民進党など野党6党は6日昼、財務省「森友文書」ねつ造疑惑の調査に関して財務省から同日朝の参院予算委員会理事会に「ゼロ回答」があったことを受け、合同ヒアリングを国会内で開き、財務省の担当者から話を聞いた。

 朝日新聞の2日付の報道によって浮上した公文書ねつ造疑惑について、国会質疑やヒアリング等での野党の追及を受け、財務省は省内調査を行って6日までに状況を国会に報告するとしていた。参院予算委員会理事会への報告では、文書の書き換え疑惑について「現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄について告発を受けて、捜査が行われている状況にあり、財務省としては、この捜査に全面的に協力している」「調査にあたっては、多くの文書の確認が必要となるが、これらの文書は、告発を受けた捜査の対象となっており、すべての文書を直ちに確認できない状況になっている」などとする文書(参院予算委員会理事会配布資料=PDFダウンロード参照)を提出。調査を進める方針だけを示し、書き換え文書があったかについては、ほぼ「ゼロ回答だ」だった。

 ヒアリングでも財務省は「調査している」「事実関係を確認している」「全省を挙げて文書の確認、職員への聞き取り調査を行っている」などとする回答を繰り返した。

 野党の国会議員団が5日に近畿財務局を訪れ、決裁文書の原本の閲覧を求める合同調査を行った際のやりとりも報告された。財務省本省から近畿財務局に「中に入れずに仮設の応接で対応するように」等の指示があったとされるが、野党議員団が現場で説得を重ねて管財部の担当者等に対応を求め、「パソコンにあるデータから取り出した文書」を合同調査団は入手。「パソコンにはPDF等で保存してあるのではないかと思われる。本省が近畿財務局に問い合わせればすぐに分かるはずだ」などと指摘した。

 ヒアリングに出席した議員らは「朝日新聞で報道された2つの決裁文書の存否を確認し明らかにする、調査はそれだけでいいはずだ」と指摘、その対応を行うかの確認を財務省に求めたが、財務省担当者は「その点も含めて確認させていただいている」などと回答するにとどまった。

 前回5日のヒアリングで小西洋之議員が指摘した「決裁文書の内容に間違いがないよう、チェックしていく際に役所で慣習とされることの多い、センテンス毎等に確認の印をつけた『●』の痕跡」が、国会議員に開示された文書の7ページ以下にはあるのに、1~6ページには付されていない点について確認を求める声も出た。これに関連して5日の合同調査で近畿財務局から入手した文書(PDFダウンロード参照)が示され、この文書の1~6面には「レ」点があることに注目が集まった。

 「大阪地検の捜査の対象となっている」ことを理由にコメントを差し控えるとする「ゼロ回答」が繰り返されるなか、ヒアリングではまた、これまでも司法捜査中の事案であっても国会で証人喚問が実施されたことがある点をふまえ、司法捜査が国政調査権に優先する根拠について説明を求める声があった。5日のヒアリングでも小西洋之議員が政府の統一見解を文書で出すよう求めていた。これに対して財務省は文書の準備はまだできていないとしつつ、「直接の法令上の根拠は存在しない」と認めた。「国政調査権を背景としたご質問については財務省としては重々受け止めているが、個別の答えに当たって、その都度、捜査に影響を与えるかについては慎重に判断をさせていただきたい」などと語った。

PDF「3月6日朝に財務省が参院予算委員会理事会で配布した資料」3月6日朝に財務省が参院予算委員会理事会で配布した資料

PDF「3月5日に議員調査団が近畿財務局で入手した「レ」点入り文書」3月5日に議員調査団が近畿財務局で入手した「レ」点入り文書

PDF「昨年2月以降に財務省が国会議員に開示した決裁文書」昨年2月以降に財務省が国会議員に開示した決裁文書