岡田克也代表は10日午前、東京都内でキャロライン・ケネディ駐日米国大使と面談。民進党結党のあいさつをするとともに、沖縄問題をはじめさまざまなテーマについて話をした。江田憲司代表代行、山尾志桜里政務調査会長、藤田幸久国際局長が同席した。

 岡田代表は面談後に党本部で記者団の取材に応じ、内容について明らかにした。

 面談ではまず、岡田代表から「民主党と維新の党の2つの政党が一緒になり、もう1回将来政権を担える政党を目指す」と民進党の結党の意味と決意を説いたうえで、オバマ大統領の広島訪問について、「大変良かった」と評価。ケネディ大使のご尽力に対し感謝の意を伝えるとともに、「被爆された方とオバマ大統領が抱き合う姿は長く人々の記憶に残るだろう」と述べた。

 元海兵隊員で軍属の男による女性殺害事件について沖縄の人々が深く傷つけてられていること、沖縄の今までの歴史を踏まえて考えたときにこうした事件が度々起こることは沖縄にある基地の問題を含めて日米同盟にとって深刻な事態であると岡田代表は表明。これに対しケネディ大使は、在日米軍が日本に駐留するすべての米海軍兵に対し、当面の間、基地内外での飲酒を禁じ、勤務時間外の行動についても自宅と勤務先の往復などに制限するよう指示したことなどを説明したが、岡田代表は、「当面の措置としていろいろあるが、もう少し実効性のある措置をしっかり取らないと同じようなことが繰り返されてしまっている。パーマネントな対応が必要ではないか」と指摘。日米地位協定についても、「今回の事件には直接関係ないとはいえ、根本にある問題だ。地位協定で平等でないということが今回の事件の一つの原因になっている。しっかりと日米両国政府で話し合うべきではないか」と提起した。

 普天間基地の移設問題については、岡田代表は「あまりにも強権的にやっていくとまったくできなくなってしまう。日本政府はもっと丁寧に進めていく必要がある」と主張。江田代表代行は、(米軍普天間基地の全面返還で合意した)橋本政権時代に首相秘書官を務めた立場からも「埋め立てが強行されることになると取り返しがつかないことになる。丁寧に話し合いを進めていく必要がある」と重ねて求めた。

 ケネディ大使から民進党での女性の活躍の状況についての話題が投げかけられるなど、さまざまなテーマについて率直に話した。

 参院選挙で野党4党が「安全保障法制の廃止」を公約として掲げていることについて話題に上がったかとの質問に岡田代表は、「集団的自衛権の行使は憲法違反であるというのは歴代総理の見解であり、今回の法制は違憲の疑いが極めて濃い。したがって、白紙に戻すことを求めている。しかし、昨年の法律が通る前の段階にもどるだけであって、それがすべてなくなるということではない。全部白紙にするような印象を与えているとすればそれは違う、日米同盟は非常に重要だと考えている」と説明したと述べた。

 関連して、安倍総理が9日の街頭演説で「民進、共産に政権を委ねていいのか。もし委ねてしまったら安保法制を廃止して日米同盟が損なわれる」との批判を展開したことについて感想を求められた岡田代表は、「昨年の9月以前に戻るだけであって、安保を認めないような印象を与える極めて問題のある演説だと受け止めている」と批判。安倍総理の「民進党と共産党の政策の一致が多くないまま共闘している。民共政権にしていいのか」という批判については、「参院選挙であり政権を争う選挙ではない。われわれは共産党と連立政権を組むことはありえないと申し上げている。安全保障法制についてもそうだが、ひとつのことを勝手に拡大解釈して批判してみせるのはフェアでないし、国民に対しても失礼だ」と反論し、「安倍総理とはもっと前向きな議論をしたい」と述べた。