついこの間、党員・サポーターを締め切ったばかりですし、それは党内だけでという、国民的に見たら少し冷たい反応になるのかもしれませんが、でもそうは言っても党内民主主義を徹底して、その中できちっと正当なリーダーを選ぶというプロセスを経て、そこに多くの皆さんに関心を持っていただくように、やはりそれぞれの関係者が、国会議員、地方議員、党員・サポーターが、そういう意欲を持って新しい代表を選ぶという構図にぜひなってほしいなと思っています。

○定例会見を終えて

【幹事長】
 私の定例の会見はきょうで最後になると思います。来週はお盆ですし、21日以降は代表選挙に入ってしまいますので。もちろん何か必要があればぶら下がりの会見等はしますが、いわゆる定例会見はきょうで最後になります。
 約1年にわたりまして、皆さんと一緒に仕事をすることができました。さまざまなご指摘をいただいたことに心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。