衆院予算委員会で8日、2015年度補正予算の基本的質疑が行われ、民主党の2番手として同委員会筆頭理事の山井和則議員が質問に立ち、(1)ワタミ過労死訴訟(2)年金生活者等支援臨時福祉給付金(3)株価の下落による年金の運用損(4)軽減税率――等に関して取り上げ、安倍総理の認識をただした。

 山井議員は冒頭、現役世代、若者世代がアベノミクスの恩恵を受けて潤っているかのような発言を繰り返す安倍総理の姿勢を「そんなことはない」と否定し、非正規雇用労働者が増え、子育て世代は非常に厳しい経済状況下に置かれ、若者も困難な働き方を強いられることが多いのが日本社会の実態であると指摘。そのうえで昨年12月にワタミグループの居酒屋で働いていた26歳の女性を過労死自殺で亡くした遺族がワタミや創業者の渡辺美樹参院議員に損害賠償を求めた訴訟が、計1億3千万円の損害賠償金を支払い、法的責任を認めて謝罪することで和解が成立した件を取り上げた。山井議員は「法的責任を認めて謝罪することが求められた。なぜブラック企業との批判を受けている人を自民党は公認するのか」と述べ、企業優先・労働者軽視の安倍総理の政治姿勢を問題視し、渡辺議員の公認撤回を強く求めた被害女性の両親に謝罪すべきだとしたが、安倍総理は「過労死はあってはならないことで政府は監督指導を徹底する」などと述べ、渡辺議員に対しては「職責をしっかりと果たしていってほしい」などと述べるにとどめた。

 今国会で大きな争点となる労働基準法改悪の動きも取り上げ、安定雇用に就けないことに危機感を覚える若者が増えるなか、さらに長時間労働を可能とする法制度へと自公政権が変えようとしていることについて、「ブラック企業の問題を再発させないためには労働基準法改正案を撤回すべきだと女性のご両親は求めている。民主党は若者が安心して安定して人間らしく働ける社会を作っていきたい」と述べ、成立阻止に力を注ぐ考えを表明した。

予算委員会で山井議員が問いただす

 補正予算で低所得の高齢者に1人あたり3万円、総額約3600億円の年金生活者等支援臨時福祉給付金を支給することに関しては、「選挙前の5月、6月にばらまく」ものであると指摘した。この予算をねん出するために子ども1人当たり3千円を支給する子育て給付金の16年度からの廃止を決定していることに関して、子育て世代も厳しい経済状況にあるのにアンバランスだと批判。実質GDPも実質賃金も民主党政権時より低下していると図を示して指摘し(下記図参照)、年金生活者等支援臨時福祉給付金はその場しのぎの対応であり、選挙目当てのバラマキ予算である実態を浮き彫りにした。

民主党政権と安倍政権の比較

 連日の株価の下落によって年金積立金に約4兆円の運用損が出ているとの指摘が報道等で出されている点も問題視し、その実態をただしたが、安倍総理は具体的に答えず「短期的なことについてお話ししても意味がない。年金をどう運用するかについて説明した」などと開き直った。山井議員は、リスクの懸念もあるなかで、そもそも年金積立金の株式への運用比率を上げたこと自体が問題であり、年金積立金の運用を増やすことで株価を上げてきたことは「官制相場といえる」と指摘。国民の大事な年金で株価を上げて支持率拡大につなげようとする安倍政権の政治姿勢を批判した。

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