衆院予算委員会で5日、2016年度予算の基本的質疑が行われ、民主党の2番手として泉健太議員が質問に立ち、(1)文化庁の京都移転(2)甘利前大臣に現金を渡したとされる建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉への前大臣の関与疑惑(3)軽井沢バス事故・貸し切りバス事業――等に関連して質問を行った。

 京都府第3区が地元選挙区でもある泉議員は、取り沙汰されている文化庁の京都移転について「ぜひ実現してほしい」と求め、安倍総理に対し京都を歴史、文化的な首都にとの思いで取り組むよう要請した。

あっせん利得処罰法について


 甘利前大臣の疑惑に関しては、まずURが国の出資99.8%の独立行政法人であることをURに確認したうえで、あっせん利得処罰法では「国または地方公共団体が資本金の2分の1以上出資している法人が締結する売買、貸借、請負その他の契約に関し請託を受けてあっせんすることにつき、その報酬として財産上の利益を収受したとき」がそれに当たると定めていることを泉議員は説明した。

基本的な質問に政府が答えず、審議は中断した

基本的な質問に政府が答えず、審議は中断した

 そのうえで泉議員はURに対し、千葉北部地区北環状線工事をめぐっての当該建設会社とURとの補償交渉は「契約」に当たる行為かを確認したが、UR側は「補償契約があっせん利得処罰法の契約に該当するかどうかについては関係当局が判断されるもの」と論点をずらして答弁。さらに岩城法務大臣に一般論として確認したが「捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべきものである」などとする答弁が繰り返されて議論はたびたび紛糾。政府ぐるみの甘利疑惑の隠ぺい姿勢とも見て取れる答弁が繰り返された。

 泉議員は続いて、軽井沢バス事故・貸し切りバス事業を取り上げ、規制緩和が進むなかで、安全確保を度外視して「格安」商品を売る流れになったことが悲惨な事故が多発する背景にあると指摘。安全確保に向けた国としての指導の徹底を求めた。泉議員はまた、軽井沢のバス事故を起こした会社に対しては2015年2月20日時点で一般監査を実施し、「運転者の健康状態の把握」「点呼の実施及び実施結果の記録」「運転者に対する適性診断の実施」等が不適切であることが判明しながらも、弁明の機会付与の通知を出したのが10月14日で、車両の使用停止処分を行ったのが翌年となる今年1月13日で、その2日後の15日に事故発生につながったことを問題視。監査実施から判断、処分までの迅速化の必要性に言及し、「罰則強化もあるが、速やかな是正が大事だ」として国土交通省の対応を強く求めた。

PDF「20160205衆院予算委員会泉健太議員配付資料」20160205衆院予算委員会泉健太議員配付資料