無所属の会の岡田克也代表は17日、定例記者会見を党本部で開き、(1)野党が結束して安倍政権を引き続き追及していくことの重要性(2)シリアへの軍事攻撃――等について見解を語った。

 防衛省が「存在しない」としてきた自衛隊のイラク派遣の際の日報が存在したうえ、16日に同省が公開した日報には「戦闘」や「銃撃戦」といった文言が複数あったことなど、「また新しい事実が明らかになった」と岡田代表は言及。そのうえで「このことを含め、森友、加計問題それぞれ、ひとつだけでも政権を揺るがすような事態である。国会で野党6党がまとまってしっかりと対応していかなければいけない。今日の執行役員会でも申し上げたところだ」と語った。財務省の次官のセクハラ問題についてもふれ、「これも事実だとすれば大変重要な問題。ただし、民主主義の根幹に関わる3つの問題(森友学園問題、加計学園問題、イラクの日報問題)について(野党の追及の)手が緩むことがあってはならない。(セクハラの問題も)もちろん重要な問題ではあるが、連休を控えて証人喚問の実現など、全力を挙げて従来のこの3つの問題に取り組んでいかなければならないと思っている」との考えを語った。

 「安倍総理は行政府の長として責任をもって対応すると繰り返し言われるが、私が現状を見ていて、一番ぴったりだなと思う言葉は『魚は頭から腐る』ということ。すべては安倍総理につながる話、魚の頭が『私の責任できちんとします』と言われても説得力はほとんど感じられない。国民の皆さんもそう受け止めてられている方が多いのではないか」と、すべてのことの発端は安倍総理であり、国会の混乱の責任も安倍総理にあると批判した。

 シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑をめぐって、米・英・仏3カ国がシリアへの軍事攻撃に踏み切ったことについて、岡田代表は「非常に難しい問題であることは事実。子どもや女性含めて多くの罪なき民間人が殺された。しかも毒ガス、サリン、塩素などをシリア政府が使った可能性は状況証拠からみてほぼ明らかだとも思うが、決定的な証拠はない。ロシアの反対があって国連決議もない。そういう中で行われた武力行使」だと経緯を説明。そのうえで「国連決議がないから何もできないかと言われれば、それは必ずしもそうではないと思う」との考えを示したうえで、今回のことについて安倍総理が「化学兵器の拡散と使用は決して、絶対に許さないとの米英仏の決意を日本政府として支持する」「参加国の行動は事態のこれ以上の悪化を防ぐための措置と理解している」と発言し、河野外務大臣が「悪化を防ぐための措置ということについて研究開発能力を低下させる措置だと理解する」と述べた点を問題視した。

 岡田代表はこれらの発言を受け、「ただ、研究開発能力を低下させるために国連決議もない中で武力行使をしていいということは今までの論理ではなかったこと。従来、例えばコソボ紛争の折、国際社会のなかで確立した考え方ではないが、人道的な被害があるときには国連決議がなくても有志連合でも武力行使できるという議論がなされたことはあるが、今回のことはおそらくシリア政府が行ったということが証明されていないのだと思うが、人道的なことだから武力行使したというよりは、研究開発能力を低下させるために措置をしたと説明しているわけで、これは武力行使を行うことができる範囲をかなり拡大して考えているということになる。従って説明としては不十分と言わざるを得ない。こういったことについてもう少し丁寧に、そして将来的に武力行使が際限もなく広がっていくことのないように説明する責任が政府にはあると思う」と指摘した。