党役員会見に関する基本的な方針について

増子輝彦幹事長記者会見

2018年3月5日(月)15時00分~15時27分
編集・発行/民進党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=RRiZgWpW3qk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「働き方改革」法案 高度プロフェッショナル制度について

【幹事長】
 先週、国会審議の中で大きな動きがありました。ご案内のとおり、政府側としては「働き方改革」、まさに今国会の一丁目一番地であり、「働き方改革国会」と安倍総理みずからが命名したように、ここが最大の重要な法案であります。
 このことについて、裁量労働制の適用拡大についての除外ということが明らかになりましたし、今後私どもとしても、これらを含めてさらにしっかりと国会の議論を通じながら、高度プロフェッショナル制度の問題についても除外をしていきたい。今後とも国会でそういう論戦をしながら、その実現をしていきたいと思っているところでございます。
 きょうも参議院(予算委)の集中審議が行われておりまして、私どもの足立信也政務調査会長と石橋通宏議員が大変いい質疑をしたと思っております。

○森友問題 財務省公文書改ざん疑惑について

【幹事長】
 あわせて、もう一つ。新聞報道で、国会に示された森友学園の資料に改ざんがあったのではないかという問題については、衆議院の財務金融委員会と参議院の予算委員会で、ともに財務省がこのことについてあす報告するということが一応決まっておりますが、それらを含めてしっかりと事実関係を確かめていきたいと私ども思っております。
 場合によっては、これは公文書偽造という大変大きな問題にもつながってまいりますし、財務大臣の責任問題、あわせて内閣自体の問題ということにもなっていく可能性もありますが、まだ現時点ではその真偽のほどが確かではございませんので、あすの報告を待ちながら、いろいろな形の中で私どもとしても対応していきたい。
 いずれにしても、先ほど申し上げた「働き方改革」法案についての問題。今回のこの原本と違うのではないかということ。これもさきの野党6党の幹事長・書記局長会談や、さまざまな国会対策委員長たちのご努力によって、やはり野党が一致結束すればしかるべき成果がきちっと得られる。安倍一強政治に対峙していくためには、やはり野党がしっかりと連携して、一致結束してやっていくことが極めて大事だということが証明された一つでありますので、今後とも私ども、立憲・希望・民進を中心として野党連携をしっかりやっていきたいなと、そういう思いを持っているところでございます。


■質疑

○東日本震災から間もなく7年に当たって

【「フランス10」・及川記者】
 次の日曜日で東日本震災から7年になる。現在の復興状況と、安倍政権の復興政策について、福島出身であり福島選出の議員である増子幹事長に伺いたい。

【幹事長】
 あの大震災、東京電力第1原発の事故から3月11日で7年が経過いたします。
 私ども政権与党時代に発災したこの未曾有の大災害。私ども1年9ヵ月の政権与党時代に、やれることは全てやろうということでしっかりと対応してきたつもりであります。当時の野党から「遅い」「何もやらない」等々のご批判をいただきながらも、全力でこの対応をしてきたつもりであります。
 同時に、この災害復旧についてはオールジャパンでやっていかなければいけない。そんな強い思いを持ちながら、今の政権の進め方について、私どもは重箱の隅をつつくようなことはやらない。あくまでも建設的な支援、どうやって災害から復旧させていくのか。特に福島原発の放射能との戦いの中で苦しんでいる方々と、どのような形で一日も早くこの福島に戻れるか、福島の現状を回復していくかということに、一緒になって頑張っていきたいと思って今日まで取り組んでまいりました。
 東日本大震災からの復旧については、一定の効果が上がってきていることは事実でありますが、しかし、日の当たる場所だけではなく、まだまだ日の当たらない苦しい生活を強いられている人々や地域においては、今後しっかりと対応していかなければいけないと思っております。
 私から言うと、ようやく5合目に達したぐらいなのかなと、そんな思いを強く持っております。ただ、福島の場合はご案内のとおり原発との戦いですから、まだまだこれからの対応が極めて重要でありますし、ここについては3合目ぐらいなのかなと、そんな思いを持っております。
 特に燃料デブリの取り出しや汚染水という、福島第1原発、1Fの収束には長い時間がかかる。場合によっては100年ぐらいかかるかもしれないという危機感の中で、これに伴う風評被害対策、あるいは子どもたちの健康や安心の問題、あるいは農産物の問題。さまざまな課題が山積しておりまして、よく言われる「二つの風」、風化と風評被害。これらとしっかり対峙して、一日も早い放射能災害からの復興というものを、私どもはオール福島、オールジャパンでしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 この10日に福島の復興道路の一部が開通する予定になっておりまして、ここにはどうも安倍総理もお見えになるという一部報道がされております。私は前から申し上げているのですが、総理にも、でき上がったものだけに参加するのではなくて、陰の部分、なかなか現状厳しいところにも足を運んで、その現状をしっかりと自分の目、自分の体と心で感じ取ってほしいということは質疑を通しても申し上げてまいりました。ぜひ、短時間・何ヵ所も回るのではなくて、やはり厳しい現状のところに足を運び、じっくりとそういう被災者の声を聞きながら、これからの復興のための努力もいただきたいということをお願いしている最中でございます。
 いずれにしても大変厳しい現状の中で、オールジャパンの中でしっかりと今後の復興・再生のために努力してまいりたいと思っておりますし、民進党としても福島復興・原発事故対策本部、私が本部長として今取り組んでおりますので、今まで以上に復興の加速に取り組んでまいりたいと思っております。今日まで復興に大変頑張ってきた方々に感謝申し上げると同時に、被災し依然として苦しんでいる方々には申しわけない気持ちでおりますが、さらに皆さんが安心できる体制づくりにしっかり取り組んでまいりたい。そんな気持ちでいます。

○奨学金制度について

【「フランス10」・酒井記者】
 ゲイレポーター、酒井佑人です。2月12日の朝日新聞の記事で、学生が奨学金を返せずに、その奨学金破産が親族まで広がっており、過去5年間の自己破産が1万5千人ということだった。今、奨学金に苦しむ若者に対してどのような対案をとっていくのか。具体的に対案を伺いたい。

【幹事長】
 ご案内のとおり、奨学金の問題は国の重要な課題の一つであります。給付型という形を含めて、今後どのような形で奨学金制度をきちっと制度化していくかということは、政府はもちろんのこと、我々にとっても大変重要な課題でございます。
 今の政府も、一部このような形の中で、奨学金制度についての改善に取り組んでいることは一定の評価はいたしますが、私は、今まで受けてきた方々、今後受ける方々、それぞれの今後のきちっとした方向性をもう一度しっかりとつくり上げていかなければいけないと思っておりますので、これから受ける方々については給付型をしっかりとやっていかなければいけないのではないかと思っております。
 今まで受けた方々についての返済についても、ある意味では猶予期間を少し延長するとか、あるいは何らかの形でこれらの皆さんの人生設計の中で大きな負担にならないように改善ができるということがまだあるならば、これは我々もよく検討していかなければいけないと思っております。
 特に大学進学ということがこれからの人材養成の中で一つの非常に大きな要素だと私たちは思っておりますので、学びたい人が学べる環境をしっかりとつくり上げていくことは国の責任であると思っております。これについても与野党の壁はありませんので、よく政府側とも連携をとりながら、私どもの党としてもしっかりとそういう体制を確立していきたいと思っています。

○党改革 「新しい党」への生まれ変わりについて

【読売新聞・鈴木記者】
 高松での香川県連大会の時に、「新しい党」への移行時期について、これまで「メーデー」と発言していたのが、「4月中に」とおっしゃっていた。改めてこの意図というか、時期が早まったと捉えればいいのか伺いたい。

【幹事長】
 このことについては、きょうも報道が幾つかありましたが、前から私自身としては個人的には、桜の咲く頃、遅くともメーデーの前までには、と申し上げてまいりました。メーデーの前ということは当然4月末ということです。
 昨日の香川県連大会の前に連合香川の会長さんや事務局長さんとお話をさせていただいた中でも、「できる限り具体的な時期も示してもらうと、我々としてもしっかりとした対応を今後ともしていかなければいけないことを考えると、何らかの形でそういう話があるといいですね」というご要望も承りながら、私としては「メーデーの前まで」というところを具体的に「4月中に」ということを申し上げたところでありまして、何ら意味合いは変わっていません。「メーデー前」か「4月中」かということの違いだけでありまして、基本的な考え方は全く変わっていません。
 それからもう一つ、ぜひ皆さんにも誤解のないようにしていただきたいことは、希望の党と我々新党ということではなくて、我々は、ご案内のとおり12月26日の両院議員総会・全国幹事会・自治体議員団等役員合同会議の中で五つの事項を確認しながら、その前文で「できる限り早期に新しい党として『生まれ変わる』」ということもご承認いただいております。党大会やいろいろな場所でもこのことについて申し上げておりますし、「中道政党を目指す」という代表のお話のとおり、我々としては特定の政党を対象として「新しい党」に生まれ変わるということではありません。
 今後の安倍政治に対峙して、一強の安倍政治としっかり戦いながら、政権交代を将来的に目指すためにも、理念・政策、あるいは選挙対策等々、私どもと一緒にやれる方々であればどなたとでも、しっかりと「新しい党」をつくっていきたいという思いでございますので、希望の党の方々とだけという考え方は全く持っておりません。いろいろな方々がここにご参加いただけるならば、そういう意味での「新しい党」に生まれ変わる、「新党」という意味でご理解いただきたいと思っております。

【産経新聞・廣池記者】
 4月中に新党という考えは、衆院側の「無所属の会」も含めて認識は共有されているという理解でよろしいか。

【幹事長】
 認識が共有されているということではなく、「無所属の会」の(民進)党籍を持つ皆さんも含めて、みんなで一緒に「新しい党」に生まれ変わるということが基本的な考え方です。
 これから、私どもが申し上げているとおり、昨日申し上げた4月中、メーデー前までには、次の統一地方選挙や参議院選挙を戦うことにおいては、やはりどんなに遅くとも1年前には「新しい党」という形の中で戦うことがいいだろうという考え方です。
 我が党の中としては「無所属の会」の皆さんとも一緒にそういう党に生まれ変わっていくということが基本的な考えであることは間違いありませんし、これから皆さんにいろいろな形の中で、我々もどういうことをしていくのか、必要なのかということを考えながら具体的にしていきたいと思っています。

○元党所属国会議員の首長転身について

【朝日新聞・岡本記者】
 先月から元民主党・元民進党で首長に当選される方が相次ぎ、幹事長も代表も、それは喜ばしいことだと。もちろんいろいろなところに仲間がいるのは喜ばしいことであるのはわかるが、今まで選挙を戦ったりしてきた経験をお持ちの方が首長に行ったことで、また衆議院議員や参議院議員の候補として新人を見つけてこないといけない。そういったデメリットはどのようにお考えになっているか伺いたい。

【幹事長】
 基本的にデメリットはないと私は思っています。
 国会議員を経験された方々がそれぞれの道を歩むという決断をする時に、また国政へ、あるいは地方自治へ、あるいは違う分野へ、それぞれの判断・決断があると思います。そういう意味では本当に多くのかつての仲間が首長に当選していくということは、それぞれの皆さんが自分の決断の中で「この道を歩もう」ということですから。
 そこに当選できたということは、国政の経験を生かして。ましてや私どもは地方重視ということを非常に強く打ち出しています。この人口減少・少子化という今の現象の中で、地方自治のあり方というのは極めて重要になってまいりますから、こういう方々が首長になっていくということはその地域にとっても大変喜ばしいことであり、そういう方々が自分の道を選んで首長になることについては我々としても本当にうれしいことであり、全面的にご支援もしていきたいと思っていますので、それはそれとして私は大きな評価をいたしております。
 一方、残念ながら議席を失った方々が、平たく言えば予備軍として次の国政選挙の候補者として数えることができるということであるならば、そういう人がいなくなったことはちょっとマイナスではないのかという考え方は私はとっておりません。必ず、今の日本の政治の世界の中でも社会の中でも、政治を志して、まさに「青雲の志」で国政に挑戦しようという新たな方が出てきますから。また新たな人材を、私たちがその人たちの思いを受けとめて、お願いをしたりみずから手を挙げていく方々と一緒になって、これから日本の政治の改革に取り組んでいくということは全く心配しておりません。
 必ずそういう方が現れてくるだろうと思っておりますので、それぞれの決断を評価しながら、私どもは一緒に行動していくことができれば大変うれしいと思っています。

○対米関係 米国の鉄鋼・アルミ輸入制限方針について

【フリーランス・上出記者】
 新聞などでも大きく報道されているが、米国のトランプ政権が鉄鋼・アルミに25%という非常に高い関税をかける。日本も例外ではないということで、政権の中では問題になっていると思うが、いろいろなことをやってきたトランプ大統領について、私が出ている限り、閣僚が会見などで直接の言葉で批判したことは一度もない。本当にトランプさんの機嫌を損じないように。ヨーロッパのようなきちんとした批判は聞いたことがない。そういうことも含め、今のこういう問題への対応について幹事長としてはどのように見ているか伺いたい。

【幹事長】
 トランプ大統領が誕生する以前の選挙戦、あるいは誕生後の、彼の基本的なポリシーといいますか政策というか理念というか、「アメリカ・ファースト」ですから。自国第一主義ということ。これはいわゆる国を分断してでもそういう方向をしっかりと貫いていく、公約も全て実行していくのだということで、この1年数ヵ月過ぎて、秋には中間選挙を迎えるわけですが、これはトランプ大統領の考え方です。
 それに安倍政権がまさに一体となったような感じの行動を今までしてきていることについては、私も安倍政権にそのことを予算委員会でただしましたが、それは安倍政権・安倍首相の考え方ですから、批判するというよりも心配を私はしております。非常に心配をしております。しかし、それがどうこうということで我々が批判してどうのこうのと言及すべきではないと思っています。心配している。万が一、トランプ大統領が辞任ということに仮になったときに、一体この国はどうなってしまうのだろうという心配も含めて、私は大変憂慮しているわけです。
 実は今回の通商問題も、安い物がアメリカに入ってくることによって国内の産業がおかしくなっていくということですが、必ずしもそれが自国ファーストとつながっているとは限らない部分もあります。ですから、(米)国内でも一部批判が出ていることは間違いないわけです。
 今の世界の流れからいえば、自国一国で全ての物事が解決できるということはあり得ないと私は思っておりますので、そういう意味では全ての問題について世界が連携して、しっかりとお互いに虚心坦懐に、経済も社会問題も、あるいは政治も、連携していかなければそう簡単に自国が繁栄するとは思えませんので、非常に憂慮し心配しているというのが率直な私の考え方でございます。
 日本は今のところ移民問題も極めて大きな問題にはなっておりませんが、ただ、外国人労働者を我が国が受け入れなければこの人手不足等の問題が解決できないということも事実であります。このことが移民問題とは全く関係ないのかといえば必ずしもそうではないような気がいたしておりますので、そういう意味も含めて、アメリカのような分断国家にならないように、注意深く、私たちのこの日本は行動していかなければいけないし、そういう政治判断もしていかなければいけないのだろうと思っておりますので、安倍首相・安倍政権がトランプさんにあまりにも近づき過ぎて批判を全くしないということが、外交として、国の立場として本当にいいのかということについて憂慮・心配をしているということであります。

○憲法論議 軍事司法制度をめぐる議論について

【「フランス10」・及川記者】
 東京工業大学の中島岳志先生が先週の東京新聞の「論壇時評」で、個別的自衛権について、「現状において、個別的自衛権は憲法上、認められている。日本は他国からの攻撃に対して応戦する権利を有している。この自衛権の行使は、戦争にほかならない。戦争では、国際人道法違反としての『戦争犯罪』が生じることを想定しなければならない。しかし、日本には戦争犯罪を扱う法体系が整備されていない」と軍司法制度の必要性を説いているが、幹事長は軍司法制度が必要だと思われるか。もし必要だとしたら、どのように整備すべきか。その点について伺いたい。

【幹事長】
 中島岳志先生とも大変親しくおつき合いをさせていただいて、いろいろな形の中でまたご教授いただいております。
 私どもとしても、私個人としても、個別的自衛権はもちろん我が国は保持するわけですから、他国からの侵略があればそれについて対抗することは当然のことだと思っております。しかし、それは専守防衛ということで私は考えているわけですが、それにかかわる今のような問題については、日本の国では、過去の大戦ということも踏まえながら、どのような形できちっとしたものをつくっていくかということ。今後の私どもにとっても実は大きな問題提起だと思っていますので、そのことについてはまた幅広くご意見をいただきながら、しっかりと一つの形をつくっていくことも必要かなと。個人的にはそんな思いを持っています。

○練馬区議補選の対応について

【フリーランス・堀田記者】
 4月8日に練馬の区議補選がある。小池さんのところが区議を都議選に出したので5人欠けているので補選があるが、すごく優秀な女性の戦いになっている。自民党は予算委員会の筆頭の秘書が出る。民進党から分かれた党も出す。小林興起先生のところからも出る。葛飾区議選では負けたのに、都民ファーストも出す。ネットからも出る。ワイドショー並みに美人の戦いだ。ところが小川敏夫さんがいる練馬区から民進党が出ていない。これは出すようにしていただきたい。

【幹事長】
 この(地方選挙対応の)件については前回も堀田さんから問題提起をいただきました。
 直ちに選対と、現状はどういうことかということを聞いて、私ども一定の認識を持って、できればここにきちんと候補者を立てるような党の再生を図ろうということで、今、議論をしていますので、ご期待に添えるような態勢にできればと思っています。しっかり頑張っていきます。