参院予算委員会で2日に行われた基本的質疑で大塚耕平議員は、安倍政権が行う税制措置によって大企業の負担が軽減し、中小企業の負担が重くなり、経済成長を阻害していると追及した。

 大塚議員は冒頭、安倍総理に「在任中に憲法改正を成し遂げたいと思うか」と質問したところ、総理は「在任中に成し遂げたい」と憲法改正に強い意欲を示した。 

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 安倍政権が法人税の実効税率を30%台から20%台に引き下げようとしているが、実際はさまざまな租税特別措置により9.3%も軽減していると指摘したうえで大塚議員は、「租税特別措置による(税負担)軽減などの見直しを行ったのか」と追及した。麻生財務大臣は見直しに着手していないと答弁するとともに、大塚議員が提出した資料「黒字法人の法人税(国税分)負担率」に示された法人実効税率が9.3%軽減されているという数値を認めた。

 その答弁を受けて大塚議員は、全産業給与平均より10万円も低い保育士や介護従事者などの低い待遇に対して、政府が財源がないからと対応しない一方で、今年度だけでも9.3%も法人実効税率を引き下げていると批判し「(社会に貧困問題等)悲惨な話がある一方で、これだけ財源を軽減しているバランスについてどう思うか」と安倍総理に見解をただした。総理は法人実効税率の引き下げ方針に変更はない旨答弁した。 

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 続いて大塚議員は、法人事業税(地方税)の外形標準課税の強化によって、「中小企業の8割が負担増になる一方で、大企業に対しては2200億円も減税が行われる。『これはおかしい。(大企業への特例措置を)見直すべきだ』と昨年指摘したが、減税規模は放置されたまま外形標準課税が強化される。さらに2016年度政府予算の主要経費が前年比プラス0.4%に対して中小企業対策費がマイナス1.7%である。中小企業が大事だと言いながら、なぜ対策費を減らすのか」とただした。林経済産業大臣は予算削減の理由を述べず、予算の内訳を説明するだけだった。 

 中小企業やそこで働く人々に対して厳しい半面、大企業を優遇してきたアベノミクスの3年3カ月の経済成長率について大塚議員は、ドルベースの実質GDPがマイナス2.0兆ドル、名目GDPがマイナス1.7兆ドルであると指摘した。それに対して安倍総理がドルベースのGDPを重視しないと強弁したため、「世界はドルベースで比較し合っている。国富を失うという見方もされるということも理解すべきだ」と説いた。

資料3
大塚議員2

 大企業を優遇しながらも保育士や介護職員らの低い待遇には何も手当てをしようとしない安倍政権に対して、「金融緩和に頼ったアベノミクスの方針を変更して介護や保育士など地に足の着いた家計の所得の底上げと経済の好循環につながる税制と歳出の中身に転換すべきだ」と提起し、民主党が2日に「介護職員等の処遇改善法案」を議員立法で国会に提出したことを紹介した。また、年収244万円以下の家計に占める教育費が5748円であるのに対して、730万円以上では25万9494円と45倍の差があり、幼児教育費では164倍の違いにもなる深刻な教育格差問題を取り上げ、「家計の所得の差によって教育費にかけられるお金の余力がこんなに違う社会になっている。放置していては教育面において良くない状況が続く。給付型の奨学金を直ちに2016年度予算で導入すべきだ」と提案した。

PDF「2016年3月2日予算委員会資料」2016年3月2日予算委員会資料