岡田克也代表は14日午後、党本部で定例記者会見を開き、(1)東京都知事選挙(2)憲法の改正論議(3)天皇陛下の「生前退位」報道(4)南シナ海に関する仲裁裁判所の判断――等について発言した。

 同日告示された東京都知事選挙について、「われわれとしては鳥越候補という最善の候補を得て、しっかりと戦い抜いていきたい」と表明。「鳥越候補には野党4党と市民、地域政党と多くの人々が自発的に推す中で戦いを進めていただくことになる。市民連合は今朝推薦を決定し、ローカルパーティである東京生活者ネットワークも全力で応援するということで、4党だけでなく幅広い支持者に支えられてしっかりと都民に対し訴えていただきたい」と述べた。鳥越候補については、「一流のジャーナリストであり、今までの経験、さまざまな現場を踏んできたことによって培われた判断力や決断力といったものが大きな組織のリーダーとして必ず発揮されると思っている」とアピール。加えて、この間の2人の都知事の途中辞任については、本人の問題に加え自民党の都議団にさまざまな問題があることも事実だとして、「そこをしっかりとただしていくことができるリーダーが必要だという観点から見ても、鳥越さんしかないだろう」と述べた。

 宇都宮健児氏が13日夜、都知事選立候補を辞退したことには、「過去2回次点だという位置づけにあり、ご本人としては無念の思いもあったし、いろいろなお考えもあったと思う。そのなかで野党で1人という大局観に立ってご決断いただいたのは非常にありがたいことだ。宇都宮さんのご決断に心から感謝を申し上げたい」と述べた。

 憲法の改正論議をめぐっては、安倍総理が11日の記者会見で「『安倍政権の間は憲法改正をしない』と岡田代表は言っておられるが、それは建設的な対応とは言えないのではないか」と発言したことに対し、そうした言い方はしていないと反論。「安倍総理の憲法に対する考え方を明確にすべきだと申し上げている」と述べ、「立憲主義について真逆なの解釈をしている可能性がある」「日本国憲法について『GHQがたった8日間でつくりあげた代物』と発言しており、『代物』と言う総理大臣は聞いたことがなく、取り消して総理大臣としての日本国憲法に対する受け止め方を示してほしい。そうでないと70年間憲法を尊重し、国会をはじめ国民のあいだで議論してきたことに対する侮辱だ」などと指摘した。「憲法改正あるいは議論そのものを一切しないと言っているわけではない。玉は総理にある」と主張。国会の憲法審査会での議論については、「前国会で議論をしなかったのは与党、自民党だ。動かす以上は公平なルールで動かしていかなければならない。勝手にやれと言ったり、実際やらなかったりという不公正な運営はあってはならないことだ。そういうルールも含めて憲法審査会の幹事間で議論することが必要だ」と述べた。

 天皇陛下の生前退位の報道については、「正式なコメントがないまま、真偽を確かめようがないが各社が報じているところを見ると、かなり確度の高い話なのかと推測をしている」との認識を示したうえで、「今の陛下を近くで拝見していると、ご高齢であるにもかかわらず外国賓客の接遇や被災地のお見舞い、戦没者慰霊のための海外訪問など本当に厳しい日程を黙々と誠意をもってやっていただいている姿は頭の下がる思いだ。そういうなかでいろいろな無理も出てきて、報道されているように陛下ご自身のご意向であるとすれば真摯(しんし)に受け止めてしっかりとした対応を考えていかなければならない」とコメント。政府が有識者で議論する場をつくり、有識者でしっかり議論をして答えが出たうえで皇室典範ないし法律の改正など国会でもしっかりと議論していきたいと述べた。「非常に重要な問題なので、国論が分かれることなく多くの国民の皆さんの方向性が一致するようなプロセス、結論が出ることを期待したい」として、「有識者会議のなかでは最終的な結論以外にも、ご公務の量や内容の見直し、皇族の皆さんのあいだでの分担のあり方などについても議論していただきたい。女性の皇族の結婚による皇室の離脱についても、5年、10年先を考えると皇室の数が一挙に減ってしまうことになりかねず、真剣な議論がなされる必要があるのではないか」などと問題提起。「いずれにしても政府でしっかりとした対応をしてもらいたい」と求めた。

 南シナ海に関する仲裁裁判所の判断については、「中国政府の対応は非常に問題があると思う。判決に対して非常に侮辱的な言い方もしているし、国際海洋法条約に基づく法的拘束力を持つことは明らかであり、それを尊重する姿勢を持ってもらいたい。世界は一定の法的ルールの下に成り立っているわけであり、それを公然と従わないのを安保理(国際連合安全保障理事会)のメンバーである大国である中国が言うということは、世界全体の安定にとっても非常に由々しきことどであり、冷静な対応をお願いしたい」と述べた。