民進党は30日夕、党本部で両院議員総会を開催し、前日29日の常任幹事会で了承された今後の党の方向性に関する提案「民主主義と国民生活を守るために――『新しい民主党』をつくる――」について1時間半にわたって協議したのち、拍手で了承した。

 両院議員総会の冒頭で大塚耕平代表は、「新年度が始まるこの局面だが今後の党の在り方について皆さまに諮り、ご指導いただき、新たな一歩をスタートさせていただきたい」と語り、「できる限り早期に『中道的な新しい党』を目指す」とした2月4日の党大会での承認事項に基づいてその後もさまざまな検討と意見聴取を行ってきた結果として提案を行っていると表明した。

 「党内にさまざまな意見があることは重々承知している。この5カ月、国会議員の皆さんだけでなく自治体議員、事務局、外部の皆さんの声も頂きながら、どのような道を取り得るのか考えをつくしてきた。全員がもろ手を挙げて賛成していただける案は作りえないということをご理解いただきたい。そうしたなか、森友問題はご承知のような展開のなかで、民主主義を軽んじる安倍政権の国会運営の姿勢は極まってきた。だからこそ今、昨年の総選挙の中で不条理にもばらばらになってしまった同志に結集を呼びかけたいという総合的な判断から提案をさせていただくことにした」と語った。そのうえで提案内容のポイントについて説明した。

1.「中道的な新しい党」「新しい民主党」である新党を結党する(存続政党は民進党)。

 これについては「その心は地方組織の皆さんだ。統一地方自治体選挙まであと1年となった地方組織、自治体議員の皆さま方のことを考えると、この局面で地方組織に過大な負担をかけるわけにはいかないので、これは存続政党として地方組織に最小限の負荷をかける形で新しい党に移行させていただきたいという趣旨だ」と説明した。

2.志を共有する同志に結集を呼びかける。

 これについては、「引き続き3党連携の姿勢で同志に働きかけをしていきたいと思う。さりながら、この5カ月、各党の状況はご承知の通りなので、努力は引き続きするが、元の仲間と新しい党を作って民主主義を軽んじる安倍政権と対峙(たいじ)したいという痛切な声を届けてくれる仲間がいるので、安倍政権を打倒するため、あらたな固まりをつくるために結集したいと言ってくれている仲間のための受け皿を作らせていただきたい」「再結集ではない、政治は過去には戻れない」などと説明した。

 大塚代表はまた、「大変不条理な展開の中で、都道府県・総支部ごとに事情がそれぞれ違うので、これから私たちが志を共有する同志と新党協議会でさまざま議論しても、いろいろな事情で判断が難しいという方もいるかもしれない。しかし最終的な目標は一緒であるから『中央および地方の党所属議員、候補者の個別事情に配慮しつつ、新党結党後も多くの仲間と連携できる枠組みを目指します』ということ」だと説明した。「私としては協議が整ったら、一致結束して全員で新党に、そしてそこには昔の仲間が新たな結集として集ってくれる形で、後半国会4月、5月、6月、できれば延長に持ち込んで7月と、この国会活動のなかで新たな党の存在感を国民の皆さんに見ていただく、このことが大変大事なことだという思いからこのタイミングでの提案とさせてもらった」と補足した。

 今回の提案内容については、全国ブロック代表幹事、党全国青年委員会、女性議員ネットワーク会議、自治体議員フォーラムの代表者に同日朝の段階で説明したことを報告し、今後も地方の声を大事に党運営を行っていく考えを示した。また、昨年総選挙の惜敗者からも新党に結集したいとの声が寄せられていることを紹介。「このような事情もお汲み取りいただいて、たいへん難しい判断だという事は重々承知しているがこの方向でできるだけ早く形を整えて、皆さんのご賛同もいただいて一歩前に進ませていただきたい」と求めた。

 大塚代表の提案を受けて総会を懇談会に切り換えて1時間半にわたって意見交換が行った。議論が概ね出尽くしたあと、再び総会に切り替え、「立憲民主党も希望の党も、そして3党の中には入っていない完全な無所属の皆さんも含めて、敵は安倍政権で、民主主義をないがしろにしている自民党政権だということで気持ちをひとつにして、できれば1人でも多くの固まりを作らせていただきたい。立憲民主党までうまく一緒になれない場合でも、連携をして総選挙には全体が一丸となって戦えるような枠組みを、引き続き、それぞれの立場で目指していくことも含めてご提案する」と大塚代表は述べ、「新しい民主党」をつくるという今回の提案は拍手で了承された。

PDF「民主主義と国民生活を守るために――「新しい民主党」をつくる」民主主義と国民生活を守るために――「新しい民主党」をつくる

両院議員総会を開催 「新しい民主党」をつくる提案を拍手で了承


■大塚耕平代表記者会見

 

 両院議員総会後に記者会見した大塚代表は、前日の執行役員会と常任幹事会で承認された今回の提案が両院議員総会で承認された旨を報告した。

 そのうえで「私たちは安倍政権が民主主義を軽んじる、そして国民生活に重きを置かない政治運営をしていることに断固対峙(たいじ)していくために、新たに民主主義と国民生活を守る仲間の結集を図るために同志に呼びかけていくことを決定した」と語った。

両院議員総会後に会見する大塚代表

両院議員総会後に会見する大塚代表

 具体的な決定事項については(1)「中道的な新しい党」「新しい民主党」である新党を結党する(2)志を共有する同志に結集を呼びかける――の2点だとあらためて説明。「もちろん一緒に新しい党を、新党を作る仲間の皆さんと綱領・党名等の所要事項を検討しなくてはならないので、参画意思のある同志との新党協議会を立ち上げたいと思っている」と語り、週明けに元民進党議員を中心に新党に参加してほしいと呼びかけていく考えを示した。  「その結果としてどのくらいの皆さんが呼応してくれるかは現時点では分からないが、少なくとも今よりも大きな固まりとなって、衆参バランスのとれた政党として今の安倍政権と対峙(たいじ)していきたいと思う。国会開会中の難しい時期であったが、森友事件に象徴されるように安倍政権の不公正・不透明な、そして熟議を避けて国政を運営するこの体質はわれわれは断じて許すわけにはいかないという姿勢で向き合っていかなくはならない」「だからこそこのタイミングで新党の結集を呼びかけさせていただいた。予算も成立し、4月、5月、6月、場合によって国会の延長を求め、7月、8月とこの国会の論戦の中で、新党がしっかりと民主主義と国民生活を守るために活動していくことを目指して新党協議会での検討を進めていく」などと抱負を語った。

 どういう形で参加を呼びかけていくのかとの記者の問いには、「元民進党議員を中心にと申し上げたので、立憲民主党の枝野代表と希望の党の玉木代表には正式に面談を申し込みたいと思っている。私たちの気持ちを聞いていただきたいということでお会いできるように申し出をしたい」と述べた。