民進党・希望の党による「働き方改革検討のための合同会議」(石橋通宏参院議員=民進と岡本充功衆院議員=希望が共同座長)の第2回会合が30日夕、国会内で開かれ、政府の「働き方改革」に関する法案に関連して、(1)日本労働組合総連合会(連合)(2)日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)(3)日本教職員組合(日教組)(4)全日本自治団体労働組合(自治労)――からヒアリングして意見を交わした。

 連合の村上陽子総合労働局長は、法案中の「企画業務型裁量労働制の対象業務拡大」「高度プロフェッショナル制度の創設」に強く反対する考えを表明。また、29日に連合事務局長名で発表した「働き方改革法案の施行期日をめぐる一部報道についての談話」を示し、法案の施行期日を中小企業などについて一部延期すると報じられた点について「もし報道内容が事実とすれば極めて遺憾だ」とし、中小企業について1年遅らせることになれば、人手不足にある中小企業で長時間労働が広がることが懸念されると指摘した。

 基幹労連の曽根崎義治中央執行委員は、建設業での時間外労働の現状を説明し、「外勤技術者の所定外労働時間は減少傾向にあるが月平均70時間を超えている」「外勤技術者の30%超が月80時間以上の時間外勤務を行っている」と実態を報告。また、休日取得を進めるべく年2回の統一土曜閉所日を設けて改善傾向にあるが、約40%の作業所が閉所できておらず、その理由のベスト3として「工期に余裕がない」「施主や発注者の要請」「土曜が工程に組み込まれている」という事情を説明した。

 日教組の藤川伸治組織労働局長は、教員1カ月当たりの平均残業時間について説明し、過労死レベルの働き方が常識となっている現状を報告。教育現場で長時間労働が減らない背景には、労働管理が50年前にできた給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)を基準としているため時間外労働規制が極めて弱く、制度上時間外労働がほとんどないことになっている事情を説明した。試験採点や時間外の生徒との面談などもボランティアと判断されるのが実情で、教員を過労死の危機から救うには給特法の見直しが不可欠だと強調した。

 自治労の森本正宏総合労働局長は、公立病院などの医師の確保を含めた医師の労働環境の改善に関する議論を進めていることを報告した。

 石橋共同座長は会合後に記者団の取材に応じ、「今日は主に労働団体から話を聞かせていただいたので、次回2月2日は経営者団体・使用者側からも話を聞かせていただきたいと経団連ほか中小企業関係も含めて4団体に要請している」と説明。その後は日弁連や過労死の家族会からも話を聞く予定だという。