衆院予算委員会で10日、政治姿勢・政治とカネ等をテーマに集中審議が行われ、民主党の1番手として党政策調査会長の細野豪志議員が質問に立ち、(1)丸川環境大臣の講演での発言(2)与野党の関係(3)景気の現状(4)ゼロ金利政策――等に関して安倍総理らに質問した。

 細野議員は冒頭、政府が長期的な追加被ばく線量の目標としている年間1ミリシーベルトについて、丸川環境大臣が2月7日に松本市で行った講演で「何の科学的根拠もなく、その時の細野さんという環境大臣が、1ミリシーベルトまで下げますと急に言ったんです』と語った発言についてただした。細野議員は「正直信じがたい」として、発言は事実かを確認したが、丸川大臣は「私の発言について福島の皆さまに誤解を与えているとしたら申し訳ない」などとするにとどめた。細野議員は数値は国際放射線防護委員会(ICRP)のガイドラインによる文字通り科学的根拠に基づくものであり、しかも環境省内および福島県関係者と十分な議論を重ねたうえで定めた目標だと説明し、「科学的根拠がない」「細野大臣が急に言った」との指摘はいずれも事実に反すると指摘。そのうえで丸川大臣に「環境大臣として基本的理解と認識を根本的に改めなければいけない。発言は完全に撤回したほうがいい」などと迫ったが、丸川大臣は陳謝は繰り返したものの撤回はしなかった。丸川大臣が「環境省はエコだなんだと言っていればよかった」と発言したことも細野議員は問題視し「環境省の職員の皆さんに失礼だ。この程度の認識なら環境大臣をやる資格がない」と厳しく批判した。

 施政方針演説の冒頭で安倍総理が「批判だけに明け暮れ、対案を示さず、そういう態度は、国民に対して誠に無責任。建設的な議論を行おう」などとする旨を呼びかけたことに対して細野議員は、昨年成立した内閣提出法案66本中53本に民主党が賛成したことや、民主・維新統一会派で今国会に多くの議員立法の提出を予定していることなどを挙げ、「安倍総理の発言は事実に即さない」ときっぱり反論した。

民主党・維新の党統一会派の主な議員立法

 「企業団体献金の禁止」についても維新の党と一致した法案を出していくことになると見通しを示し、「根本的な解決をしないと甘利大臣の問題をはじめたしたさまざまな問題を断つことができない。われわれには覚悟がある」と語った。

 日本銀行が導入した「マイナス金利政策」については、「これだけの株安、円高を見て、アベノミクス相場は崩壊したと言われている」と指摘し、安倍総理の認識をただした。安倍総理は、「後戻りするわけにはいかない。金融政策についてどういう手段を取っていくかについては日本銀行が決めていく。黒田総裁を信頼している。物価の安定確保という意味で、しっかりした政策手段をとっていくものと考えている」などと強弁した。

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