衆TPP特委の玉木議員

 衆院TPP特別委員会では19日、一般質疑が行われ、玉木雄一郎議員が民進党質疑者の一番手として質問に立った。

熊本地震への政府の対応

 質疑に先立ち、玉木議員は熊本地震の被災者をおもんぱかり、「TPPの審議を進めていかざるを得ないことは残念だ。どうしても被災の話をせざるを得ない一方、TPPの議論もしなければいけない。どちらも中途半端になるし、私の心も整理しきれない」と述べ、TPPの審議を進める政府・与党の姿勢に疑問を投げかけた。

 その上でまず地震災害に関連して、東日本大震災の際に福島県内のため池が耐震不足のために決壊し8人が亡くなったことを例に挙げ、ため池の現状を聞いた。農水省によると、全国3095カ所のため池のうち1787カ所が耐震不足であるという。玉木議員は耐震不足のため池のうち、特に熊本県の14カ所、大分県の3カ所については、緊急点検や住民への警告、緊急整備などを行うよう求めた。

重要5項目に関するTPP交渉の結果

 玉木議員がTPPに関して質問したのは、「需要5項目を守ることを求めた国会決議がどの程度守られたのか」という観点から、「重要5項目のタリフライン(関税の対象項目の細目数)594のうち、関税が維持できたものはいくつか」ということだった。

 この質問に石原TPP担当大臣と森山農水大臣が入れ代わり立ち代わり答弁に立ち、関税が撤廃される品目が170、残り424は関税が維持されたと説明。そこで玉木議員はさらに「従来通り削減もされずに維持されたのはいくつなのか」と尋ねると、両大臣からは的を得ない答弁が続いてたびたび審議は中断し、ついには森山農水大臣が西川委員長に「答弁のために整理する時間をいただきたい」と申し出る事態となった。

 この日の審議は本来であれば午前中だけで終わる予定だったが、この申し出により委員会は休憩となり、午後2時半過ぎに再開。あらためて森山農水大臣は玉木議員の質問に答え、「単純に関税が維持されているものの数は155」とした上で、「同じ品目であっても、関税割り当ての枠内と枠外とをみた場合には、影響を受けていないものはない」という旨を答弁した。

 この答弁を受けて玉木議員は、「今日の審議で2つの重要なことが明らかになった」とし、(1)重要5項目の594品目の〝聖域〟のうち、無傷と言えるものはゼロだという事実(2)〝聖域〟をどの程度守れたのかを精査しなければ答弁できないという、政府の重要5項目死守に対する熱意・誠意の乏しさ――を指摘。「国会決議は守られていない」と結論付けた。