衆院予算委員会の基本的質疑で3日、民主党から4番手として質疑に立った福島伸享議員は、TPP関連を中心に安倍政権に厳しく迫った。

 福島議員ははじめに、「TPP交渉と強い関わりを持った人物は他にもいるが、なぜ石原氏を任命したのか」と違法献金疑惑で辞任した甘利大臣に代えて石原氏を任命した理由を質問。安倍総理は、要職を歴任してきたなどと答えたが、福島議員は、「大事なことは、これまで交渉の経緯や内容は一切明らかにされなかった。きちんとテキストを読みこんだ上で、どういう交渉がなされたのかという情報を政府から説明することだ」と、厳しく指摘した。

福島議員の質問風景

 国会決議に関する問題について、「農林水産物の重要品目について、除外または再協議の対象とすることと、10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃を認めないということだが、交渉結果を見てみると、乳製品のホエーや一部のチーズは10年以上関税をかけてその後に関税撤廃となる。コメも除外品目にはなっていない」として国会決議を満たしていないと指摘したが、石原大臣は「日本の関税撤廃率は81%で持ちこたえた」などと答弁した。福島議員は、「乳製品などは10年かけて関税撤廃だ。豚肉なども一部は関税撤廃となっている。聖域なき関税撤廃云々の話は自民党の選挙公約の話だ」と述べ、国会決議に違反していると厳しく批判した。さらに関税撤廃について、「この協定は完成したものではない。昨日公開された日本語訳に、豪州、カナダ、チリ、ニュージーランド、米国などの農産物輸出国から7年後に協議を求められるとあることから、農産物は、将来に向けて何一つ関税撤廃の例外になる保証はない」とも訴えた。

 福島議員は、TPP締結による乗用車関連の効果について試算を公開するよう要求したが、政府側は、「産業や品目別の影響を積み上げていくものではない。国全体の数字を出している」と答弁。しかし福島議員は、「農産物では産業別の試算を出しているが、より額の大きい自動車ではなぜ出していないのか。だから恣意的だと言われる。TPPにメリットがあると言うなら出せばいい」と厳しく批判した。

福島議員配布資料3

   「政府は、TPPで輸出入が拡大すると貿易開放度が上がり生産性が上昇すれば、実質賃金が上昇し労働供給が増えると想定しているが、生産性の上昇がなぜ実質賃金の増加になるかということに答えていない。この間日本経済は、労働コストを下げることで生産性を上げ競争力を増やしてきた。日本は労働コストが高い国だ。自由貿易が進めば、労働コストを下げるしかないことになる。TPPによる効果のプラス・マイナスを正直に出して、国民の皆さんに判断してもらうことが政府・与党のあるべき姿勢だが、今日の石原大臣にはその姿勢は感じなかった」として、今後も議論していくと述べた。

PDF「福島伸享議員予算委員会配布資料」福島伸享議員予算委員会配布資料