党役員会見に関する基本的な方針について

枝野幸男代表代行記者会見

2017年9月22日(金)15時00分~15時36分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=K7aOMiCcZUk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○臨時国会「冒頭解散」について

【代表代行】
 国会、解散の話についてはツイッター等でも公式に何度も発信しているので、あらためて繰り返すことは申し上げなくていいかなと思っております。
 あえて申し上げれば、野党は少数派だから野党なわけで、仲間をふやすには選挙をしてもらわないと仲間がふえる可能性はないわけですから、一般論としては解散は歓迎すべきことだと思っていますが、解散する以上はちゃんとした説明責任を。(総理は)これまでも「丁寧に説明する」と繰り返してこられたわけで、憲法に基づく臨時国会の召集にも応じず、開いたと思ったら審議もしないで解散するというのは、これは「卑怯者」と言われても仕方がない。卑怯者を総理として続けさせていいのか、という選挙だと思っております。
 一般論、法制度論としては、私は従来から、内閣が恣意的に解散できる制度は今や時代遅れだ、19世紀の名残だと、そうした時代遅れの制度の悪用ということかなと思っております。

○芸能・スポーツニュースについて

【代表代行】
 あとは時期的な問題として、清宮君がプロ志望届を出すということですが、NHKで臨時ニュースで突っ込むほどのニュースなのか、非常に疑問に思っております。うちの次男の先輩でありますので、プロで活躍してもらいたいなとは思いますが。
 むしろ安室奈美恵さんが引退を表明されまして、ことしの紅白には出てほしいなと。NHK、よろしくお願いします。


■質疑

○総選挙の争点について

【時事通信・大塚記者】
 先ほど選挙の争点に関して「卑怯者を続けさせていいのか」と言われたが、具体的に政策で言うとどういうところが争点になるか。

【代表代行】
 それは階猛政調会長に聞いてください。

【時事通信・大塚記者】
 安倍総理は北朝鮮への非難を強めて、北朝鮮問題を争点に据えるのでは、と言われているが、それについてはいかがか。

【代表代行】
 北朝鮮に対する日本国としての対応については、これはやはり相手国に間違ったメッセージを送ってはいけないなど、さまざまな国益を考慮して、基本的には少なくとも政治の大きな争点になっていない。我々は、私も含めて、細かいことを言い出せばいろいろな思いがありますが、間違ったメッセージを北朝鮮に送ってはいけないということで、基本的に政府の対応を支持するという立場でありますので、そもそも争点化していないものが争点になるはずがない。
 むしろ、本当に危機であるならば、そうした状況で解散をして政治空白をつくる。これもツイッターで発信していますが、2012年の総選挙の折も、これは北朝鮮情勢が緊迫した中で解散したわけではなくて解散後に緊迫したわけですが、ミサイルが飛ぶ飛ばないということで、私も当時、経済産業大臣として今の日本版NSC(国家安全保障会議)の前身である安全保障会議の一員でしたので、飛ぶ可能性のある時間帯については東京待機という緊張感を持って臨みました。本当にJアラートを鳴らして国民の皆さんに対応を呼びかけなければならないような危機であるならば、「総理は当然ずっと東京におられるのでしょうね」と。北朝鮮が争点ならば、私はまずそう申し上げたい。まあ、呼ばれないかもしれませんね、この間の都議選を見ると。

【読売新聞・前田記者】
 選挙公約について、自民党は「全世代型の社会保障」ということを掲げる考えで、これは民進党が主張している「All for All」に非常によく似ている。これを選挙戦でどういった違いを説明していくか。自民党との違いをどう強調していくか。そこら辺はいかがか。

【代表代行】
 まず、私は自民党の公約を読んでいませんので。

【「フランス10」・及川記者】
 安倍政権の経済政策の評価すべき点と評価しない点、すなわち民進党政権になった場合に経済政策を引き継ぐ点と見直すべき点について伺いたい。

【代表代行】
 ひよっこの時代だったら、正しい経済政策だっただろうなと思います。でも、時代に合わない。
 つまり、輸出産業が90年代以降の不況の原因ではないので、輸出産業を後押しをしても不況から脱出する根本的な解決策にならない。つまり、腕を骨折しているのに脚の治療をしているようなもの。そこがずれているので、効果を上げられない。
 90年代以降の日本の長期的な景気低迷の本質的な原因は消費不況ですから、消費不況の原因をたださなければならない。消費不況の原因は、労働規制の緩和と格差の拡大ですから、ここに手をつけなければ消費は回復せず、景気は回復しない。ここが自民党との違いだと思います。

【フリーランス・横田記者】
 総選挙の主要政策、公約の柱になるかどうかだが、「森友・加計隠し解散」と言われているとおり、情報公開、国民の知る権利、公文書管理法改正も含めて、それが大きな旗の一つ、主要政策になるとお考えか。
 関連して、いわゆる「若狭新党」、小池知事は情報公開を掲げて都議選で圧勝した。改革の一丁目一番地と言っているわけだが、そこで一致できれば連携の可能性はあるのか。

【代表代行】
 それこそ前原代表がいつも言っていることですが、政権選択の選挙なので、1点一致するからといって連携できるのだったら、自民党とだってできてしまうではないですか。そんな、1点だけで連携できたら、どの党ともどこかは1点一致しますよ。
 情報公開が公約の目玉とか柱になるかどうかと、選挙の争点になるかというのは、別次元だと思います。争点になるのは間違いないと思います。公約の目玉・柱になるかどうかは、今後だと思います。そこがつながるかどうかと。つながるようなやり方をしたほうがベターだと個人的には思いますが、必ずしもそれがつながらないと争点化しないかというと、そうではないかもしれないと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 衆議院選挙は政権選択とおっしゃるが、今の強大な与党が議席をふやすのか減らすのか、減らすのだとしたら少しでも多く減らす、それがお灸を据えることになると国民は思うのだと思うが、結局、野党第1党の民進党として、いかに自民党を減らすという立場で主体的な勝利戦略というのが見えない。ずっとそうだが、主体的に、今回で政権取れるというのならば、それはご勝手にと思うが、たぶんそういうことでないと思う。主体性というのはどこにあるのかなと私は思っているが、その辺はどうお考えか。

【代表代行】
 政治は常に「ベストを求めながら、ワーストを避ける」、これが政治の営みだと私は思っています。したがって、ベストを目指すという意味で政権を目指すということを言い続けなければ、政治として無責任だ。ただし、ベストを目指すことだけではなくて、ベストを目指しながら、同時にワーストを避けるということにも同じくらいの力を注がなければならない。政権を目指すということの話はこういう話だと私は思います。
 その上で、「戦略が見えない」。見えたら、戦略ではありません。メディアの皆さんとか国民の皆さんとか自民党とかに見えてしまう戦略は戦略ではありませんから、見えないのが当たり前です。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 それでは何がワーストなんだというと、現在もバラバラ崩れて、衆議院は88だ。これは今のやり方で88取れなければワーストだと思うが、枝野さんの言っている「ワースト」というは何なのか。最低でも30くらいふえないといけないと思っているのがワーストなのか。その辺を聞きたい。

【代表代行】
 そこで申し上げている「ワースト」は、議席の数の問題ではない。日本の社会がどうなっていくのかということについて、ワーストを避けるということです。そのワーストは、具体的に挙げられるというよりも、政治のあり方として日本の社会がこれ以上悪くならないために何ができるのか。日本の社会をよりよくするために政権を取るわけですが、より悪くならないために何ができるのかということを常に考えながら行動するということです。数の問題ではありません。

【毎日新聞・影山記者】
 選挙公約だが、まだ自民党の公約をご覧になっていないという話だったが、これまで教育の無償化とか、子ども手当を児童手当で打ち出すとか、民主党・民進党の政策に自民党が抱きついてくるというのがかなり多数あり、今回もそれが予想されるが、それに対してどう違いというか、どう対抗していくのか。どういうお考えをお持ちでいらっしゃるか。

【代表代行】
 つまり、そこは争点にならないということです。
 政策そのものが争点になる選挙と、そうでない選挙と、選挙によって違う。たぶん、(今回解散になった場合は)政策が争点にならない選挙だと思います、(自民党が)抱きついてくるだけに。本当に抱きついてくるならば。まさに政治姿勢や政治体質といったところが争点になる選挙だと私は思います。

【毎日新聞・影山記者】
 それが冒頭おっしゃっていた「卑怯者を許していいのか」というのと、森友・加計を追及していくという、そういうことを争点化したいとお考えか。

【代表代行】
 それだけではないです。森友・加計だけではないですが、まさに上から目線の政治というか、「お友達」ばかりに目が行く政治というか、いろいろな表現とかいろいろな切り口がありますが、個別の政策というよりも、この選挙はそうした政治の体質、姿勢みたいなところこそが争点だと私は思っています。

【フリーランス・上出記者】
 消費税について伺いたい。代表選の時に、枝野さんは消費税については増税に反対、前原さんはそれとは違うと。現実に自民党は今回、増税の内容を変えるというような、それを社会保障に充てるという、当たり前のことだが、それを争点の一つにしようとしている。今まで税金を上げると言って勝った選挙はなく、本当は選挙に有利不利でいくと、真っ向から反対して「増税させない」と言うようなこともあると思うが、どうも今の代表の政策からいくとそれは難しいと思う。消費税を、どうやったら民進党あるいは国民にとって納得いくような形でうまくおさめていけるのか、枝野さんなりにはどう考えているか。選挙戦を通じて、どういう展開になると予想されているか。

【代表代行】
 まず、言葉は丁寧に正確に使っていただかないと。私は、消費税を上げることに反対ではありません。将来、中長期的には消費税を上げなければならないと思っています。「枝野は消費税反対と言ったじゃないか」と、2年、3年後とかに揚げ足取られるのです。
 私は、次の、今決まっている10パーセントに引き上げることについては、現時点では上げるべきでないということを代表選挙で申し上げた。そこの違いだけです。
 前原代表も、独裁者ではないので、自分はそういう考え方だけど、党内でみんなの意見を聞いて決めると、代表選挙中もおっしゃっていました。まさに今日の会議(民進党・衆議院選マニフェストに関する全議員政策懇談会)も含めて、階政調会長を中心に党内のさまざまな意見を聞いた上で合意形成を図っていくのだろうと思います。
 私の意見は代表選挙中にもう申し上げているので、あえて申し上げていません。

【朝日新聞・岡本記者】
 新党についてだが、小池さんが表に出てくるこないは別として、しかも新党が何を訴えるかもよくわからない状況での質問だが、都議選の結果を見ても、明確に何かの政策が支持されたとかそういったものではなく、何かしら小池さんへの期待感、ふわっとしたような期待感で大勝につながったという側面は否定できないと思う。今回も新党でどれだけの候補擁立があるかわからないが、結構擁立してきた時に、そうしたふわっとした期待感みたいなもので大勝ちする可能性もないとは言い切れないと思う。そういうふわっとした期待感に対抗するための考えというか、社会像を示すことももちろん大事だが、ふわっとした民意はなかなかそういうところまでわかってもらえないのかなという印象を持っているが、どうお考えかお聞きしたい。

【代表代行】
 ふわっとした期待感というのは、たぶん抽象的な存在ではなくて具体的な存在でないと生じさせる可能性が低いと思うので、基本的には各候補者が各選挙区でふわっとした民意を引っ張り出すような努力・活動をすること、そこに尽きると思っています。
 この選挙は、本来の小選挙区制度という制度の趣旨からすれば本当は違うのですが、選挙区ごとに相当違う個人戦になるのではないかと。個人戦の要素の大きな。もちろん人を選んでいますから、小選挙区制度でも党を選ぶのと人を選ぶのと両面あるのですが、今までになく人を選ぶ選挙になる要素が強くなる選挙だと私は思っています。

【フリーランス・横田記者】
 前原代表は「自己保身解散」、あるいは「敵前逃亡解散」という表現をしているが、枝野さんは今回の選挙で、どういうキャッチフレーズでとらえられて、訴えて、イメージを広げていこうとお考えになっているか。

【代表代行】
 自分なりにはいろいろな表現がありますが、こういうのはできるだけワンボイスのほうがいい。そんなに違っていないので、前原代表に合わせます。

○総選挙の候補者擁立について

【下野新聞・宗像記者】
 栃木1区の公認候補予定者だった柏倉祐司さんがきのうまでに離党届を栃木県連に出し、除籍となった。栃木1区、代行の出身地は宇都宮だと思うが、ご所感があればお聞かせいただきたいのと、栃木県連は対立候補を出すと言っているが、それについてもお考えがあればお聞かせいただきたい。

【代表代行】
 感想は、ばかだなあ、軽率だなあ、というだけです。
 対立候補を立てられるかどうか。立てる意欲があるということは聞いています。もし立てられるのであればぜひ立ててもらって、私は全力で応援したいと思っています。

【テレビ朝日・延増記者】
 新党について伺いたい。枝野さんはかつて、細野さんを念頭に、離党した議員の選挙区に対抗馬を擁立すべきだというお考えを示されていたが、その考えは今も変わりないか。

【代表代行】
 それは先ほどの栃木1区の話もありましたが、我々は野党第1党として政権を目指すのですから、全ての選挙区に我が党としての候補者を立てたいというのは大原則であって、党を出ていった方がいらっしゃれば、その地域の党員や地方議員の皆さんが選択肢を奪われるわけですから、そうした皆さんときちっと相談をして、できるならば候補者を立てるというのは当たり前のことで、これは別に判断の問題ではなくて、当たり前のことだと思います。

○臨時国会「冒頭解散」・7条解散について

【テレビ朝日・延増記者】
 冒頭の発言に関連してだが、選挙公約について、ぜひ枝野代表代行にお聞きしたいが、民進党では衆院選の憲法改正に関する項目として、総理の解散権の制約を掲げる方針ということだが、その狙いと意義について伺いたい。

【代表代行】
 私は別の日程で出ていませんが、(22日)13時から全議員で協議をして、それを来週の火曜日以降にまとめるわけですから、まとまった段階でご説明する話だと思います。

【東京新聞・生島記者】
 冒頭発言の関連で伺いたいが、内閣が恣意的に解散できるのは19世紀の流れで悪用だというお話をされているが、まず今回解散されるということだが、これについては恣意的だ、悪用だと判断されているという理解でよろしいか。

【代表代行】
 今の制度が内閣による解散を認めているわけですから、内閣の判断で解散すること自体を一般論として「けしからん」と言うつもりはありません。
 ただ、憲法に基づく臨時国会の召集要求を3ヵ月も放置し、その間に繰り返し「丁寧に説明する」と(安倍総理は)おっしゃり、にもかかわらず、最大の説明の機会である国会審議から逃げるというのは悪用だ。解散が、ではなくて、説明(することなく)、そして質疑の場を与えずに解散することが悪用だと思っています。

【東京新聞・生島記者】
 関連だが、代行がお考えになる「恣意的」という部分だが、恣意的というのは代行としてはどのようなものだと定義されていらっしゃるか。

【代表代行】
 まさに、国会の審議に応じたくないから、だから解散するなんていうのは、恣意的じゃないですか。審議してからしろと。
 「恣意的」というのは、プロセスまで含めて恣意かどうか。解散そのものについては、それは決定権は内閣にあるのですから、決定そのものについて恣意的ということはない。その決定に至るプロセスについて、明らかに自分で言ってきた「丁寧に説明する」という従来の発言に対して、そこから逃れるため、というところが恣意的であるということです。

【東京新聞・生島記者】
 公約に掲げるかどうかは来週正式に発表されるということだと思うが、仮に解散権を制約する場合に、これは憲法改正が必要なのか。イギリスは、日本とは憲法の形態が違うと思うが、法律として任期を固定する形をとったわけだが、日本の場合は、政権も取っていらっしゃったわけだが、仮に制約するという場合に憲法改正が必要になるとお考えか。

【代表代行】
 イギリスの場合、不文憲法ですから、憲法典の改正ではないけれども実質的には憲法の改正だったと思います。
 これも憲法学者の間でも両説あると思うのですが、現行憲法のもとで法律で解散できる場合を限定するというのは、憲法違反ではないと思います。ただ、要するに内閣を構成しているということは、不信任の場合は解散できるというのは一般的ですから、不信任されていない、信任されている内閣を構成しているということは国会の過半数を持っているので、法律で解散権を制約していてもその法律を改正して解散するということがいつでもできてしまうので縛ることにはならない、という政治論としては、やはり憲法典を変えないと本当の意味で縛ったことにはならないと思います。

○野党連携について

【フリーランス・上出記者】
 選挙を実際に戦うのに、安倍政権に退場してもらいたいという人間が一番期待しているのは、野党共闘をきちっとやることだと思う。それについてはちょっと代表とは立場が違うとは思うが、民進党と共産党を分断して喜ぶのは与党と保守勢力だと思う。だから全力を挙げて何とか実現できるように力を合わせるような方向で、というような言葉をもうちょっと聞けるかなと思ったが、きのうの前原代表の会見ではきちんとした形では聞けなかった。ただ、否定はしておらず、選挙区ごとの調整はするとは言っていたが。あらためてその辺、全力を挙げて最大の成果を上げられるような方向に全党が持っていくという余地は残っているのか。

【代表代行】
 まず、私も「野党共闘」という言葉は使っておりません。「共闘」という言葉の国語辞書的な意味からすると、ちょっと違うと思っています。参議院選挙で行なったことも、「共闘」ではありません。
 いろいろな物事のプロセスでありますので、一つ一つの発言を取り上げるといろいろな受け止めがあるのだろうと思いますが、現時点で私と前原代表で考え方が違っているとは私は思っておりません。
 そして、100点満点ではなくても、特に今の安倍政権に対して批判的な皆さんのご期待に一定程度応えられる、そういう姿をお示しできる可能性は十分にあると思っています。

【フリーランス・上出記者】
 あらためてお聞きしたい。参議院選の時には、4党の合意というのがあった。

【代表代行】
 ありません。

【フリーランス・上出記者】
 「できる限りの協力」をしていくという、約束というか取り決めというか、その辺があったと思うが、今回も一応それが残っているのではないかということが社民党あたりから出ている。この辺について「できる限りの協力」をしていくという、これは残っていると見てよろしいか。

【代表代行】
 そういうことを詰めれば詰めるほど、安倍政権を早く倒してほしいと思われている皆さんの期待に沿った方向には物事が進まなくなると思います。

○北朝鮮情勢について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「トランプが宣戦布告してきた以上、それにふさわしい史上最高の超強硬対応措置を断行するぞ」と、きょう北の将軍は言っているわけだが、これはこけおどしと見ていいものなのか。日本にはもちろん駐留米軍もいて、北のストレスだけ高めて、解散をして政治空白を生むというのは、単に卑怯なのか。やはり非常にアブノーマルで危ないということはお考えにならないか。それはこけおどしというふうにご覧になるか。

【代表代行】
 この手の外交問題における当事国の幹部の発言というのはいろいろな受け止めの余地があると思っていますが、我々も関係国の一つとして大事なことは、一つ一つにあまり込み入ったコメントを一々しないことが大事なことだと思っています。基本的にはさまざまな、それがいわゆるこけおどし的なものなのか、本当に真意を含んでいるのか、ということをきちっと分析するべきだと思いますが、その分析結果を外に向けて発信するというのは、相手に、敵に塩を送ることになると思いますので、今のご質問についてはコメントを差し控えたいと思います。

○原発再稼働・原発攻撃対策について

【フリーランス・横田記者】
 原発テロ対策が不十分ではないかという見方があるが、これについてどうお考えか。北朝鮮情勢が緊迫化する中で、原発テロ対策が不十分の中で原発再稼働するのはおかしいのではないか、稼働中の原発も止めるべきではないかという意見もあるが、これについてどうお考えか。

【代表代行】
 中長期的な「原発ゼロ」と、今の北朝鮮情勢の緊迫というのは、別次元の話だと私は思います。
 その上で、北朝鮮情勢が本当に緊迫していて、Jアラートをあんなに鳴らさなければならないような状況であるとすれば、原子力発電所が攻撃された場合を想定した備えは大丈夫かというのは、これは一つの大事なポイントだと思います。
 ただ、いずれにしても、これはたぶん前原さんもほぼ共通していると代表選挙の時も思いましたが、我が党は広域的な避難計画であるとか、それから使用済み核燃料の問題であるとか、そうした前提が満たされなければ再稼働を容認しない、あるいは周辺自治体の合意がなければ賛成しないという立場ですので、基本的にはそういう条件でほとんどの再稼働について我々が賛成する可能性は低いのではないのかなと、そもそも思っています。

【フリーランス・横田記者】
 まさにおっしゃるとおりだと思うが、今の原子力規制委員会は避難計画がずさんで不十分であるというのを見て見ぬふりをしながら、柏崎刈羽原発を含めて再稼働に実質的なゴーサインを出そうとしているわけだが、これも非常に問題だと、国民の命を危険にさらしているのではないかということで問題にするお考えはあるか。

【代表代行】
 たぶんそれは、そもそも法律上、原子力規制委員会には避難計画について審査する権限がない。権限がないことについて審査できないから、規制委員会の考えは正しいのです。したがって、「避難計画が確かなもので、これならば大丈夫です」ということを保証できるのは、政府、内閣です。内閣がちゃんと「この避難計画で大丈夫です」ということをオーソライズして、国民の皆さんに向かって保証しなければいけない。そちらはむしろ政府の責任です。

○社会保障政策について

【「フランス10」・酒井記者】
 僕は今26歳だが、若者の未来について伺いたい。前原代表にも伺ったが、若者は将来、年金がもらえるのか、職に就けなかった時に社会保障を受けられるのかという心配事がたくさんある。若い世代が未来に希望を持てる社会にするためにはどのような政策を掲げるのか。また、自民党の若者対策との違いについて伺いたい。

【代表代行】
 まず年金の話というと、若い皆さんは、「自分がもらえるのか」という話になるのですが、そもそも年金制度の理解、そこが違っていると私は思っています。年金制度が崩壊したら、あなたが自分の親やおじいちゃんおばあちゃんの老後の面倒を見なければならないのです。そのための年金制度なのです。まず、あなたが老後受け取れるかではなくて、年金制度がなければ、あなたの両親や、配偶者の両親や、そのさらに親まで。今、長生きの時代ですから。しかも今、一人っ子が多かったりすると、夫婦2人で5人も6人もの老後の生活費を、あなたが面倒見るんです、年金制度がなくなれば。
 だから、将来受け取るかではなくて、今、高齢者が受け取る、間もなく高齢者になる人が受け取るというのは、若い人達がその親の生活費の負担が少なくて済むという、若い人達の(ための)政策なんだということを若い人に理解してもらうことが何よりも大事だと思っています。
 その上で、公的な年金制度は、いろいろな社会状況や経済状況の中で、水準がどの程度になるのかといういろいろな話はありますが、しかし、必ず維持されなければ社会は成り立ちません。そうでなければ、まさに年金制度の崩壊をある段階でして、少子化で一人っ子が多くて、そして高齢者の老後の生活費を、しかも例えば70歳から先を考えても20年も30年もあるのを全部現役世代が家族の中で見ろと言ったら社会は成り立ちませんから、必ず年金制度は維持されます。
 問われなければならないのは、実は年金の受け取りの水準が若い世代ほど少なくなるだろうというのは、確かにそれはそうです、人口構成上。そのかわり、上の世代から受け取る遺産も多くなるのです。それは、私の親くらいの世代だと、5人兄弟、6人兄弟が当たり前です。農地などを持っていたけれども、その農地を5人、6人で分けなければいけませんでした。一人っ子だったら、親の遺産を1人で受け取るわけです。親の世代から受け取るものも多いのです。
 ただ問題は、その同世代の横の関係の中で、その遺産をもらえる人もらえない人の差が大きくなる。それから、親が長生きをして、しかも介護や医療が必要になって、年金や介護保険や医療保険では賄えないような、子どもや孫の負担が大きい場合と、そういう負担が小さい場合とで、現役世代の負担が大きく変わってくる。その同世代の横の公平を確保することのほうがよほど大事だと思っています。
 それが確保されれば、それぞれの家庭の中で自分の親や祖父母の生活・老後などについて全部背負わなければならない、あるいは自分の子どもの子育てなどについて家族が負わなければならない、それが子育てや老後が社会化されることによって、それぞれが自分で自由に行き方を決められる余地が広がっていくので、夢や希望が大きくなる社会になっている。そのためには年金や医療や介護や子育て支援を大きくする、こういうことです。

○同性婚をめぐる議論について

【「フランス10」・酒井記者】
  臨時党大会の演説でLGBTの権利について触れられたり、TBSラジオでも同性婚を認める発言をしておられたが、フランスのPACSのような同性間のパートナーシップを認める制度をつくるべきとお考えか、それとも今ある結婚制度を同性カップルにも解放するように変えるのか、そのどちらか。また、同性婚を認めるためには憲法改正が必要だと思われるか伺いたい。

【代表代行】
 現在の婚姻制度、法律婚制度をベースにするか、それとも別の制度をつくるのかというのは、今後の検討・議論だと思います。関係者・当事者の皆さんのご意見なども聞きながら、あるいはフランスをはじめとした諸外国の例を参考にしながら、制度の組み立ての枠組みというのはいろいろなところに影響するので、それは単純に軽々にどちらと言える話ではないと思いますが、この選挙が終わりましたら丁寧な調査と検討を進めていきたいと思っています。
 現行憲法は「両性の合意」に基づきと書いてありますが、同性婚を排除する趣旨とは普通解釈されていませんので、憲法上の問題は生じないと思っています。

○加熱式タバコ・電子タバコについて

【「フランス10」・及川記者】
 ことしニコニコ超会議で枝野さんがICOSを吸っているのを見て、タバコ政策について伺いたい。欧米では今、電子タバコに移行して、ニコチン入りのリキッドが売られているが、日本では劇薬として個人輸入しかできず、販売が禁止されている。タバコ政策として、ニコチン入りリキッドの電子タバコを認めていくべきだとお考えになるかどうか伺いたい。

【代表代行】
 プルーム・テックのリキッドは、ニコチンが入っているのではないでしょうか。

【「フランス10」・及川記者】
 入っていないと思います。

【代表代行】
 いや、ニコチン入っていると思いますよ。 (※「たばこ葉を使用していますので、ニコチンが含まれます」プルーム・テック公式サイトFAQ(https://www.ploom.jp/support)より)