前川前文部科学省事務次官が名古屋の市立中学校で行った公開授業について、同省が名古屋市教育委員会に授業内容の報告等の提供をメールで繰り返し求めた問題で、民進党など野党6党は18日午後、河村たかし名古屋市長や同市教育長も出席のもとで合同ヒアリングを開き、文科省の担当者から話を聞いた。

 河村市長はこの問題をめぐる文科省の対応について「私は自由主義者。あれだけ微に入り細に入り、言論統制につながるような文書を送ってきたが、あれは誰が作ったのか。メールを送った文科省の課長補佐らはプライバシーに関わるとしてメール内容を明らかにすることは適当ではない旨を言ってきた。しかし、公の文書として出しているのだから当然明らかにしていいと思って公開した。あなたたちがつくった文書なのか、それとも単に送信ボタンを押しただけなのかはっきりしてほしい。微に入り細に入った文書を文科省の役人が作るはずはない。政治家と相談してやったのだろうと世の中の多く人は思っている」などと述べた。

 河村市長はまた、名古屋市教育委員会の質問状に報告書の提供要請は適正と文科省が回答した2日付の文書の中で「天下り問題で停職相当となった。校長は十分調べず講師として招いた」として前川氏の経歴を調べることなく招いたもので、校長の判断を「適切であったとはいえず、もう少し慎重な検討が必要ではなかったかと考える」旨を文科省が指摘してきた点に言及。「停職相当になっていたことは知らなかったが、天下り問題で責任をとって辞任したことは校長も知っていた。それで十分だと思う」と指摘した。さらには「出会い系バーに行った人は講師として招くのは不適切、非道徳的だ」との旨の指摘があったことも問題視。この2点について今でも同じ認識なのか確認したいと語り、「取り消すなら取り消すと言ってもらわないと。これだけのものを文部科学省たるところが堂々と名古屋市の教育委員会に送ってきたからには、きちんとしてもらわないと日本中の文部行政に深く関わる」などと指摘した。

 参加議員からは、委員会質疑などで林文科大臣が「学校側がよく準備して配慮しているならば、今後は前川氏を呼んでも同じような調査をすることはない」旨を答弁したとの指摘もあった。これらの指摘に対して文科省の担当者は「大臣がお答えした通り」と説明した。河村市長が「そうであるならば取り消してくれ」と名古屋市への回答の取り消しを求めると、担当者は「今回の事案については確認をさせてもらった事実関係に基づいて指摘させてもらった」「今後、外部講師の人選にあたって授業のねらいや内容、講師の経歴などについて学校や教育委員会で十分に検討されて適切な配慮がなされ、文科省でもその旨確認が取れている場合には今回のような文書で問い合わせることはしない方向で対応していく」などと苦しい説明に終始した。