参院で31日、本会議が開かれ、(1)民進党(提出時は民主党)と生活の党が提出した「平成28年度における公債の発行の特例に関する法律案」と、政府提出の「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案」(2)2016年度NHK予算案の承認――について、討論・採決が行われ、民進党・新緑風会からは、白眞勲議員と難波奨二議員が討論に立った。

特例公債法案等

討論に立つ白眞勲議員

 野党提出の特例公債法案に賛成、政府提出の復興債及び特例公債法改正案に反対の立場から討論に立った白議員は、復興債発行についての民進党の立場について「われわれは、被災者に寄り添って、震災復興、被災地再生をやりとげる立場から、発行期間を5年間延長し、復興財源確保を確かなものとしていくことには、賛成の立場だ」とした上で、「震災復興財源確保と、毎年の財政赤字を補てんするための赤字国債の話を一緒くたにして法案を出す」という「安倍政権のよこしまで姑息なやり方に、強く抗議をする」と述べた。

 「特例公債の発行期間を5年間可能とすることは、断固反対である」とし、その理由として安倍政権が、財政再建に向けた具体的責任あるプランはまったく示していないこと、経済実態からかけ離れた極めて甘い経済財政運営の見通しに基づいていることなどを指摘。日本銀行による異次元緩和も限界に来ているとし、「そろそろアベノミクスは失敗したと、認めたらどうか。国家、国民のことを考えず、政局ばかりに目が向いている総理には愕然とする」と厳しく断じた。

 2016年度予算が成立するやいなや、補正予算の話を始めていることについても、「国会をばかにしている。そもそもその金はどこにあるのか。まさか、また赤字国債を出すのか」とけん制し、「こんな無責任な安倍政権にくみするわけにはいかない」「われわれ民進党は、未来への責任を果たす政治を実現するため、国民無視で政局しか頭にない安倍総理の退陣に向け、参議院選挙に勝利することを国民の皆さまに約束する」と主張した。

2016年度NHK予算について

討論に立つ難波奨二議員

 難波議員は、討論に先立ち、高市総務大臣が衆院予算委員会で放送法の運用に関して停波の可能性に言及したことについて、「政府が、政治的公平を判断基準として放送事業に介入できるとしている姿勢や、これまでよりも大臣の権限を前面に押し出していることは、放送法の目的を逸脱している」と、政府をけん制した。

 その上で、NHK会長に籾井現会長が就任して以来、次々と問題が発覚していることを指摘し、「現在のNHK執行部には、国民から受信料を受け取り、公共放送を運営しているという自覚や責任感が欠如していると言わざるを得ない」「国会での質疑でも、国民に対する説明責任を放棄したとしか思えないような対応で、本日の総務委員会に至っても、籾井会長から国民と国会を愚弄するかのような不規則発言が飛び出したことは、遺憾の極みだ」と述べた。また、「(執行部を)是正監督をするべき立場にあるはずの経営委員会、監査委員会による歯止めもかかっていない」として、経営委員会のあり方にも疑問を投げかけた。

 一方、NHKによる優れた番組は、「現場の職員の真面目でひたむきな努力のたまものであり、その高い職業意識を支えているのは、放送法の理念に他ならない」「現場の職員には、政府や執行部の姿勢に左右されることなく、誇りをもって職務に励んでほしい」と激励。あらためてNHK執行部の自己改革を促し、「来年こそ、国民の理解と納得が得られるNHK予算となることを願う」と締めくくった。