党役員会見に関する基本的な方針について

大塚耕平代表記者会見

2018年2月22日(木)15時00分~15時28分
編集・発行/民進党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=5qn9kqsrElE


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○米軍戦闘機のエンジン火災・燃料タンク投棄について

【代表】
 まず冒頭、また米軍機による機材の落下事故がございました。落下というよりも、青森県の小川原湖に燃料タンクを投棄したというニュースを聞いております。沖縄でのさまざまな事案を含め、政府には、米軍ないしは米国政府に対して適切に対処するように求めたいと思いますし、我々も折に触れて、こうしたことが繰り返されないように求めていきたいと思います。

○「竹島の日」に当たって

【代表】
 きょうは「竹島の日」であります。竹島は我が国固有の領土であり、国際法に基づいて適切に処理されることを望みたいと思います。

○「働き方改革」関連法案について

【代表】
 加えて、「働き方改革」をめぐっては、皆さんご承知のとおり、大変ずさんなデータに基づいて法案が作成されていたことが徐々に明らかになりつつあります。
 やはり政府には、真摯にこの状況を受けとめて、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度については、今回提出しようとしている法案から少なくともこれを削除することは当然のこととして、謙虚に対応していただきたいと思います。


■質疑

○米軍戦闘機のエンジン火災・燃料タンク投棄について

【フリーランス・上出記者】
 冒頭でおっしゃった米軍機の燃料タンクの湖への投棄だが、当然、補償の問題が生じてくる。しじみ湖が燃料で汚れてしまっており、自衛隊がいろいろな作業をしているということだが、これは本来米軍に補償させるのが筋だが、今の日米安保条約では日本が肩代わりする形になりかねない。その辺の法的な根拠や認識、それから民進党としては特に被害を受けた漁業者にどういう対応をしていくべきだと思っておられるか伺いたい。

【代表】
 まず、燃料タンクからの燃料漏れ及び漁業への被害等については、詳細に実情を把握した上で具体的なことは申し述べたいと思います。
 一般論として、例えば沖縄での基地周辺の防音工事等、これらも本来は米軍側が担うべきものを国が対応しているようなケースもあろうかと思います。今回もし漁業補償が必要な状況が出ているとすれば、沖縄のそうした対応から推察するに、おそらく何らかの日本政府としての対応はするのだと思いますが、本来それでいいのかどうかということについては、今ご質問のような観点から別の対応もあり得べしと思いますので、これはしっかり議論していきたいと思います。
 党としては、先ほど申し上げましたように、実情をよく把握した上で対応を考えたいと思います。

○「働き方改革」関連法案への対応について(1)

【テレビ朝日・村上記者】
 「働き方改革」法案について伺いたい。束ね法案の中には、残業時間の上限規制など、野党としても賛成できる部分が含まれていると思うが、民進党としてはそこも含めて提出見送りをすべきというお考えか。

【代表】
 昨日、幹事長会談が6党で行われて、合意事項の一つに「働き方改革関連法案の提出を見送ることを強く求める」と入っているのは承知しております。
 しかし、この「働き方改革」関連法案は、先ほど申し上げました裁量労働制や高プロが入った上での「働き方改革」関連法案だと理解していますので、根本的に問題がある事項について削除したものであれば、これはやはり提出し議論し、賛同すべきものは賛同したいと思っています。

【朝日新聞・斉藤記者】
 裁量労働制拡大の施行を延期することが検討されているようだが、延期されるのであれば今国会で提出・成立させる必然性はあると考えられるか。

【代表】
 まず、検討されているかどうかという事実関係は我々は確認できませんので、仮定の質問にはちょっとお答えしにくいのですが、不完全なものを含んだまま法律を成立させて、1年後にはそれを施行するというのはあまり合理的な対応ではないと思いますので、先ほど村上さんにお答えしたとおり、それらは削除した上で成立させるということはあり得ると思います。

【時事通信・小松記者】
 「削除」というのは、裁量労働制だけではなくて高度プロフェッショナル制度も削除された場合は、ということか。

【代表】
 そうです。今、データ的には裁量労働制のデータが問題になっていますが、高度プロフェッショナル制度についてもこれからさまざまな問題点がさらに指摘されると思いますし、我々はもともと問題だと思っているわけですから、この二つは削除すべきだと思います。

【時事通信・小松記者】
 公明党の党内の会議で、施行の1年延期などの方針が政府から説明されたが、出席者からは、延期だけでもつのか、もっとボロボロとデータの不備が出てくるのではないか、みたいなことを懸念する声が出たそうだ。与党内からそういう意見が出ていることについてどう思われるか。
 それと、今回の問題に関しての厚生労働大臣の責任問題、辞任なりを求めていくのかどうかについても伺いたい。

【代表】
 まず、与党内で法案提出を目前に控えてそういう議論が出てくるというのは、お寒い話だと言わざるを得ません。この段階で与党内でそういう議論になるのであれば、やはりその対象の部分は潔く削除して、我々も賛成できる内容にして出していただけるのが一番ありがたいと思います。
 厚労大臣の責任問題については、これから少し国会でも議論が深まると思いますが、わかっていたのに何日間も事実と異なる答弁をしたのであれば、これはやはり責任は大きいと思います。
 「一つの調査データの扱いにすぎないのではないか」的な、軽く見ている思いがあるのかもしれませんが、裁量労働制が現実に適用されている企業では実際には相当な過重労働負担が出ていて、やめたいとか、あるいは実際に過労の問題とかも生じているわけで、国民の健康や、場合によっては生死にかかわるような問題であるという、そういう自覚が厚生労働大臣には足りないと思いますので、意図的に何日間も事実と異なる答弁をしていたことが明らかになれば、辞任に値する対応だと思います。

○外交政策・日米同盟に関する基本姿勢について

【「フランス10」・及川記者】
 大塚代表は著書(『「賢い愚か者」の未来』)の中で、「米国追随の原則が対外的に明々白々であれば、日本の外交行動を予測することは極めて簡単。予測が容易であるほどバーゲニングパワーは低下する。日米同盟を基本としつつも独自の主張をすることが、多極化時代の外交の要諦である」と。まさに同感だが、ただ、民主党政権も独自の外交をできたかというと、そうはいかないと思う。9.11の時にフランスの外務大臣だったユベール・ヴェドリーヌさんが、フランスの外交姿勢として「同盟すれども同調せず」という基本方針を示した。これも外交の要諦だと思うが、もし民進党政権になった場合、対米自立の状態で独自外交を展開するためにどのような政策を掲げていこうとお考えか。

【代表】
 まず、「同盟すれども同調せず」という、そのフランスの政治家のお言葉は極めて的確なお言葉だと私も今感じました。いつもいろいろ教えていただいてありがとうございます。
 日米安保が重要であるということは、これは我が党も変わりがない認識でありますし、米国は重要な同盟国だと思っています。しかし、これは11月の代表質問で聞いて総理がお答えにならなかった部分が実は重要で、ご記憶にあるかどうかわかりませんが、「自国の利益を犠牲にして他国の利益を守る国はない」というのが現実の国際社会の姿であると。その本にも書いてあると思います。
 とすると、僕は代表質問で総理に聞きました。「米国もそういう国際標準の国だと捉えているのか、それとも、自国の利益を犠牲にしてでも他国の利益、例えば日本の利益を守る国家と捉えているのか、伺います」と聞いたら、完全に答弁をスルーしました。したがって、今度、参議院に予算委員会が回ってきた際に、もし質問する機会があれば、ここはもう一回確認したいと思います。
 やはり独立国家である以上、アメリカも、この東アジアの問題であれ、さまざまな問題で自国にとってのプラス・マイナスを考えて判断するのが米国大統領としては当然であります。とすると、日本としてもそういうことについての繊細な注意力が必要なわけです。
 そう考えると、例えばアメリカとも、同盟すれども安易に同調しないという立場でもし外交をするとすれば、やはりEU諸国であったり、あるいは我々はこの極東から引っ越すことはできないわけですから、当然近隣国である韓国や中国と、ここも深いさまざまな交渉をし、そして交渉のカードを持つということがなければ、これはそもそもカードゲームにならないわけです。
 そういう意味では、安倍政権がどのぐらいそれをやっているかはつまびらかにわかりませんが、我々としてはもし政権をまたお預かりすることができれば、たくさんのカードを持つということを念頭に、まさしく多極的な外交を展開していくべきだと思います。

○受動喫煙対策 健康増進法改正案について

【日本経済新聞・藤田記者】
 きょう自民党の厚労部会で、受動喫煙を防止する健康増進法改正案が了承されたが、一部の、中小企業がやられているところや、店舗が小さいところは喫煙可能という内容で、ちょっと後退している部分もあると思う。これについての受けとめと、党として受動喫煙対策をどう進めていくか、考えを伺いたい。

【代表】
 これは党としてはまだ公式見解をまとめていませんが、うちの党内にも多分自民党さんと同じような幅の議論があろうかと思います。
 したがって現時点では私個人の受けとめ方ですが、中小企業や小規模店舗に配慮するという考え方にも一定の合理性があるようにも思えますが、やはり受動喫煙というのは他者の健康に与える影響でありますので、これは極力他者に影響を与えないような方向に話を収れんさせていくべき問題だと思います。
 党内で議論がある時には、そういうことを念頭に置きながら議論を進めてもらいたいと思っています。

○奨学金をめぐる課題について

【「フランス10」・酒井記者】
 ゲイレポーター、酒井佑人です。12日の朝日新聞の記事だが、奨学金破産が親族に広がり、過去5年間の自己破産が延べ1万5000人とのことだった。今、奨学金の返済に苦しむ若い世代に対してどのような対案をとっていくのか伺いたい。

【代表】
 まず、いいご質問なのでこの機会にご理解いただきたいのは、やはり政権交代というのはすごく意味があって、私たちが2009年に政権をお預かりしたことによって――私たちの主張は、社会保障のルーツはイギリスで、このイギリスにおいては社会保障は「ゆりかごから墓場まで」という言い方をされているわけです。ところが日本では、「ゆりかごから就職するまでは自己責任」という、こういう傾向の強い運営がされてきた。その中で、例えば奨学金の問題などもだんだん深刻になってきて、それにスポットを当てたわけです、我々も。したがって、こう申し上げてはなんですが、安倍さんですら、自民党政権ですらこの問題を注視しなければならなくなっているというのは、やはり政権交代があるからこそこういうふうに社会問題についての改革が前に進むわけであります。
 政権交代が必要だということをご理解いただいた上で、そして、そのもとでもこの奨学金の問題がなかなか改善が進まないで、今おっしゃるような状況が起きているわけです。我々としては、今、野党ですから、できることといえば、教育無償化案も含めた教育政策にもっと予算を投入するように議会でしっかり求めていくということに加え、それから実際のその破産の事例とかさまざまな事案が、これは我々も全部を知ることはできませんが、もしマスコミの皆さんなどの報道によって深刻な事案を知ることになれば、それを具体的に国会で取り扱ったり、あるいは関係省庁と話をする機会は持ちたいと思っています。

○「竹島の日」について

【フリーランス・安積記者】
 「竹島の日」について伺いたい。立憲民主の亀井亜紀子衆議院議員が、政府による「竹島の日」制定を求める質問主意書を出した。政府がこの問題についてもっと積極的に関与すべきではないかということだが、民進党としては政府がこの日を制定すべきであるかどうか、どうお考えか。
 きょう県で記念式典が行われているが、出席者が、党の代表ではなく領土議連のメンバーだが、自民党、希望の党、立憲民主で、民進党からはどなたもいらっしゃらなかった。これについてどうお考えか。

【代表】
 まず後段ですが、石橋通宏参議院議員が県連の代表として出席しているそうですので、それはそのようにご認識をいただければと思います。
 その上で、党としてというよりも、これは日本の主張として、竹島は日本固有の領土であり、今不法占拠されているという立場なわけですから、これは「竹島の日」を県指定の日というよりも政府指定の日とする合理性はもちろんあると思います。そうするかどうかについてはもちろん政府の判断ですが、今申し上げたように合理性はあるわけですから、これは政府としては真剣に検討すべき課題だと思います。
 もとをただせば、「李承晩ライン」が引かれて以降、長い間、事実上さまざまな不法占拠に至る行為が行われていたのが自民党政権によって放置されてきたこと。これが今日につながっているわけですので、今後は適切に対応されることを望みたいと思います。

【フリーランス・安積記者】
 民主党政権の時に島根県のほうから、例えば外相に出席してほしいとか、そういった陳情が随分来ていたと思うが、当時の外相の会見での答えは、県主催のセレモニーなので外相が出席する必要がないということで、民主党政権の時の取り組みは全く消極的だったが、やはり積極的であるべきだったとお考えか。また、もし民進党が再度政権を取る時にはこの問題について積極的に取り組もうとお考えか。

【代表】
 まず、その当時の事実関係は承知していませんので、今の情報だけからはなかなか判断しづらい面がありますが、先ほど申し上げたように、合理性はあるわけですから、より積極的に対応を検討すべき課題だとは思います。
 きょうはうれしいですね、何度も「もし民進党が政権を取ったら」と皆さんが質問してくださるので、だんだんその気になってきましたが、また政権をお預かりできれば積極的に検討すべき課題だと思います。

○友党連携 スケート女子団体追い抜きの金メダル獲得について

【NHK・稲田記者】
 オリンピックで、高木姉妹を含めてパシュートで金メダルを取った。代表はかねがね「友党」と言って、弟分というような言い方をしているが、3党それぞれ「政権を取る」と言いながら、どうもペースもバラバラだし向いている方向も一緒でない気がする。なぜパシュートで金メダルを取った人たちのように平仄を合わせて同じ方向に向かっていくことができないのか、代表はどうお考えか。

【代表】
 オリンピックから入ったので、何のご質問かと思ったら、そういう展開ですか。(笑い)
 まず、金メダルを獲得されたことは大変喜ばしいことですし、お祝いを申し上げたいと思います。やはりあそこに至る過程では、呼吸を合わせるための相当な蓄積があった結果だと思います。それと同時に、個人個人のトレーニングの問題、それをサポートしてくれるコーチや周辺の皆さん、さらには応援してくださる皆さん、こういうものが総体となってあのすばらしい結果につながっていますので、あえてそういう例えをしてくださったので申し上げれば、この3党連携も同じだと思います。
 やはり我々としてはまず蓄積が必要ですから、だからこそさまざまな懸案について「3党で一緒にやろう」と呼びかけて、なかなか立憲が応じていただけず、希望とは一緒にやれることが大分多くなってきましたが、少なくともきのうは、3党の幹事長会談は福山さんは拒否されたわけですが、福山さんのほうから「6党でやりたい」というお話だったので、6党幹事長会談が開かれた。これも含めて、そういう緊密な連携、呼吸合わせができるような蓄積が大事。これが第1。
 それから、2番目はトレーニング。これは各党各党が強くなっていかなければ連携効果は出てきませんので、そのトレーニングに関しては、これは議会活動をきちっと積み重ねていくということであります。
 それからコーチ、あるいは周辺の関係者の皆さんという意味では、これは我々にとってはいわば連合の皆さんがそれに近い存在で、だからこそコーチも応援してくれて「政策・制度推進フォーラム」というのをおつくりいただいたわけであります。コーチがそこまで「頑張れ」と言ってくれているので、3党幹事長会談を申し出たわけです。残念ながら現時点ではそれに応じてもらえなかったわけですが、引き続きそういうコーチを含めた関係者の皆さんのご協力も必要です。
 さらに、最後はやはり応援してくれる皆さん。これは我々の努力も必要ですが、国民の皆さんが、いつも私申し上げているように、憲法において国民の皆さんご自身が主権者と定められている。そのことの意味は何かといえば政府を総選挙で選択できることなんだ、ということをご理解いただければ、「何を3党バラバラでやっているんだ。総選挙で、小選挙区制であれば与党に、特に自民党に対して、固まりにならなければ自分たちが主権者として政府を選ぶことができないではないか」というお気持ちになっていただければおのずと、ちょっと頼りない選手である我々に対しても温かくも厳しい応援をいただけるようになり、そのことが支持率回復につながっていくと思いますので、そうなるように努力したいと思います。

○「働き方改革」関連法案への対応について(2)

【フリーランス・上出記者】
 「働き方改革」の野党6党合同ヒアリングで、過労死の遺族の会の方たちの話を聞いたが、管理職といっても実際には裁量権がない、会社の言うままに働いて、心配でしようがなかったが、結局自殺したり亡くなっている。裁量労働制の問題が改めてよくわかったが、そういうのがなかなか自民党側に反映されていかない。直接つながっているかはわからないが、大きいのは連合の姿勢だと思う。連合が一時、裁量労働制(拡大)に賛成し、改めたが、本当に労働者の立場に立っているのか。昔でいう労働貴族的なイメージが拭えない。今回の問題に対して連合といろいろ話をしていると思うが、本当にこれをなくしていくために国民運動を展開するとか、連合が先頭に立ってやるような雰囲気が期待できるのか。その辺を伺いたい。

【代表】
 まず連合の皆さんも、現状においては、裁量労働制と高プロはこれはもう反対だという明確なお立場ですから、そういう意味では我々と考え方を一にしていますので、その方向で進みたいと思います。
 あわせて、やはり自民党の皆さんは、憲法もそうだし法律もそうなのですが、ちょっとその本質の捉え方が我々と違う面があるなと思います。
 労働法制は、「どこまではやってもいい」ということを定めるものではなくて、「何はやってはいけない」ということを定めるものなのですね。
 憲法も、ご承知のとおり、あれは国民を縛るものではなくて、権力の側に、自己規制を図るために一定の枠をはめる。もちろんそこには理想も書かれますが。
 そういう統治構造や法理の捉え方というものが私たちとはかなり違うなと思いますので、そういうことがつまびらかになるような国会の議論にこれから努めたいと思います。