民進、立憲、希望、共産、自由、社民の野党6党は23日昼、「裁量労働制再調査と佐川国税庁長官らの証人喚問を求める野党合同院内集会」を国会内で開いた。

平野博文国会対策委員長

平野国会対策委員長

 民進党を代表してあいさつに立った平野博文国会対策委員長は、全国過労死を考える家族の会メンバーの参加を得ての会となったことに謝意を示したうえで、集会に先立ち行われた与野党幹事長・国対委員長会談に言及。21日の野党幹事長・書記局長・国会対策委員長会談で確認した5項目を与党側に申し入れたところ、与党幹事長が来週早々に回答すると応じたことを報告し、「われわれは最後の最後までこの問題について皆さんと一緒に戦っていく」と表明した。

 「特に大事なことは、この社会を支えている、一生懸命働いている皆さん方の命を守ることだ。(裁量労働制で働く労働者の)実態が把握されていない中での立法は、断固として認めるわけにはいかない」と力を込めた。サラリーマンの経験もある平野国対委員長は、「政府はいいところ取りをしているが、われわれは、弱い立場にある、しかしこの社会を支えている労働者の皆さん方の命と働く環境をいかに守っていくかということに尽きると思っている。2月中には(政府が法案を)提出してくるという予測もあるが、出す環境にはまったくないということをあらためて皆さんと共有していかなければいけない。予算の大きな山場に来ているが、この問題が解決されない限り、われわれは最後まで断固として戦う」と宣言し、ともに戦おうと呼びかけた。

「全国過労死を考える家族の会」寺西笑子代表世話人

全国過労死を考える家族の会の寺西代表世話人

 全国過労死を考える家族の会代表世話人の寺西笑子さんは「私たちは2015年度からこの裁量労働制拡大に反対声明を出していた。なぜなら家族の会には、もう20年前から裁量労働制で過労死されている方がいる。そういう現状をこれまでも社会に警鐘を鳴らしてきた。しかし政府は、そういうことを一切取り上げてくれず、反対の方向へ進んでいる。こうした裁量労働制は年収要件がないことで若い人たちがターゲットになる。大変な仕事のなかで成果だけ求められ、その成果をこなすために長時間労働を余儀なくされる。今、政府側は、『自由な時間で好きに働ける』『希望するものだけ』だなどと言うが、そんなことは実際の職場ではさらさらない。職場で言われたら、一言の反論もなく、命令を受けて懸命にこなすことしかできない。その果てに死人が出る。私たちはその現実を目の当たりにしているからこそ、これ以上働くことで死人を出してはいけないということで意見を申し上げてきた。国は国民の命を守る法律をつくるところではないのか。国民の命を奪う裁量労働制の拡大は絶対認めない。命が奪われる法律を黙って見過ごすことはできない」と訴えた。

 寺西さんはまた、同日19時15分から加藤厚生労働大臣との面談がセットされた旨も報告し、「短い時間ではあるが、家族の会の仲間と現状を大臣に直接お伝えしたいということで準備をしている。加藤厚労大臣の質疑を聞いていると安倍総理と同じ。よく現実を理解してほしいということで、私たちの言葉でお伝えしたいと思っている。働き方改革(関連法案)をこのまま通さないように国会議員の皆さん、ぜひ力を貸してほしい」とも語った。

「裁量労働制再調査と佐川国税庁長官らの証人喚問を求める野党合同院内集会」