民進党は、議員立法や政府案への対案作成など、政策面での対応を機能的かつ効率的に行うため、対応する衆参両院の委員会を4部会に集約する体制を取っている。各部会の状況と、重要議案を解説する。

第一部会

 第一部会は、予算、衆院財務金融、参院財政金融、税制、総務、衆院地方創生特、厚生労働、衆院文部科学、参院文教科学、衆院決算行政、参院決算、同行政監視、倫理選挙特の各委員会を所管している。

部会長 石橋 通宏(いしばし・みちひろ) 参院議員 比例代表・当選2回

部会長 石橋 通宏(いしばし・みちひろ) 参院議員 比例代表・当選2回

 情報労連/NTT労組中央本部特別執行委員、元ILO専門官。民進党・新緑風会政審会長代理、厚生労働委員会理事、予算委員会、憲法審査会、情報監視審査会の委員を務めています。

副部会長 難波 奨二(なんば・しょうじ) 参院議員 比例代表・当選2回

副部会長 難波 奨二(なんば・しょうじ) 参院議員 比例代表・当選2回

 日本郵政グループ労働組合書記長。民進党・新緑風会国会対策委員長代理、予算委員会理事、総務委員会、沖縄及び北方問題に関する特別委員会、国民生活・経済に関する調査会の委員を務めています。

重要議案の解説

2018年度予算組み替え動議を提出

 2018年度予算案は、(1)「人への投資」が不十分(2)地域の独自性が生かしにくい(3)農家の将来展望が全く開けない④不要不急の事業に予算を過度に配分している――等の問題点があり、民進党は、野党6党・会派共同で以下のような組み替え動議を提出した。

■歳出の追加(1・9兆円程度)

(1)人への投資(0・4兆円程度)
 小中学校の給食費無償化に向けた負担軽減、所得制限なしの高校無償化、保育士等の給与引き上げ。
(2)地域活性化(1・5兆円程度)
 一括交付金の復活、農業者戸別所得補償制度の復活、豚マルキン補てん率引き上げ・国庫負担率引き上げ。
(3)国民の信頼を取り戻すための経費
 裁量労働についての全般的な再調査、森友・加計問題を踏まえた公文書管理の適正化、政府提案の生活保護基準見直しの再考。

■歳出の削減(1・9兆円程度)

 水膨れ予算の適正化、一括交付金見合いの交付金・補助金の廃止・縮減、農業者戸別所得補償制度財源とするため各種交付金等の廃止。

 本動議は与党等の反対により否決されたが、野党の予算への考え方を明確にし、安倍政権との対立軸を示すものであった。

働き方を変える、働く者の安心を創る「安心労働社会実現法案」を取りまとめ

 民進党は、希望の党と設置した「働き方改革検討のための合同会議」で政府の「働き方改革」法案の対案として「安心労働社会実現法案(パッケージ)」を取りまとめた。

【実効性の高い長時間労働規制】

 過労死や過重労働が原因の精神疾患等、健康被害が後を絶たない。この状況を変えるには、実質的に無制限となっている労働時間の上限に罰則付きの法規制で歯止めをかけるとともに、この上限規制を実効性あるものとするための規制強化が必要である。そこで、対案には上限規制の導入に加え、以下の内容を盛り込む。

  1. 1日の勤務終了から次の勤務開始まで一定の休息時間(インターバル)を確保することを義務付け。
  2. 事業主に個々の労働者ごとに労働時間管理簿を作成して、始業・終業時刻や実労働時間等を記録すること等を義務付け。
  3. 法令違反に対する罰則を強化。

【裁量労働制の規制強化】

 民進党は、安倍政権が目指してきた裁量労働制の対象業務拡大は行わず、裁量労働制が働く者のためになる働き方となるよう、現行制度の規制強化策を対案に盛り込む。

  1. 健康管理時間(社内と社外での労働時間の合計)の把握と記録を義務付け、それを上限規制の範囲内とすることを要件化。
  2. 企画業務型の適用対象者への事前説明と本人同意手続の強化、及び同意の撤回手続の法定化――等。

【「高度プロフェッショナル制度」の創設には断固反対】

 安倍政権が導入を目指す「高度プロフェッショナル制度」は、労働基準法の労働時間規制を全て適用除外とし、過重な長時間労働を合法的に課すことができる制度である。民進党は制度の創設に断固反対しており、断念するよう政府に求めている。対案にはこの制度を盛り込まない。

【パワハラ等に対する規制の導入】

 職場のパワハラや過剰なクレームなどから労働者を保護するための措置を事業者に義務付けることを対案に盛り込む。

「子どもの生活底上げ法案」を提出

 民進党など野党6党は3月29日、「子どもの生活底上げ法案」(通称)を衆院に共同で提出した。本法案は、貧困の連鎖を断ち切るとともに、貧困世帯の子どもの生活の安定を図るため、以下の措置を規定するもの。

【生活保護法関連】

  1. 生活保護の基準の検証に用いられた水準均衡方式を見直して必要な措置を講ずるとともに、その間、要保護者に不利な内容の保護基準を定めてはならないこととする。
  2. 高校卒業後も世帯分離をせず、世帯を単位とする生活保護を受けながら大学・専門学校等に通えるように配慮しなければならないこととする。

【児童扶養手当法関連】

  1. 児童扶養手当の支給対象の拡大
  2. 児童扶養手当の月額の1万円増額
  3. 児童扶養手当の支払回数の見直し
第一部会 議案一覧(見込みも含む)

PDF「第一部会 議案一覧(見込みも含む)」第一部会 議案一覧(見込みも含む)



(民進プレス改題36号 2018年4月20日号4面より)

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