参院予算委員会で1日に開かれた2018年度予算に関する基本的質疑で民進党会派の3番手として質疑に立った吉川沙織議員は、(1)アベノミクスと新3本の矢とGDP基準改定(2)統計等データの在り方(3)働き方改革関連法案と立法府との関係(4)公文書管理の在り方と立法府との関係(5)統計等データに基づく政策立案の必要性――について、安倍総理らに質問した。

 裁量労働に関する実態調査の虚偽データ問題では、「実態把握に相応の時間をかけるというが、相応の時間とはどのくらいか。実態の把握とは何をどうするのか」と質問。これに対して加藤厚生労働大臣は、「新たな形式、新たなやり方で調査などしていく必要がある。分析にもそれなりの時間がかかり、議論し直すということなので当然労政審等でも議論してもらう」と答え、再調査の実施と議論のやり直しをするということを明言した。

 公文書管理の在り方について吉川議員は、森友学園への国有地売却問題で財務省が会計検査院の求めに応じて速やかに関係資料を提出することができなかったことを取り上げ、「会計検査院の国会への報告の直前になって多くの資料が見つかった。実地検査に応じなければならない会計検査院法に反していないか。立法府の意思も会計検査院からの要請も軽んじているのではないか」と指摘したが、麻生財務大臣は、「全面的に協力した。気が付かなかったということ」と強弁した。

 吉川議員は、「行政の信頼性を獲得するための文書がどこを探しても見つからない、見つけられなかった。平時でもあってはならないことだ。今回は国民注視かつ国会法に基づく立法府からの検査要請であっても、(昨年3月の検査要請から)7カ月もの間文書を探索しても分からなかった。厚生労働省の場合は倉庫に32箱の段ボールが一生懸命探して見つかったということだが、これでは行政文書をはじめとする公文書管理の在り方そのものに疑問符が付きかねない」と厳しく指摘し、安倍総理に所感を求めたが、安倍総理は「昨年末に行政文書の管理に関するガイドラインを改正し、公文書管理の質を高める取り組みを行った。今後は同ガイドラインに沿って適切な公文書管理に努めていく」と通り一遍の答弁にとどまった。