安倍政権が発足から5年経過したことに関して、大塚耕平代表は26日午前、党本部で記者団の取材に応じた。

 受け止めを問われて大塚代表は「5年間、さまざまな政策課題に安倍政権なりに取り組んでいると思うが、根本的な日本の問題はいい方向に行っていない感じだ。川柳風にいえば『1強が5年も続く懸念増す』という感じだ」と語った。「特に『経済が良くなれば生活が良くなる』という文脈でこの5年運営してきたわけだが、国民の皆さんの実質賃金の状況や実際の生活ぶり、さらには相対的貧困率の中央値の低下といったように相対的に貧しい方が増えている」と指摘し、「経済が良くなれば生活が良くなるという文脈は現実化せず、やはり私たちが目指している『生活が良くなれば経済が良くなる』という政策を実現していかなければいけないと、安倍政権5年間を振り返って意を強くしている。心新たにしっかりと頑張る」と表明した。

 アベノミクスは成功だったか失敗だったかとの問いには、結果的には失敗だとの認識を示し、「そもそも異常な金融緩和がエンジン。これはスタート段階で2年でマネタリーベースを2倍にして物価上昇率を2%にするという2年2倍2%を掲げたが、既に5年が経っているのでこのこと(が達成できない状況であること)の総括が必要だ」とまず指摘。また、この政策をたためばいいのかというと、実はたたみたくてもたためない状況を残しつつあるとの見方も示し、「安倍さんは(総理をこれから)何年やるか分からないが、仮に3選されて残り任期が増えたとしてもその間でも事態は収拾できないと思う。後世に大変大きな禍根を残す日本の経済・財政状況を生み出している。そのことを考えるとアベノミクスは失敗」だと分析した。

 安全保障関連法制が成立したことに関しては「安全保障にしっかりと取り組むというのはわれわれも同じ気持ち。国民の皆さんの生命と財産の安全を守るというのは当然のことだと思う。そのことを念頭に環境に応じた対応をすることは理解するが、ただし集団的自衛権をめぐる議論、安保法制の見直しに関連してかなり従来の考えを逸脱した、あるいは憲法的な観点から見て熟慮が不足している対応をしたと思うので、評価できる部分と評価できない部分が交錯しているのが実情だ」と語った。

 功罪をそれぞれひとつずつ挙げてほしいとの記者の求めには「功は長く続いていること自体」だと述べたうえで、「政権が頻繁に変わることは国にとって良くないことであるので長く続いていることは功にするべきだが、ただし長く続いて何をしたかということを考えると非常におぼつかない」「罪はたくさんあるので、そうなると本来は功であるはずの長く続いていること自体が評価できない状況に陥っているというのが正確な表現だ」などと述べた。

 1強を打破するために今後どう臨むかと問われ、「長く続いている背景はやはり野党が非常にふがいないという事に尽きる。これは国民の皆さんに大変申し訳ないことだと思っている。野党が与党と互角の力をもって、常に総選挙で選択していただけるような状況を2014年と2017年と2度にわたって生み出せなかったことは大いに反省しなければならない」「従って来年の通常国会では、論戦をしっかりと緊張感のあるものにしていく。そのためにわれわれは3党連携を訴えている。3党が連携することでその陣容を整え、その後の総選挙では国民の皆さんに政権を選択していただけるような状況に持ち込む。これが当面のわれわれの大変重要な責任だ」と述べた。