2015年度の年金積立金の運用実績について一部で「5兆円超の損失」と報じられたことを受け、民進党は6日、「年金損失『5兆円』追及チーム」を発足させ、第1回会合を開いた。同チームの座長には初鹿明博衆院議員が就いた。

 安倍政権は2014年10月、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による年金積立金の運用比率を大幅に変更し、従来、24%程度だった国内株・外国株の比率を50%にまで引き上げ、60%を占めていた国内債券の比率を35%にまで下げた。

 民進党は、こうした運用比率の変更こそが損失につながったのではないかと考え、独自に試算。井坂信彦衆院議員の試算では、現行の運用比率では4.9兆円の赤字となるが変更前の運用比率では損失は生じないとし、玉木雄一郎衆院議員の試算では、現行では5.6兆円の赤字、変更前では0.4兆円の赤字だとした。両者の試算は、条件設定などの違いから金額は異なっているものの、いずれも「運用比率の変更によって5兆円規模の損失が生じており、運用比率を変えなければ、これほど巨額な損失は生じなかった」という点で一致。この結果についてGPIFの評価を求めたが、GPIFは「現時点では3月末までの実績が確定しておらず、昨年度の運用結果についてはコメントできない」と応じなかった。

 また、初鹿座長は、年度全体の運用結果の提示が7月29日とされていることについて、「第4四半期(1-3月期)の運用実績を7月より早い時期に出すべきでは」と求めたが、厚生労働省は「第4四半期の運用実績が取りまとめられれば、昨年度全体の実績が取りまとめられることになり、結果的に同時期になる」「運用実績は短期ではなく長期で見るべき」などとして、消極的な姿勢に終始した。

 山井国対委員長代理は「運用比率の変更を決めたのは安倍総理だ。5兆円の損失は『消えた年金』ではなく、安倍総理が『消した年金』だ」と批判し、政府に対して厳しい姿勢で臨む考えを示した。