党役員会見に関する基本的な方針について

大塚耕平代表記者会見

2018年2月1日(木)16時39分~17時07分
編集・発行/民進党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=s_abBeCg9fM


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○札幌市の自立支援施設での火災について

【代表】
 冒頭、札幌での共同住宅の火事でお亡くなりなった方々に哀悼の意を表したいと思います。
 高齢者の皆さんだけで共同生活するようなケースは今後も増えてくるものと思われますので、今回の火事の原因と、またその背景にあるさまざまな要因をしっかり調査して、政治としても対応すべきことについてはしっかり対応しなければならないと思います。

○2017年度補正予算の成立について

【代表】
 補正予算が成立しましたが、我々は反対いたしました。
 やはり補正予算を編成する合理的理由がなかなか見出しがたい。もちろん災害対策等の部分については我々も何ら異論はございませんが、災害対策以外で、どうも財政規律が緩むような方向での対応が見られると思います。
 また、今回の災害対策等の0.3兆円の規模であれば予備費で十分対応もできたような気もいたしますので、やはり政府の財政や予算に対する姿勢というのは、これから本予算審議に入りますが、本予算でも今後しっかり追及していかなければならないと思っております。


■質疑

○パレスチナ問題について

【「フランス10」・及川記者】
 パレスチナ問題について伺いたい。ミッテラン政権の外交顧問で1997年から2002年まで外務大臣を務めたユベール・ヴェドリーヌさんに昨年インタビューをしたが、ヴェドリーヌさんは、パレスチナ問題は解決方法があるのに解決しない問題だと。つまり、パレスチナ国家の独立とイスラエルとの共存しかあり得ないとおっしゃっていて、国際社会がなすべきことはイスラエルに数多くいる和平派を支えることだと指摘されている。大塚代表は、パレスチナ問題についてどのようにお考えになるか。それと、トランプ政権がエルサレムへ大使館を移転したことについてどのように思うのか伺いたい。

【代表】
 パレスチナ問題は、皆さんもご承知のとおり、第2次世界大戦後のイスラエル建国の時の関係諸国の合意と、その時の土地の配分等に端を発した大変複雑な背景があります。さらに申し上げれば、第1次世界大戦の後のイギリスの三重外交にも端を発しているわけでありまして、相当複雑です。
 おまけに、ご承知のとおりイスラム教とキリスト教とユダヤ教はルーツを共有している部分があり、この聖地についても非常に複雑な関係にあります。
 こういう幾つかの過去からの経緯を抱えている問題でありますので、やはり一番大事なのは、当事者間がしっかりと信頼関係を構築して話し合うこと。このことを抜きにして、当事者以外が何か、対話を抜きにさまざまな外交行動をとるというのは混乱を呼ぶ確率は高いと思います。
 そういう観点で、イスラエル内部の和平派の皆さんとしっかり話をするという、その方のご主張は理解もできますし、それから今回のトランプさんのエルサレムを首都として認定するというのは、今私が申し上げた文脈から言うと必ずしも適切な判断とは言えない面があると思います。

○茂木経済再生相の線香・手帳配布問題について

【日本テレビ・清田記者】
 茂木大臣の線香問題の受けとめと、あす立憲民主党を含む野党6党で合同ヒアリングが設定されたが、これへの受けとめもあわせて伺いたい。

【代表】
 茂木大臣の線香問題は、ゆゆしき問題だと思います。
 総務省が衆議院予算委員会で早々にあのような見解を出しているのも解せません。きょう(参議院)議員総会の冒頭発言でも申し上げましたが、同種の事案において過去に総務省はあのような見解を示していたかどうかというのは、これから徹底的にさかのぼって調査をしたいと思います。政府・与党が明々白々な事案の解釈をゆがめるために政府の見解をいとも簡単に変えるようなことがもし起きているのであるとすれば、これは茂木さんの問題だけではなく、総務省の問題にもなると思っております。
 いずれにいたしましても、手帳が、私が聞いている冊数では3000冊。それから線香は、皆さんのほうがお詳しいでしょうけれども、かなりの数に上るわけでありまして、茂木さんご自身が出処進退を明らかにしてもいささかも不思議ではない問題だと思います。
 小野寺大臣のことに言及するのはいかがなものかとは思いますが、小野寺さん、今しっかり仕事をしておられると思います。小野寺さんが今こうして大臣として活躍しておられるのも、同種の問題があった時に潔く出処進退を明らかにした結果であると思っておりますので、茂木さんにおかれては、身近にいい先例があるわけでありますので、的確なご判断をされることを期待したいと思います。
 それから野党6党でこの問題、ヒアリングをするというのは大変いいことだと思います。こういう問題で野党間で何か認識の差があるわけではありませんので、巨大与党と対峙する時にはやはり協力できるところは極力協力をしていく。
 これは、この線香問題にとどまらず、その他の政策の課題、例えば「働き方改革」などもそうですが、できる限り広く野党で協力していく関係を構築するべきだと思います。

【朝日新聞・斉藤記者】
 一言で言って自発的に議員辞職しなかった場合については、どういう対応を民進党として求めていくか。

【代表】
 私は今、議員辞職まで申し上げておりません。ご本人が判断すべき問題だ、というふうに申し上げておりますので、まずは茂木さんの対応を見きわめたいと思います。

○民進党と「無所属の会」の関係について

【読売新聞・鈴木記者】
 民進党が1月に総務省に申請した政党交付金のうち、衆院議員が12人含まれていると思う。「無所属の会」に所属する議員が多いが、国会活動では「民進党」を名乗っていないためわかりにくいという指摘もある。今後、党から衆議院議員に対しても活動費が支給されると思うが、「民進」を名乗っていない議員に対しても活動費を支給するのはなぜかを伺いたい。

【代表】
 これは政党助成法上の届け出をする際の署名をしているかどうかという問題でありますので、署名をして届け出ているということは、民進党籍がある「無所属の会」の皆さんも、彼らの存在によって党としては政府から助成を受けているわけですので、交付するということについては合理性はあると思います。
 もっとも、党所属議員として最大限の貢献をしていただくという意味においては、やはり衆議院でも(民進党の)会派名を名乗っていただくことも重要な要素ですので、これが整っていないということについては残念です  さりながら、交付すること自体については特段問題はないと思います。

【読売新聞・鈴木記者】
 総支部長としての活動は地方でしているから、というふうに理解してよろしいか。

【代表】
 それはそのとおりです。それぞれ総支部長で活動しておられますし、地元においてはもちろん民進党議員として活動していると思います。国会においては会派名を名乗っていないというのは、大変残念です。

○党改革(1) 地域政党設立の動きについて

【日本経済新聞・藤田記者】
 今週土曜日・3日に代表のご地元の愛知で、民進党愛知県連の方々を中心に地域政党の設立が予定されている。こうした野党連携する形というか、民進党議員の方が地域政党をつくる動きについてどういうふうにごらんになっているかということと、これが今後国政の野党の協力につながるかどうか伺いたい。

【代表】
 まず、愛知県でそういう動きになっていることは歓迎したいと思います。
 これまで党の全国幹事会などを通じて、「私達は今3党に分裂してしまったわけですので、これをバインドするための取り組みというのは、国会でもやりますが、それぞれの地域でもお願いしたい」ということをずっとお願いをしてきております。
 愛知は2月3日に具体的な地域政党、政治団体ですが、立ち上がるというのは大変喜ばしいことだと思います。
 私が聞き及んでいる限りでも、全国で10県ぐらいはそういう動きが進み始めているということなので、やはり地方で、もともと民進の地方議員の皆さんが仮に他党に移籍するようなことがあったとしても今までどおり議会等では同じように活動していただきたいですし、そのことによって、その地域にもし3党の国会議員がいればその国会議員をバインドすることにも寄与すると思いますので、大変喜ばしいと思っております。
 あわせて、もう一つ地域政党の役割は、その3党以外にも広げていく。つまり無所属の地方議員の方はいっぱいいらっしゃいますので、そういう方々もその枠組みの中にお入りいただく、いわば門戸を開くという面もあると思いますので、そういう面でも期待をしております。
 2点目、国政への影響ということは、それは今申し上げたように、その地域に3党の国会議員がいればその方々をバインドすることに寄与すると思いますし、それは翻って永田町に来れば3党連携に寄与する基盤を強化することになると思います。

○憲法論議について

【フリーランス・上出記者】
 野党協力について伺いたい。今国会いろいろな記事が出ているが、その中に、改憲問題はあまり活発でなく進まなかったと、ちょっと否定的な記事も見受けられるが、私が見ていると逆に、希望の党も含めて安倍首相の掲げている9条改憲案には反対のトーンがはっきりしてきて、そういう意味では対立軸が見えたのではないかという感じがする。立憲民主党などはあえて土俵に乗らないと言っているが、見る人が見たら対立軸がはっきりしていると見えた。この辺、野党連携、特に憲法を中心にして、今の段階でどのように見ているか。

【代表】
 ちょっと新聞の社名は忘れましたが、一部の新聞の記事で確かに「憲法論議深まらず」みたいなタイトルもありましたが、私の印象は、私自身もそもそも憲法改正の前提となる手続の話も代表質問で総理に随分聞きましたが、ああいう問題も含めて、それから前国会では9条のことも私も聞きました。それに対する答弁も今回の答弁もそうですが、安倍さんご自身が「改憲」「改憲」と言いながら、質問されたことに対してきちっとお答えにならない。これが深まらない最大の理由だと思います。
 私どもも含めて、他の野党の中にも、改憲の緊要性を感じている政党はあまりないわけです。もちろん議論すべき点はいっぱいあるという立場は変わりません。環境権の問題とか地方分権とか、いろいろなことがありますが、ただ、安倍さんがおっしゃっているほどの緊要性は感じないわけですから、我々のほうからあえて何か論点を提示する合理性はないわけです。
 その中で、安倍さんだけが「改憲」「改憲」と言っておられるわけですから、そうすると安倍さんがご主張になっておられることに対する我々の質問に対して、あるいはその前提となる手続等の質問に対して、きちっとお答えいただければ深まると思います。
 だから、「やりたい」と言っている割には答えないという姿勢では、やはりこれは憲法改正という本当に国にとっては大きな大きな出来事ですから、とても安倍さんがそれを国民に説得できる環境にはならないと思います。

○党改革(2) ポリティカルイノベーションについて

【読売新聞・鈴木記者】
 代表に就任されて3ヵ月が経過した。就任時に「ポリティカルイノベーション」を掲げていたが、改めて「ポリティカルイノベーション」というのは何なのかということと、もう一点は、それが現状でどの程度実現できたとお考えか伺いたい。

【代表】
 「ポリティカルイノベーション」、前例にとらわれないで今の我々の類いまれな環境に対応していくという意味です。
 そういう意味では、先ほど日経さんからも質問がありましたが、地域政党ができる。そしてこの地域政党のネットワーク型の政党を目指していくというようなことも中で議論されていますので、これまでに例のないイノベーションに十分取り組んでいると思います。
 さらには、今度の大会の資料についてはきのう常幹で決まりましたので、多分皆様方にも案の段階で流れていると思いますが、我々は規約で、第48回総選挙で他党で立候補した元民進党議員や元民進党候補者を、調整の上で支援したり共同で活動していくことを認める、という経過措置を今度の大会にかけるわけです。これなどはまさしく前例のない話ですので、その他のことも含めて着実に取り組めていると思います。
 どのぐらいかという割合で示すことはできませんが、3ヵ月前に想定していたことについては、早い遅いは若干あるにせよ、確実に前に進んでいると思います。

○民進党の経済政策について

【「フランス10」・及川記者】
 「週刊文春」の連載で宮崎哲弥さんが、旧民主党というと何か経済成長について脱経済成長の路線が根強いのではないかと指摘されていた。民進党は、いわゆる成長の限界というような脱成長路線なのか、それとも経済の成長路線なのか、どちらなのか伺いたい。

【代表】
 民進党は、成長には決して後ろ向きではありません。ただし、成長至上主義ではありません。
 やはり健全な経済成長というのは、これも代表質問の中でも申し上げておりますが、成長を実現できるような人材・企業・産業、こういうものが育っていけばおのずと成長するわけであって、これは今の政府・与党がやっているような、またぞろ公共事業中心の経済政策で成長至上主義を追求するということとは一線を画していると思います。決して成長には後ろ向きではありません。

○次期参議院選挙について

【「フランス10」・及川記者】
 昨日、立憲民主党の枝野代表の定例会見があったが、そこで来年の参議院選挙、1人区においては野党が一本化するのが望ましいとおっしゃっていた。その発言についてと、民進党としては野党候補の1人区における一本化についてどのように調整していくのか伺いたい。

【代表】
 1人区一本化は当然のことだと思いますので、我々も立憲民主党の枝野さんに呼応してしっかり努力したいと思います。また、枝野さんは参議院選挙のことだけではなくて統一地方選挙のこともあわせて言っておられると思いますが、これも対応してまいります。  おそらく今度の大会の私の冒頭スピーチの中でも触れますが、これまでこの3ヵ月、立憲民主党の幹部あるいは希望の党の幹部の皆さんとはさまざまなチャンネルを通じて、直接・間接にいろいろ接点を持ってきております。元同僚ですから当然のことでありまして、そういう流れの中でのご発言だと思いますので、大いに歓迎したいと思います。

【時事通信・小松記者】
 私鉄総連が、前回参議院選挙では比例で民進党の候補として擁立した組織内候補を、来年の参議院選挙では立憲民主党から出すということで、きょう公認申請もした。こういう動きについてどういうふうに受けとめられているのか伺いたい。

【代表】
 私鉄さんはおそらく、立憲民主党、それから民進党も含めて、地方議員の皆さん等々も、これまで支援をしていただいている議員については引き続き同様の対応をしていただけると理解をしておりますが、その中で来年の参議院選挙についてそういうご判断をされたというのは、これは組織の独自のご判断ですから、私からそれについてコメントは差し控えたいと思います。
 ただ、先ほども申し上げたように、もともと3党は同じ党でやっていたわけですので、やはりこの3党が最終的に一つの力に結集できるようなプロセスだと思いますので、また私鉄の皆さんの今後の対応もしっかり見きわめたいと思います。

【時事通信・小松記者】
 基本的なスタンスとして、これまで民進党の比例で戦ってきた組合・組織には、引き続き来年の参議院選挙は民進党からという気持ちはある、という前提で今の話を伺ってよろしいか。

【代表】
 もちろん、あります。ありますが、皆さんもご承知のとおり、我々は12月26日に、「改革し、新しい党へ」という目標を定めているわけです。
 やはり今の民進党の支持率の状況、さらには昨年総選挙で候補者を立てなかったというこの事実を踏まえると、比例選挙に我々がどのような形で臨むのかということはまだ流動的です。そういうことも含めて、最終的には3党の力が結集できるようなプロセスに向けての今回のご判断だと思いますので、今後の動きを見きわめたいと思いますが、具体的にコメントをすることは差し控えたいと思います。

○補正予算における防衛費の計上について

【日本経済新聞・藤田記者】
 補正予算の件で冒頭発言があったが、今回、イージス・アショアの関連費用など防衛費用が結構入っている。ここ数年そういった傾向があるかと思うが、補正でそういう防衛予算が結構入っていることについて代表はどうお考えか。

【代表】
 やはり防衛予算というのは、補正には基本的になじまないですよね。
 例えば装備品でも、短期的に消費するようなものであれば、その年度期間中の補正というのは理解できるのですが、イージス・アショアとかF-35Aにかかわるものとかは、これは当年度中に消費するものではありませんので、やはり補正予算にそういう大きな防衛装備品が入ってくることについてはちょっと合理性に欠けると思います。

○友党との連携について

【朝日新聞・斉藤記者】
 民進党の強みは地方組織と連合だと思うが、愛知の地域政党の話があったが、私の理解では立憲はそこには入らないと思う。一方で立憲は多分10以上の都道府県組織を立ち上げると思う。立憲が立ち上げることにより、民進党の地方組織が侵食される懸念、また連合が分かれることによって民進党のパワーがそがれる懸念はあるかということと、3党結集の、連合が分かれることの行く末を見守りたいということがあったが、それは3党比例統一名簿みたいなものを目指しているということか。

【代表】
 まず愛知のケース。斉藤さん、ここの前は愛知にいらっしゃったので、愛知のクラブで毎週会っていたのでお詳しいのですが。確かに愛知のこの新党は、立憲に行かれた方はとりあえずはそこには参加しない。ただし、議会における会派は一緒にやるという方向のようです。これも初めての試みなので、まずは愛知の場合はそういう対応でスタートするということ以上でも以下でもありません。今後どういう展開になるかはしっかり見きわめたいと思います。
 それから立憲の地方組織が徐々に立ち上がる。これは国会議員の皆さんが50人いるわけですから、当然のことだと思います。ただし、例えば私が聞き及んでいる限りでは、埼玉県などでは3党の県連が共同運営しているというような話もお伺いしています。くどいようですが、もともと仲間なので、3党が力を結集していく。相手は自民党さんですからね。そのことを踏まえると、「侵食」というよりは、どういう枠組みを構築すると1+1+1が3ではなくて、1+1+1が5か6になるかということを考えたいと思います。
 だから、それは連合さんの、先ほどのご質問と関係しますが、今回の私鉄さんの対応も、それは私鉄さんとしてのご判断だと思いますが、こういうプロセスを経て最終的に3党結集の力が非常に大きなものになるような、今ロードマップをつくりつつあり、かつ、一部が徐々に具体化しつつあるという状況だと思います。