岡田克也代表は1日夕、安倍総理が消費税率10%への引き上げを「2017年4月に必ずやる」としていた自身の発言を翻し、任期後の19年10月まで2年半延期する方針を正式表明したことを受け、国会内で記者会見した。

 岡田代表は開口一番「驚きの会見だった」と語り、伊勢志摩サミットの際の「世界経済は大きなリスクに直面している。それに対してサミット議長国として責任を果たさなければいけない」との旨の安倍総理の発言について、日本の経済が低迷していることを粉飾するために使ったロジックと指摘。「リスクはあるというのは世界共通の認識だが、今すぐ対応しないと大変なことになるという認識が共有されているとは私は思わない。(安倍総理の)その独自の認識は、日本が先進国のなかで最も経済成長率が低く、アベノミクスがうまくいっていないということを糊塗(こと)するための論理」と語り、アベノミクスの失敗を取り繕うためのものだと断じた。

 安倍総理が「アベノミクスを加速するのか後戻りするのが問われている。そのことが最大の課題だ」と発言したことに対しても、「アベノミクスをやってきた結果が先進国のなかで最も低い経済成長率で低迷しているということであれば、間違ったことに対してさらにエンジンを加速させても正しい経済成長にはつながらない」と指摘。「必要なことは成長と分配の両立。一人ひとりが安心して生活でき、豊かにならなければ持続的な経済成長はできない。それがこの3年6カ月、安倍総理のもとでアベノミクスを進めてきて分かったことで、アベノミクスを変えなければ持続的な経済成長はできない。同じことの繰り返しになるだけだ」と厳しく批判した。

 総理が列挙した雇用に関する数値に関しては「党首討論のときにも言ったが、それぞれいい数字、悪い数字があるので、数字の議論になればいろいろな議論ができる。総理が言うように雇用の数字は良くなってるとか、われわれ的に言わせると実質所得が目減りしているとか、いろいろな議論はある。しかし、一番大事なことは国民の実感だ。国民の8割近くの人たちが景気回復を実感していない。そこで答えは出ている。国民の実感というものを大事にしてほしい」と安倍総理に注文をつけた。

 財政健全化に関して安倍総理が「旗は降ろさない」と発言したことについても、「非常に気になった」と語り、歳出抑制に関する具体策が全く示されなかったことを問題視した。党首討論の際にも指摘した歳出抑制に関する具体的な行財政計画が示されないままでは「次世代にツケを回していくだけのもの」だと述べ、問題先送りの無責任な発言を批判した。

 安倍総理が「引き上げをあきらめるという新しい判断について参院選で国民に問う。参院選の大きなテーマは消費税引き上げ延期」と安倍総理が争点設定をしたことに関しては、「非常におかしな議論だ」との見方を示し、「できなかったことについてまず国民にわびるべきであり、そのことが選挙で問われるべきだ」と語った。

 自らの任期後に引き上げ時期を設定したことについて、安倍総理が「自分の自民党総裁の任期にとらわれるべきでない。国民のことを考えたらそうしたことは関係ない」旨の発言をしたことに対しては、「政治家として財政の健全化という重要なテーマを自分の手でやり遂げるとしっかりと約束すべきであって、任期が過ぎてから、次の総理の判断でさらに延期するか上げるかを決めざるを得ないというのは、一国のリーダーとして極めて無責任だ」と述べ、消費税引き上げの責任を放棄した安倍総理の姿勢を強く非難した。