党役員会見に関する基本的な方針について

大塚耕平代表記者会見

2018年2月8日(木)14時58分~15時24分
編集・発行/民進党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=9e-GHJgvvS4


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○台湾東部で発生した地震災害について

【代表】
 台湾で大きな地震がありました。被害に遭われた皆さんにお見舞い申し上げますとともに、大勢の方が亡くなっておられます。お悔やみを申し上げたいと思います。
 まだ行方不明の方もたくさんいらっしゃるそうでありますので、日本政府としても協力できるところは最大限協力して対応していただきたいということを政府・与党には申し上げたいと思います。
 また、日本人も何人かおけがをされたと聞いております。被害の状況を我々としても把握したいと思っております。


■質疑

○人道的介入のための武力行使について

【「フランス10」・及川記者】
 戦争のことについて伺いたい。全面戦争、局地的戦争とあるが、1999年のコソボ紛争の時にトニー・ブレア英国首相が、人道的危機が生じた場合は軍事介入してもいいと、「価値の戦争(Value War)」ということをおっしゃった。去年トランプ大統領がフランスとともにシリアを空爆したのも、サリンをまいて国民を虐殺し人道的危機が生じたから「価値の戦争」を行ったということだと理解している。大塚代表は、この人道的介入、「価値の戦争」についてどのようにお考えになるのか。旧聞になるが、去年のシリア空爆についてどのようにお考えになっているのか伺いたい。

【代表】
 「価値の戦争」というブレア首相の判断が、どういう事実に基づいてどういう判断をされたか、ちょっと今すぐには存じ上げませんが、やはりいかなる戦争も避けなくてはならないと思っていますので、一方的判断で「価値の戦争」と言い切るのもなかなか難しい問題をはらんでいると思います。
 したがって、だからこそ国連安保理の決議などに従って国際社会の合意に基づいた対応が必要だと思いますので、そういう観点からこれらの問題は考えるべきだと思います。
 そういう観点でいうと、このシリアの空爆も非常に難しい問題を抱えていると思います。もちろん、シリアの迫害されている人たちに対する対応も必要だけれども、しかし、この空爆によってさらに一般市民が巻き込まれているという報道も多々ありますし、現にそうだと思います。
 いずれにしても、いかなる戦争も回避するべく、平和国家・日本としては最大限の努力をするべきだと思っています。

○名護市長選挙結果・沖縄県知事選挙について

【フリーランス・上出記者】
 先日の名護市長選で、民進党も支持(県連の推薦)した稲嶺市長が敗れた。いろいろな分析があるが、相当な組織戦で、有効投票の58%ぐらいを期日前投票で抱え込んだと。詳しい方に現地の話を聞くと、「オール沖縄」は危ない、と感じていた人もかなりいたようだ。いずれにしても保守系メディアなどを見ると、これでもう「オール沖縄」はだめだ、沖縄の2紙もこれでうそつきがわかった、ということで大騒ぎをして、追い討ちをかけるようないろいろなのがネットで飛び交っている。国政にも影響しそうで、米軍ヘリの事故などについても、沖縄で勝ったということで与党がだいぶ気を緩めて、野党が反対していることもどんどんやってくる雰囲気も感じる。そういうことも含めて、大塚代表の今回の名護市長選の総括というか、何が一番大事な点なのか、今後の「オール沖縄」についてどう関わっていかれるか伺いたい。

【代表】
 まず選挙結果についての公式のコメントは、選対委員長名で出させていただいていると思います。
 それを踏まえた上で、やはり勝たれた与党の候補者は名護の振興・経済問題を前面に出されたわけですので、選挙結果を争点的な観点で言えば、それらの主張をより浸透させることに努力をされた結果だという面はあります。
 とはいえ、皆さんもご承知のとおり、この数年間、名護市に対する国からの経済振興の予算がかなり絞り込まれていますので、いわば基地問題で政府の意に沿わなければ、そういった地域振興に関してかなり厳しい対応をするというようなことがあったとすれば、それらも影響しての経済振興問題に関する市民の皆さん、有権者の皆さんの投票結果だったと思います。
 これはこれで、沖縄にとっては非常に大きな選挙結果ではありましたが、しかし、この一つの選挙結果をもってして、沖縄の米軍問題や辺野古に関するさまざまな争点を政府・与党がこの後強引に物事を進めていいという免罪符になるとは全く思っていませんので、個別にこれからもそれらの争点についてはしっかり我々も対応していきますし、「オール沖縄」が今後もどのぐらいの力を持つかどうかというのは、次は今度は知事選挙に向けて試される機会が来ますので、我々もしっかりと争点やそれぞれの主張を見きわめた上で対応していきたいと思っています。

【フリーランス・上出記者】
 月曜日の増子輝彦幹事長の会見では、秋の知事選では何か一緒にやるような言い方を、今回と同じような野党連携というか、そういうようなことをおっしゃったように私のメモにはあるが、その辺は。

【代表】
 それはまだ党内で正式に議論して機関決定するとか、そういうことは一切ありません。
 さりながら、これまでの流れを踏まえつつ知事選の対応は考えたいと思います。

○期日前投票における本人確認について

【「フランス10」・及川記者】
 名護市長選挙で不在者投票が(有権者数の)40%以上と多かったということだが、昨年の衆議院選挙で不在者投票をした時に大変驚いた。投票整理券も必要ないし、身分証明書の提示の必要もない。住所、氏名、そして生年月日を書いて、それで投票できない理由について選択肢の中から選べば投票できてしまった。少なくとも身分証明書の提示くらいは不在者投票の時に課すべきではないかと思うが、いかがか。

【代表】
 私も不在者投票によく行きます。選挙当日はなかなか行けないので。そうすると、例の投票通知書を持って、私の選挙区では生年月日を聞かれたりしますので一定の本人確認は行われていると思いますが、やはりより厳密な本人確認というのはあってもおかしくはないと思いますので、それは我々にとっても検討課題だと思います。
 その時の身分証明書を何をもってするのかということも、もちろんあります。例えば全員が免許証を持っていれば免許証というのは一つの考え方ですが、全員が免許を持っているわけではないし、マイナンバーカードも全員がお持ちになっているわけではありません。たしかマイナンバーカードは交付率が8%とか、2桁にいっていないような感じです。そうすると、その本人証明というのを何をもってやるのかというのは、これはやはり検討しなければいけないでしょうね。

○中国の「一帯一路」構想について

【「フランス10」・浜田記者】
 昨年、中国共産党大会で新執行部が選出され、そこで習近平国家主席らによる中国の政策である「一帯一路」が打ち出された。このことについて欧米各国が賛成の意を打ち出している。日本は、安倍内閣は打ち出し方が若干弱いのではないかと感じるが、この点についての評価をどのようになさっているか、民進党では「一帯一路」についてどのように取り組んでおられるか伺いたい。

【代表】
 この「一帯一路」について公式見解を党としてまとめたということはないと思います。
 したがって私の個人的主張という観点でいうと、これは議事録に当たっていただければわかると思いますが、「一帯一路」には、やはり日本として、その中で影響力を発揮できるように何がしかのコミットをするべきではないか。
 「一帯一路」とセットになっているAIIBについても、設立当初から、早く参加すべきだと麻生財務大臣には申し上げ続けてきていましたが、最初の3年ぐらいは「全くその必要はない」という答弁でした。かつ「一帯一路」についても「静観する」の一点張りだったのですが、ここに来て、昨年ぐらいから少し前向きな姿勢を示し始めていますが、やはりヨーロッパの前のめりの姿勢、それから水面下ではアメリカがAIIBの経営幹部に国際金融機関の経営経験者を派遣することを事実上認めているとか、さまざまな背景の動きを考えると、日本としては対応が後手に回っているというのが個人的認識です。議会でもそういう主張をし続けています。
 ただ、党としてこの件について公式見解をまとめたということはありません。しかし、だいぶ世界経済の、あるいは戦略上の影響力も増していますので、「一帯一路」やAIIBについても党内でさらに議論を深めたいと思います。

○友党との連携(1) 希望の党の分党論について

【テレビ朝日・村上記者】
 きのう、希望の党の松沢氏らが分党を提案した。この一連の動きを代表はどうごらんになっているか。また、民進党が進める友党との連携にどう影響するとお考えか。

【代表】
 まず1点目は、これは他党の話ですから、私がコメントする立場にはありません。が、希望の党との統一会派の交渉の時に一定の政策的合意文書が私たちの間でまとまっていますので、その内容に照らしてみると、報道のような、松沢さんたちのご主張がされるというのは理解できないわけではないと思います。ただ、基本的に他党のことなので、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。
 その上で2点目ですが、私どもはご承知のとおり党大会も終わりまして、引き続き友党との連携を図るというのが大方針でありますので、この希望の党の動きが友党との連携の、何か障害がもし今あるとすれば、そのハードルを低くするような方向にこれが寄与するのであれば、それはそれで状況をよく見きわめたいと思います。
 ただ、報道で伺っているところでは、何か結論が出たわけではなく幹事長に一任されたということでありますので、今後の動きを見きわめたいと思います。

【NHK・稲田記者】
 松沢さんとは逆に、大串さんたちも、野党連携でまとまるために必要だったら自分たちも分党させてもらいたいと主張しているが、こういった動きについてはどういうふうに見られるか。

【代表】
 これも基本的には他党の動きなのでコメントすることは差し控えますが、やはり我々は友党との連携で、元民進党の議員の連携や大きな固まりを深める、そしてつくっていくという、この方向性には何ら変わりがないので、そういう観点で、これらの動きについても注目はしています。

○実体経済に対する過剰な流動性供給の分析と対策について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 大塚さんは経済学博士で、年末に(雑誌のインタビューで)「日銀マンとしてバブル崩壊を経験した私の肌感覚では、世界経済は1987年のブラックマンデー前の状況に似ている」と、つい最近そういうことを予測されていた。で、今週のニューヨーク・ダウの大暴落。何か予感が当たったというのか、どういう分析をされているのか、日本はどうしたらいいのか。ただ予測されているだけではとも思うが、そこを伺いたい。

【代表】
 年末に発言しただけではなくて、宮嶋さんもご承知のとおり、この分野に関してはずっと継続的に発言してきています。
 これは世界経済の実体経済の規模に対する流動性ないしはマネーのボリュームというのが、不均衡に拡大し過ぎているのですね。もう1970年のニクソン・ショック以来ずっとその傾向が続いていて、世界の流動性ないしはマネーの総量というのは定量的に把握し切れないのです。
 今、世界のGDPは日本円換算で大体6000兆円とか、7000兆円まではいかないくらいだと思うのですが、把握できるだけでもマネーはたぶんその3倍から4倍、1.8京円とか2.4京円ぐらいではないかとも言われていますので、やはりどこかでこの不均衡というのは是正されるということが、この40年、繰り返されてきているわけです。そういう意味でいうと、昨年ああいうふうに申し上げているのは、さまざまな指標を見るとまさしく87年当時の雰囲気に似ていたところがあると。
 宮嶋さんもご承知のとおり、あの頃は絵画であるとか、不動産は当然のごとく上がっていましたが、そういうようなことを考えると仮想通貨も怪しいなと思っていたら、きっかけはああいう仮想通貨の流出ということでしたが、それに伴って値は暴落していますし、暴落するということは、それだけ実体のない価格水準になっていたということですから。
 今申し上げた実体経済とマネーの規模の不均衡・乖離の調整が、いろいろなところで起きる。そういう環境にもう昨年ぐらいはなっているなという実感はありましたので、そういうことです。
 対策としては、実はリーマン・ショックの後の対応は、あの当時、参議院で多数派になっていた我々のほうがリーマン・ショックの危機対策チームというのをつくって、私が座長をやっておりましたが、国会図書館の会議室に関係省庁に集まってもらっていろいろな対策を提案して、当時の麻生総理、表向きはそれを採用したとは言ってくれていませんが、かなり各省庁それを参考にしてやってくれた部分があります。
 例えば、あの当時であれば、今はそれが商工中金問題にもつながったところがありますが、日本政策金融公庫に設けられていた危機対応業務を発動すべきだというようなことも申し上げていたところ、極端な危機は終わったにもかかわらず、それを悪用していたのが今回の商工中金事件ですが、そのことなど、さまざまな提案をしました。
 今回も早い段階から、例えば日銀の異常な金融緩和は、すぐに出口についてインプリメントな動きはできないものの、どういう方向に向かっていくべきかというシグナルは市場に示唆する段階に来ているということはもうおととしぐらいから申し上げています。例えば、日銀が過剰なハイパワードマネーの部分をどうやって抑制するのか。ないしは、これ政府はたぶん返済できませんから、そうすると例えば根雪の部分の日銀保有国債を永久債にするべきではないかとか、そういうことは申し上げてきています。
 アイデアは幾つかありますが、これ以上言うのは今のマーケットの状況を考えて差し控えたいと思いますが、党としてもしっかり議論していかなければいけないところだと思っています。

○友党との連携(2) 大串議員らとの昼食会について

【日本テレビ・中村記者】
 野党連携の話だが、大串さんたちの分党の動きを注目しているというお話があった。大塚代表は先ほど希望の党の大串議員らと会合を持たれたと思うが、その中でどういう話があったか伺いたい。

【代表】
 きょうは基本的には昼食会ですが、もちろん、今、希望の中でどういう議論が行われているとかというご報告も聞きましたし、私たちがどう考えているのかという質問もありましたので、意見交換をしました。
 しかし、やはり大きな意味で、来年の統一地方選挙・参議院選挙にプラスにつながるような対応をぜひしていただきたいということを私のほうから申し上げました。そして希望の党の中で、やはり十分に意思疎通を図っていただきたいと。何せみんな仲間ですから。我々にとっても、ほぼ全員が元同じ党の仲間でありますので、希望の党の中においても情報の齟齬が生じないようによく意思疎通をしていただきたい、ということをお願いしておきました。

○憲法論議 党内議論について

【日本経済新聞・藤田記者】
 憲法について伺いたい。自民党は憲法改正推進本部で議論を続けていて、野党も、希望の党や立憲民主でも党内の議論が進んでいると思うが、民進党としては新しく調査会を設けたり、新たな組織をつくる考えがあるのか。どういうふうに党内議論を進めていくのか伺いたい。

【代表】
 調査会、近々に設けます。
 調査会と(政調)第二部会が憲法審査会を担当していますので、調査会で議論しつつ、第二部会とも連携しながら対応を検討していくことになると思います。

○日韓首脳会談への期待について

【NHK・稲田記者】
 安倍総理が韓国に向かう。日韓首脳会談が想定されている。裏では、きょう平壌で軍事パレードもあるが、日韓首脳会談、安倍総理にどういったことを期待するか。日本の首相としてどういった振る舞いをすべきだとお考えか。

【代表】
 やはり首脳会談で、まず日本の首相として確認をしていただきたいことは、朝鮮半島で紛争が生じることのないように、慎重かつ戦略的な対応を韓国政府にもぜひ求めていただきたいと思います。あわせて、北朝鮮が核開発やミサイル開発などを断念する方向で、日韓が足並みを揃えて対応するということをぜひ求めてもらいたいと思っております。

【NHK・稲田記者】
 慰安婦問題については。

【代表】
 これについては、韓国側の動向は皆さんもご承知のとおりですが、やはり過去のさまざまな経緯を尊重して対応するように韓国の大統領には求めていただきたいなと思っています。