衆院予算委員会で12日行われた2015年度補正予算の基本的質疑で、玉木雄一郎議員が(1)軽減税率(2)補正予算に盛り込まれた施策(3)2020年東京オリンピック・パラリンピック予算――などについて政府の認識をただした。

(1)軽減税率の問題点

 玉木議員は、安倍総理が軽減税率の財源について「社会保障を削ることはない」と発言していることについてその意味を確認。すると、安倍総理の発言は、消費税引き上げの際に社会保障の充実に充てるとした2.8兆円分を削ることはないという趣旨であり、社会保障予算全体の見直し・削減によって財源をねん出することはありうる、ということが明らかになった。

 そこで玉木議員は、軽減税率に必要とされる約1兆円のうち、約6割は年収500万円以上の世帯の負担軽減に充てられることを示し(資料1)、「(軽減税率は)低所得者対策の名を借りた高所得者対策だ」と断じた。「財源の半分以上が所得の高い人に使われ、社会保障を削ることも含めて財源を見つけなければいけないというのは、制度としてどうなのか」と疑問を投げかけた。一方、給付付き税額控除であれば、より少ない財源で対象を絞って効率的に支援できると主張し、軽減税率の見直しを求めた。

玉木議員 資料1

玉木議員 資料1

(2)補正予算に盛り込まれた施策の問題点

 今年度補正予算には、「出生率向上のため」として、「3世代の同居に対応した新築住宅取得促進支援事業」が盛り込まれている(資料2)。しかし、3世代同居を促進するためと言いながら、補助の要件に「3世代同居であること」は含まれていない。つまり、3世代同居ではない高所得者が豪邸を立てたとしても補助が受けられる。玉木議員はこの点を指摘し、「子育て支援の名を借りた高所得者の豪華住宅建築支援だ」と指摘し、「税金の使い方が間違っている」と批判した。

 この他にも、昨年11月に河野太郎行革担当大臣のもとで行われた「秋のレビュー」で「全額補助を見直すべき」と指摘された「地域少子化対策重点推進交付金」(=自治体による「婚活」事業への補助)が概算要求時より増額されて復活していること(資料3)、昨年3月末にスタートした「羽ばたく女性人材バンク」の効果検証が行われていないこと(資料4)を指摘した。

玉木議員 資料2

玉木議員 資料2

玉木議員 資料3

玉木議員 資料3

玉木議員 資料4

玉木議員 資料4

(3)東京オリンピック・パラリンピック関係予算の問題点

 昨年12月、東京オリンピック・パラリンピック関係経費が1.8兆円と見込まれるとする一部の報道があったことを踏まえ、玉木議員は所要見込み額をただしたが、遠藤担当大臣は「把握していない」と述べ、そこで玉木議員が「補正予算に計上された五輪関連予算はいくらか」と聞くと、今度は「計上していない」と答えるなど、安倍内閣にはオリンピック予算に対する責任が全く感じられない。

 実は、補正予算には「大学・研究開発法人等の防災基盤の強化」という名目で、国立スポーツ科学センターの出入口の自動ドア改修工事が計上されている。こうした施設整備費は、2013、14年の予算では「五輪関係予算」として計上されてきたもので、今回の補正で「五輪関連ではない」とするのは筋が通らない(資料5参照)。

 玉木議員は、「こうした予算のあり方が、予算の膨張を招く原因になる。予算の総額管理とプロセス管理をするしくみを作ってほしい。今は誰も予算の全体像に責任を負っていない」と指摘した。

PDF「玉木議員 資料5(オリンピック関連)」玉木議員 資料5(オリンピック関連)