衆院で26日、安倍総理の施政方針演説に対する本会議代表質問が行われ、民主・維新・無所属クラブを代表して岡田克也代表が登壇した。

 岡田代表は、「日本の政治を良くするために、もう一つの政治勢力を創り上げる信念だ。道半ばだが、必ずやり遂げる」と国民に約束し、「私が目指すのは、多様な価値観や生き方が尊重される自由な社会だ。誰一人排除されることなく、ともに助け合う共生社会、一人ひとりが尊重され大切にされる日本を目指す」と宣言した。

 日本の将来にとって強く懸念されることがあるとして、(1)経済の低迷と生活の不安定が続くなかで、日本社会の一部に寛容さが失われつつある(2)格差拡大を放置・助長している(3)次世代のために解決しなければならない重要課題が先送りされている――と安倍政治を批判した。

 そして、「子どもの6人に1人が貧困状況にある。子どもの貧困の問題解決に政治が責任を果たさなければならない。子どもの貧困の解決なくして、『1億総活躍』など夢のまた夢だ」と総理に迫った。

 岡田代表は、働き方の大改革が必要だとして、「非正規の働き方が拡大する一方、正規社員は長時間労働に苦しめられている。若者や女性が安心して働ける環境をつくるため、日本人の働き方を根本から見直す」として、(1)派遣法再改正(2)真の同一労働同一賃金の実現(3)長時間労働の解消――などを訴えた。

岡田代表が問いただす

 国の財政健全化については、「財政規律の原則は、曲げるわけにはいかない。子どもや若者、未来世代への責任を果たさなければならないからだ。しかし施政方針演説では、財政健全化についての具体的な言及がなかった。内閣総理大臣として無責任ではないか」と安倍総理を追及し、「2020年度に向けた具体的な財政健全化計画を、いつ明らかにするのか」と質した。

 安全保障法制について、「『専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道援助は積極的に』というのが民主党の基本的な考えだ。その観点から、領域警備法の制定、周辺事態法の改正、PKO法の改正が必要であり今国会に法案を提出する」と表明した。

 憲法改正について岡田代表は、「憲法は権力者の権力乱用から国民を守るものだという、立憲主義の基本を理解しない安倍総理のもとでの憲法改正は極めて危険だ」と指摘し、「戦後70年、日本の民主主義、立憲主義、平和主義の重大な分岐点だ。安倍総理の暴走を止めなければならない」と国民に呼びかけた。

 そして、「ここで道を誤ってはならない。今まで政治と距離を置いて来た人々が、危機感を持って声を上げている。私も覚悟を持って、安倍政治と戦っていく」と信念を訴えた。

本会議後の記者団の取材

 本会議終了後、岡田代表は記者団の取材に応じ、「私としては相当考えて質問したつもりだが、残念ながら答えに新たなものはなかった」と安倍総理の答弁に不満をにじませ、今後の予算委員会でさらに問いただしていく考えを示した。

 また、甘利大臣の疑惑について自民党側から「わなにはめられた」など、大臣を擁護するかのような発言が出ていることについては「仮にそうだとしても、だからといって免責されるような話ではない」と切り捨て、甘利大臣自身が説明責任を果たすとともに、安倍総理も任命責任・説明責任を果たすべきだと述べた。

PDF「安倍総理施政方針演説に対する代表質問(岡田克也代表) 2016年1月26日」安倍総理施政方針演説に対する代表質問(岡田克也代表) 2016年1月26日