参院で7日に行われた安倍総理の外交報告に対する本会議代表質問では、民主党・新緑風会の2番手の質問者として大野元裕議員が登壇した。大野議員は、(1)北朝鮮による水爆実験への日本政府の対応(2)臨時国会の開会要求と外交日程との関係(3)慰安婦問題に関する日韓合意(4)南シナ海の状況とわが国の対応(5)日印原子力協力原則合意(6)集団的自衛権行使についての他国への説明(7)特定秘密保護法の運用上の問題点――についてただした。

 大野議員は、臨時国会が開かれなかった間に、TPPの大筋合意、消費増税と軽減税率、年金積立金が3カ月間に約8兆円も棄損したことなど国民生活に直結する課題が山積していたこと、また、参院では環境委員長と厚生労働委員長が内閣改造によって閣内入りし、委員長不在となったことで委員会が開けない状態のまま放置されたこと、国会同意人事が行われず任期切れとなった人事があること、公務員給与法案がたなざらしにされ、決算審議も滞ったことなどを指摘。「国会が喫緊の課題に対しその責任を果たそうというのに、憲法の規定を無視し、臨時国会の召集要求をないがしろにし続けた」と批判した。

大野議員が質問

 東アジア首脳会議についての総理報告に関しては「南シナ海における一方的な現状変更を許すような状況を東シナ海に持ち込ませてはならない。昨年の通常国会で政府・与党が強行採決した安保法制は、尖閣諸島等の領土領海を守ることに対応する法律ではない」と述べ、民主党が再三にわたって提出してきた「領域警備法」の制定が必要だと主張した。これに対し安倍総理は、運用で対処可能だとする従来の答弁を繰り返した。

 締めくくりに大野議員は、今年のえとである申(さる)にちなんで「国会は、政府に都合よく『見ざる・言わざる・聞かざる』を押し通す機関ではない」と力を込め、「政府に都合が悪いからと言って国会を召集せず、民主主義をないがしろにし、数の横暴で特定秘密の提示要求すらさせず、説明責任すら果たさない政府の立場は、建設的な議論を阻害するものに他ならない」と断じた。その上で「政府と国会が真摯(しんし)に議論できるように対応していただくことを切に希望する」と訴え、質問を終えた。

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