岡田克也代表は2日、民進党結党後初の地方での街頭演説を長野県内の3カ所で行った。岡田代表とともに、今夏の参院選に長野県選挙区から出馬を予定している杉尾秀哉氏、長野県連代表代行の羽田雄一郎参院議員も登壇し、民進党への支援を訴えた(上の写真は佐久平市内での街頭演説会)。

岡田代表

 岡田代表は「ここに立つといろいろ思い出すことがある」と切り出し、1993年に羽田孜元衆院議員とともに自民党を離党した当時のことについて、「総理大臣を目前にした羽田先生が新しい旗を立てようとしたその思いは、まさしく、自分のことではなく、この国の政治を何とかしなければならないという思いだった」と振り返り、その後の「政権交代可能な政治の実現」という目標は、新進党、民主党と「2回失敗した」と述べ、「そういう中で民進党を立ち上げた。これはラストチャンスだ。日本の国に政権交代のある政治、当たり前の民主主義を確立するために、これ以上失敗は許されない」と、民進党にかける強い決意をアピールした。その上で、安倍政権の下での安保法制をめぐる暴走や、格差拡大に拍車をかける経済・雇用政策をあげ、「この国のありようが変えられようとしている、その危機感を共有して欲しい」「夏の参院選挙は、日本にとっての大きな分岐点だ。ここで道を誤ってはならない。そのために皆さんの力が必要だ」と訴えた。

羽田雄一郎参院議員

 羽田参院議員は、自身の父である羽田孜元衆院議員が2大政党制の実現を目指して政治改革に取り組んでいた自民党時代、政治部の記者として羽田元議員の後ろ姿を見続け、番組を制作したのが杉尾候補予定者だと紹介。「本来なら全国区でも東京選挙区でも戦える人」だが、「安倍一強内閣のもとでの今の状況を、政治改革を目指してきた羽田孜の地元・信州長野県から変えていく、その思いで立候補を決意してもらった」と経緯を語り、厚い支援を呼びかけた。

杉尾参院候補予定者

 杉尾候補予定者は、自身の政治の原点を、25年前に政治部記者として目の当たりにした自民党竹下派が分裂した際の、羽田グループの掲げた「政治改革」の流れにあると語り、「あれから25年たって、今こそ、羽田先生が訴えていた政権交代が必要だ」と力を込めた。そして安倍政治を「嘘で塗り固められた強権政治」と厳しく批判。安保法制、アベノミクス、TPP、報道に対する圧力――など、報道のプロとして見てきた安倍政権の暴走を挙げ、「次は憲法改正だ。私が取材した自民党の多くの議員が『まずはお試し改憲で国民の改憲アレルギーを払拭し、しかる後に9条を改正する』と言っている。国の最高法規である憲法の改正が『お試し』でいいのか。こんなことを繰り返していいのか」と訴えた。その上で、「民進党への期待は今は低いが、上げていかなければならない。この長野の地から、羽田先生の精神を思い直して、自ら先頭に立って戦っていく」と決意を述べた。

 佐久市、上田市での街頭演説では、前衆院議員の寺島義幸長野第3区総支部長、井出庸生衆院議員もマイクを握った。

寺島長野3区総支部長

 寺島総支部長はまず「杉尾さんの熱意、決意に私たちは応えなければいけない。どうか大きなご支持、支援をいただきたい」と呼びかけ、「民主党から民進党に生まれ変わった。1党を貫きたいという思いからすれば寂しさもあるが、今の安倍の暴走を止め、政権交代可能な2大政党政治をもう一度作らなければならない。その大義からすれば民進党はまさに時宜を得たものであり、必ずや2大政党の一翼を成して、国民とともに、国民に寄り添った政党として発展することが大事だ」と民進党への理解と支持を求めた。

井出衆院議員

 維新の党から民進党に合流した井出議員は「民進党の綱領に込められた『反省』は、民主党だけのものではない。みんなの党、結いの党、維新の党と、良い政策を言ってきた自負もあるし、一定の国民の支持もあった。しかし、その支持におごり、離合集散と分裂を繰り返したことは、私が歩んできた政党も反省をしなければならない」と語った。その上で、「政治家は権力に近づくほど謙虚でなければならない。安倍総理はどうか。権力の守りに走り、謙虚さが失われた。その姿に、たとえ支持率は変わらなくても多く皆さんが『このままで大丈夫か』と感じている。その多くの皆さんの声なき声の受け皿となるのがわれわれ民進党だ」とアピールした。

北澤県連代表

 長野市内では、県連代表の北澤俊美参院議員も演説に立ち、「自民党は、安倍1強体制で70年の歴史をひっくり返して好き勝手をしている。それを許すか許さないかという大きな視点で野党が結集した。さらに参院選に向け、もっと大きな野党が結集しようとしている」と述べ、長野県では夏の参院選で民進党、社民党、共産党の共闘が成立したことを紹介。「野党が動いて政治が変わり、新たな政権交代へ向かって歩みを進める。その動きにご支援を賜りたい」と呼びかけた。

 また、連合長野の中山千弘会長もマイクを握り、「いよいよ民進党がスタートした。働く者の立場から、今、行われている政治に断固反対をして、早く政権交代を進めるべく、全力で応援していきたい」と述べ、非正規雇用の増大、実質賃金の低下を指摘。「今の不安な政治を一日も早く変えるために、杉尾さんを国会に送り出すために、ともに頑張ろう」と激励した。

民進党初の地方遊説となった佐久平市内の会場には大勢の人々が集まった。

民進党初の地方遊説となった佐久平市内の会場には大勢の人々が集まった。