長野県内3カ所での街頭演説を終えた岡田代表は、県連代表の北澤俊美参院議員、同代表代行の羽田雄一郎参院議員、杉尾秀哉候補予定者とともに長野市内で記者会見に臨み、記者団の質問に答えた。司会は倉田竜彦県連幹事長が務めた。

 記者団から、民進党結党後初の地方での街頭演説会に長野県を選んだねらいを問われ、「長野は私にとって思い入れの強い県、羽田孜先生ゆかりの地だ」と応じた。この日の演説で岡田代表は、1993年に羽田孜元衆院議員らとともに自民党を離党し、政権交代可能な政治の実現を目指して新政党を立ち上げたことを振り返って、民進党として新たなスタートを切るにあたり、原点に立ち返るに相応しい場所として長野県への特別な思いを語っていた。

 これに関連して、記者団から「長野県は(参院選の)最重点選挙区なのか」と問われると、「長野県を最重点選挙区と言っている限りはダメだ。『長野は当然、当選』と見通せることが望ましい。長野は長野県連にお任せして、もっと厳しい他の選挙区に重点を置くという状況を早く作り出したい」と述べ、長野選挙区では必勝を期して臨む覚悟を示した。こうした岡田代表の発言をどう受け止めるかと問われた杉尾候補予定者は、「(長野選挙区の勝利は)可能性として高いということは認識している」と応じ、「安倍政権を倒す」という目的で一致した野党共闘をてこに、勝利に向けてまい進する決意を力強く語った。 

 共産党を含めた野党共闘がどの程度進んでいるのかと問われた岡田代表は、「具体的なやり方は、各地方に委ねている」とし、参院選での共闘・連携や衆院小選挙区の候補者擁立などについても、それぞれの都道府県連で地域事情等を勘案して対応するべきとの認識を示した。一方、党本部としては、候補者の擁立に至っていない残り50程度の選挙区についてなるべく早期に対応を決めたいとした。

 消費税引き上げに対する党としての判断をいつごろ示すのか、との問いには「延期すべきか予定通りに引き上げるべきかという議論はこれから」と前置きした上で、民進党の基本的な考え方は、「消費税の引き上げは中長期的には必要」と立場だと説明。その一方で、現状は「前提が満たされていない」と述べ、消費税引き上げの前提となる行政改革の実績が安倍政権にはないこと、加えて1兆円の財源を要する軽減税率の導入を決めたことを批判した。引き上げの可否は、こうした状況と経済状況とを分析して判断すべきだとした。

 その上で「延期するにしてもしないにしても、苦渋の決断だ。今の国民の生活がいかに厳しいかということはよく分かっているし、かと言って、先送りしてもどこかではやらなければいけない」と難しい判断になるとの認識を示し、「今の政治を見ていて懸念するのは、選挙に有利かどうかという選挙目当てでこの問題が論じられていること」だと述べ、議論のあり方そのものに疑問を投げかけた。

 政府が新たな経済対策について検討を始めたことについては「いかにアベノミクスが失敗したかということを示す結果に過ぎない」と断じ、その上で「景気対策の議論を一概に否定するつもりはないが、問題は中身だ。単なるバラマキではなく、持続的な経済成長につながり、国民が安心して消費できるような環境を整える政策が望まれる」とけん制した。

 衆院選挙制度改革について、自民党が従来からの「0増6減案」にアダムズ方式を一部連動させるような案を検討していることの受け止めを問われ、「詳細を承知していないが、意味があるとは思えない」と切り捨てた。