衆院予算委員会で21日、2018年度政府予算に関する公聴会が開かれ、午後の質疑では原口一博副代表が中空麻奈(BNPパリバ証券投資調査本部長)、上西充子(法政大学キャリアデザイン学部教授)、寺西笑子(全国過労死を考える家族の会代表世話人)、藤原直哉(NPO法人日本再生プログラム推進フォーラム理事長)の各公述人の意見陳述を踏まえて質問した。

 原口副代表は、現在の金融情勢について、「中央銀行バブルだと思っている。起債して新たな価値を作るやり方がもう破綻している。バーチャルマネーが世界を席巻し、3年に1度金融危機があり、それを何とかするために中央政府は財政出動をして大赤字になる。そして国民は倒産と失業と生活の悪化に見舞われる。この負の連鎖をどう断ち切るか」として、考えを求めた。藤原公述人は、「日銀としては、進退窮まってしまったというところが本当のところだと思う。現下の金融の行き詰まりの最大の原因は、金融政策をやっている人のあまりにもひどい不見識にある。また金融政策を考えた時に、日本はまだ余裕があるので助けてほしいと各国から言われる懸念がある。その時に日本として、どこまでお金を出すのか、その後どうするのかなど、本物の国家戦略を作っておかないといけない」などと答えた。

 原口副代表は、「トランプ大統領は、1ドルを50円ぐらいにデフォルトするのではないかという感じを受ける。金融の安全保障という形で国家戦略を持っておかなければいけないと思う」と述べ、所見を求めた。藤原公述人は、「米国は(ドルを)平気で切り下げをするということが過去何度かある。日本はドル債券をたくさん持っているが、トランプ大統領登場以来ドル安の流れが止まっていない。日本政府には、トランプ政権の真意を確かめることぐらいはしてほしい」と答えた。

 働き方改革については、「労働法制は生きることそのもの。そこをないがしろにすれば全ての人の命が奪われる。労働政策審議会(労政審)の議論を見てみると、労政審は何のデータをもとに一般労働者と裁量労働者を比べていたかというと何のデータもない。それどころか比べる議論さえしていない」と指摘した。上西公述人は、「労政審とは別に方針が決められて、その結論を労政審が下請け的にやらなければならない状況になっている。それでは本来の、命と健康を守りながらという議論ができない。労政審の在り方そのものを、今回の議論を契機に見直してもらいたい」と答えた。

公述人に質問する原口議員

公述人に質問する原口議員