党役員会見に関する基本的な方針について

岡田克也「無所属の会」代表記者会見

2018年3月27日(火)13時19分~13時38分
編集・発行/民進党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○佐川前国税庁長官証人喚問 午前中の尋問を終えて

【「無所属の会」代表】
 まず、きょう午前中の佐川前国税庁長官の理財局長時代の件に関する証人喚問ですが、非常に残念だったと申し上げたいと思います。
 最初に委員長のほうから基本的な質問がありましたが、そのとき佐川さんはこう答えたわけですね、「国会において大きな混乱を招き、行政の信頼を揺るがすような事態になったことは、まことに申しわけない」と。言っていることの意味がご自身でおわかりなのか、と私は思いました。
 「国会における混乱」というが、事実はどういうことかというと、国会における虚偽の答弁。そして差し替えられた文書の提出、つまり事実でない文書の提出ということですね。「混乱」ではないのです。事実としてそういったことがなされて、そして「行政の信頼を揺るがす」ということですが、財務省初め行政そのものが国民から見て全く信頼が失墜してしまっているということで、「国会の混乱」や「行政に対する信頼を揺るがす事態になった」という軽い言葉で済まされるようなことではないということを申し上げておきたいと思います。
 そして、「全ての責任は私にある」ということと「刑事訴追の可能性がある」ということで、質問にはほとんど答えられなかったわけですが、本当にみずからがやったことをしっかり自覚しておられるのであれば、正直にお話しになるべきであったと。返す返すも残念なことだと申し上げておきたいと思います。
 午後にはしっかりと、みずからが今まで行ってきたこと、国会あるいは行政に対して及ぼした影響の大きさに鑑みて、正直にお話しになることを期待したいと思います。

○自民党改憲案について

【「無所属の会」代表】
 自民党大会があり、憲法の改正案がまとまりました。個々にコメントするのは、それは党としてしっかり議論した上でと思いますが、9条の改憲案について一言だけ申し上げておきたいと思います。
 今回の改憲案、非常に問題があると私は思います。もちろん、安倍政権のもとで憲法9条の議論を行うことは適切でないと、私はかねがね申し上げております。立憲主義あるいは憲法の平和主義というものを理解しない安倍総理のもとで議論しても、ろくな結果にはならないと考えているからです。
 しかし、その上で申し上げますと、今回の改憲案、9条の2の新設ですけれども、この中で大きな懸念が二つあります。
 一つは、自衛隊について。従来の政府解釈では、自衛のための必要最小限度のものでなければならないとしていたのを、最初の案にはあったようですが、それを削除してしまって、「そのための実力組織として自衛隊を保持する」と。これは従来の政府の憲法解釈を、憲法改正の中で変えるということですから、必要最小限でなくていいということを言外に含んだ、つまり今までとは違う結果を憲法改正によって実現しようとしていると、そういうふうに言われても仕方がないと思います。
 最近いろいろ自衛隊の装備について、航空機も発着できるような空母化でありますとか、そのほか敵基地攻撃能力とか、いろいろな議論がなされていますが、いわばそれを先取りしたような案であると。自衛隊の装備が際限なくなってしまうことを極めて懸念しているところです。
 もう一つは、(自民改憲案の)9条の規定は、「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず」というふうにしているわけです。これは存立危機事態よりもさらに広い概念で、場合によってはフルスペックの集団的自衛権を認めかねない、そういう表現だと思います。
 「いやいや、9条2項は残っているからいいじゃないか」という議論もあるかもしれませんが、やはり新しい条項のほうが古い条項を上書きをするわけで、9条2項が今いろいろな規定を置いておりますが、そして今の政府の解釈では、この規定があることによってフルスペックの集団的自衛権は認められないと、こういうふうに言っているわけですが、新たに9条の2が加わることでフルスペックの集団的自衛権を認めるという解釈になりかねない。そういう問題だと思っております。
 したがって、「今までと変わらない」と安倍総理は言っていますが、大きく変えることを意図した改正案であると言わざるを得ないと思っております。


■質疑

○森友問題 佐川前国税庁長官の証人喚問について(1)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 議院証言法には、正当な事由がなければ証言を拒むことはできないというのが大前提で、その正当事由の中に訴追の可能性が出てくるわけだが、例えば「決裁文書をあなたは見たことはあるのか」と言われて、それが訴追だと言われても、そんなのがどうして正当事由なのか。正当事由の幅を拡大解釈すればそうだが、議院証言法違反のレベルの証言かなと私は思った。道徳的な問題ではなく、そういうレベルの問題ではないのかと思ったが、その辺はどうか。

【「無所属の会」代表】
 きょうの共産党の小池さんの質問の中でもそういうくだりがありましたね。ですから、「訴追のおそれ」ということを盾にして全ての証言を拒んでいる、重要な証言を拒んでいると見られても仕方のないような、そういうやりとりだったと思います。
 したがって、議会としてこれをどうするかということは今後与野党でしっかり検討されなければならない。もちろん午後のやりとりを見てからですが、そういう話だと思っております。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 現段階で正当事由というのは、訴追と言っているが、議院証言法違反の疑いがあるようなレベルの証言内容だったのではないかという印象を持たれているのかどうか伺いたい。

【「無所属の会」代表】
 持っております。

【読売新聞・前田記者】
 証人喚問のもとで、安倍総理、安倍昭恵さんの「関与はなかった」と言ったことについてはいかがか。

【「無所属の会」代表】
 それだけ妙にはっきり言われましたね。あとはほとんど答弁を拒んでいましたが。非常に唐突感を受けました。
 それ以上のことは憶測になりますから言いませんが、全て理財局の中のことであって、そして自分に責任があると、いろいろなことを背負い込まれて、しかし具体論は言わない。官邸や安倍さんからの「影響はなかった」ということだけは明確に言われたと。そこだけ非常に明確に言われたことに、私は首をかしげざるを得ませんでした。

【共同通信・小野塚記者】
 きょうで佐川さんの喚問は一区切りになるかと思うが、午前中まで聞かれて、今後、野党側は迫田さん、谷さん、昭恵さんの喚問も求めているが、その必要性についてはどのようにお考えになったか。

【「無所属の会」代表】
 きょうの答弁を見て、さらに疑惑は深まったというか、実質的な答弁はなされていませんので、それは証人喚問、今、野党が名前を出しておりますが、その順番はどうなるかはともかくとして、さらに証人喚問を重ねないと真実に迫れないと思います。

【共同通信・小野塚記者】
 予算案が28日に参院を通る見通しだ。そうすると野党の追及の場がなくなるのではないかという懸念があるが、今後野党としてどのように引き続き追及していくべきとお考えか。

【「無所属の会」代表】
 もちろん既存の委員会の中でも、例えば官房長官が出てくる内閣委員会でありますとか、総理が各委員会に出られることもあります。そういう場を通じてということも可能ですが、同時に、かつてあったような、専門に議論する、そういう調査会を設けるということも一つのアイデアとしてはあると。  いずれにしてもその辺は野党間でよく話し合った上で、与党と交渉してもらう話だと思います。

○敵基地攻撃能力・護衛艦空母化をめぐる議論について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 先ほどの話は、具体論で護衛艦の「いずも」だと思う。エレベーターも戦闘機が入れるようなことになっているようだ。その辺の問題も含めて、例えば「いずも」の空母化みたいなことについてはどのようにごらんになるのか伺いたい。

【「無所属の会」代表】
 そこに何を積むかということは明言していませんのでわかりませんが、しかし攻撃的な装備については従来は自重してきたはずです。
 もし戦闘機を積むということになると、その戦闘機が、装備にもよりますが、当然攻撃、相手のところまで行って、船で、「いずも」で近くまで運んで、そこから敵の領土・領海・領空に攻撃をかけることも可能になってきますから、それは質的に全く変わったものになるということだと思います。

○軍事司法制度に類する制度の制定をめぐる議論について

【「フランス10」・及川記者】
 憲法関連だが、日本は軍事司法制度が整っていないので、もし侵略されて戦争になった場合、国際人道法における戦争犯罪を裁くシステムができていない。今ジブチに派遣しているが、司法制度もジブチに全部放棄させてしまっている。岡田さんとしては軍事司法制度をどのように整備していくべきだとお考えか。

【「無所属の会」代表】
 これは、今までの安全保障法制の議論などでもたびたび議論になっていることです。
 自衛隊は、軍ではないです。しかし、同様の状況に自衛隊員が遭遇するとすれば、それに対する法的手当ては必要だと私は思っています。

○東京都迷惑防止条例改正案について

【「フランス10」・及川記者】
 都の迷惑防止条例が本会議で今月末に可決されそうだが、その評価と、きのう増子幹事長に聞いたところでは、増子さんは個人的には反対だとおっしゃっていた。委員会では中村洋さんという民進党の都議会議員が賛成してしまった。それについてどう思うか。

【「無所属の会」代表】
 迷惑防止条例は都議会のことですし、我が党の幹部が一人ひとり違うことを言うというのはいかがかと思いますので、コメントは控えたいと思います。

○イラク戦争開戦から15年に当たって

【「フランス10」・及川記者】
 3月20日でイラク戦争から15周年ということで、海外のメディアが検証記事をやっている。岡田さんは外務大臣も務められ、改めてイラク戦争をどう総括するか。なぜ民主党政権の時にイラク戦争を総括することができなかったかということについて伺いたい。

【「無所属の会」代表】
 イラク戦争については、実は私が副総理を務めていた時に、外務省でイラク戦争を始めたことについての検証を行いました。その上で、これを閣議に報告したいということだったのですが、私は中身を見て、これは閣議で報告するに値しないものであると。したがって、外務省でまとめることは自由だが、閣議にかけるのは私は反対する、というふうに申し上げたところです。
 なぜそういうふうに申し上げたかというと、結局外務省の中だけの検証であって、しかも外務大臣という言葉はたしか出てこなかったと思うんですね。今ようやく、4種しか公表されていませんが、官邸のことについては全く言及されていない。なぜ小泉さんが「支持する」と突然言ったのかということも検証されていませんし、国連における外交的な努力、それについても官邸でどういう判断をしたのかということについて全く触れられていない。そもそも政務については触れられていないので、これは内閣としての検証には値しないということで、私は閣議にかけることは認めないというふうに申し上げたところです。
 その部分に対しては、また改めてどこかで検証しなければいけないということだと思いますが、外務省の皆さんからすると、当時の関係者がまだ内閣の中にいるわけです。例えば谷内さんとか。なかなかやりにくかろうというふうに思いますね。もう少し時間がたって客観的に議論できるような状況になったときに、しっかりとしたものを出してもらうということかなと思っています。

○森友問題 佐川前国税庁長官の証人喚問について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 国税庁長官まで務めた人物が議院証言法違反を疑われるような証言しかしないという、その動機。今、財務省の側は内部調査をしているが、改ざんの経緯を一切公表してこない。財務省の調査とのそごが出ないように一切語らないというのか、「決裁文書を見たことがあるかどうか」ということも答えないような証言は証言法違反だと、国政調査権をなめているんじゃないかぐらいに思うが、この人の動機は何だとお考えか。

【「無所属の会」代表】
 昨年、財務省の人に私、申し上げたのです。「佐川さん立派だ。完璧に答弁した。財務省は当面守られたかもしれないけれども、国民の信頼を全面的に失ったね」と申し上げたのですね。
 財務省が信頼を取り戻すためには、本当のことを言うしかないと申し上げてきました。今回も同じことを申し上げたいと思います。
 佐川さんとしては、全部自分がひっかぶって、そして理財局という狭い範囲の中で、彼らなりの省益を守ったということかもしれません。しかし、結果的には財務省への国民の信頼は地に落ちているわけです。明治以来続いてきた大蔵省・財務省という霞が関の中でも非常に重要な役割を果たしてきた役所が、その信頼が地に落ちている。これは簡単には回復しません。
 本当のことをしっかり言う中で回復していく努力をするしか道はないのだと私は思います。佐川さんには、そういうことに思い当たってもらいたかったと思っています。