党加計学園疑惑調査チーム(共同座長=桜井充参院議員、今井雅人衆院議員)は28日午後、国会内で会合を開催。学校法人加計学園の獣医学部新設を認可する文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)の審査基準と加計学園の建築図面・設計図の在り方、2015(平成27)年6月5日に行われた国家戦略特区ワーキンググループ(WG)ヒアリングに関して3月6日時点で示されていた議事要旨(PDFダウンロード参照)と8月25日に公表された議事録(同)の内容が異なる点等について文部科学省担当者からヒアリングした。

 前回の会合に出席した「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川敦彦氏から、新設の加計学園の獣医学部では鳥インフルエンザや口蹄疫、BSEなどへの四国での水際対策をうたって、人体に危険なウイルスを隔離検査できるというBSL3(バイオセーフティレベル3)の実験室を設置することになっているが、加計学園が文部科学省に提出した設計図面ではワンランク下のBSL2の実験施設を広い部屋として用意し、その一角に簡易なBSL3実験室を設置する予定となっているとの指摘もあったこと等を踏まえて質問。設置基準を満たしているかどうかの判断は設置審が行うのかとの問いに文科省側は「厚生労働省が所管であるので適正であるかは厚生労働省が見る。基準については審議会の審査ではない」などと回答。設置審の審議と所管官庁のチェックは同時にやるのかとの問いには「規制官庁が見る」とだけ述べ、「法令違反があったときは学校教育法に基づき最後には文科省が閉鎖命令を出す」と文科省は答えたが、設置審が何を審査して獣医学部新設を認可するに至るのかの審査基準を明言せず、桜井・今井両座長は「設置審はいったい何を見るのか」と、その基準の提示を求めた。

 2015年6月5日に行われた国家戦略特区WGヒアリングの議事要旨と議事録の内容の食い違いについては、議事要旨では藤原内閣府地方創生推進室次長が「資料その他、議事内容は公開の扱いでよろしゅうございますでしょうか」と発言したのに続き、提案者である山下一行愛媛県企画推進部地域振興局長の発言として「はい」が続く形で示されていたのに対し、議事録では愛媛県側が「諸般の事情によりまして、非公開でお願いできたらと思っておるのです」と発言し、八田達夫WG座長が「わかりました。ただし、提案なさっていること自体は議会の方もご存じですよね」と尋ねたのに対して愛媛県側が「はい」と答えたことが明らかになった。

 これについて山井和則国会対策委員長が、安倍総理が国会質疑で「国家戦略特区諮問会議の議事もすべて公開」「プロセスに一点の曇りもない」などと発言していたが、虚偽答弁だったということになると指摘すると、文科省はヒアリングの当時は議事を非公開扱いと整理していたが現在は公開扱いで差し支えないとされたなどと弁明した。桜井座長は国家戦略特区WGヒアリング議事録の公開・非公開の判断基準もあいまいだとして、運営要綱の提示も求めた。

PDF「2015年6月5日国家戦略特区ワーキンググループ議事要旨」2015年6月5日国家戦略特区ワーキンググループ議事要旨(3月6日公表)

PDF「2015年6月5日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(8月25日公表)」2015年6月5日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(8月25日公表)