参院予算委員会で1日に開かれた2018年度予算に関する基本的質疑の第1日目で、民進党・新緑風会の2番手として質問に立った川合孝典議員は、(1)学校法人森友学園への国有地売却問題(2)生活保護基準の引き下げ(3)子ども・子育て支援予算(4)働き方改革関連法案――等の問題をただした。

 川合議員は会計検査院の調査報告提出後、財務省が後出しのように出してきた文書「森友学園事業についての法律相談の文書」を取り上げ、「これまでの答弁と整合性がとれない点を見つけた」と指摘。当該文書で「学校法人は交渉が長期化して工期が遅れることを『国の責任』と主張している」との問いに、「工期が遅れても原則として国側に過失はない」との回答がある点に着目。国の過失となる恐れがないのに、なぜ値引き額の決定を急いだのか理由をただしたが、財務省理財局長から明確な答弁はなかった。また、当該文書に「相手方に費用の支出等をさせるような行為は以後慎むべき」と書かれている点を「法的に不適切だと法務部門が感じるようなことを担当がやりとりしていることを強く疑わせる記述だ」とも指摘した。そのうえで川合議員は「疑惑解明にはゴミがあったのかを調べればいい」として、森友学園のボーリング調査を求めたが麻生財務大臣は「土地は国に返還されたが建物があり、建物はわれわれのものでないのでただちに調査とはいかない」などと逃げの答弁に終始。川合議員は、この問題をめぐる佐川前理財局長の虚偽答弁は明らかだとして証人喚問を強く求めた。

 生活保護基準の引き下げに関しては、都市部の高齢単身世帯、多子世帯の切り下げ幅が大きい点を問題視。「多子世帯が大きく減らされるのは安倍政権が進める少子化対策に逆行するのではないか」との見方を川合議員は示した。そのうえで生活保護制度の捕捉率について確認を求めたが、厚生労働省では正確な調査が行われていない実態が質疑から明らかになった。川合議員は、捕捉率とは生活保護基準未満の低所得者が生活保護を受けずに自立している数値であると説明したうえで、「本来生活保護を受ける権利・資格を有していながら、それ以下の賃金水準で生活している人をベースに、所得の中央値との比較で生活保護基準が出される。計算の根拠となる母集団を把握できないと正しい意味での生活保護基準は算定できないのではないか」と問題提起。「これをベースにして計算を行うと、改定を行うたびに生活保護基準が切り下げられることにつながる」「低い部分にターゲットを当てて、それとの均衡のなかで生活保護基準を考えることはさらなる貧困層を生み出すことにつながりかねない」と述べ、算定の在り方を見直すよう求めた。

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