岡田克也代表は6日、平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)をはじめとする追悼慰霊式典に参列後、広島市内で記者団の取材に応じた。

 岡田代表は冒頭、「今日は、オバマ米国大統領が広島に来られてから初めての8月6日であり、そういう意味で大事な一日だ」と述べたうえで、オバマ大統領が今、任期満了を控えて新たな一歩踏み込んだ政策を考えているとの報道を踏まえ、「私は具体的な中身を承知する立場にはないが、核兵器の役割をさらに限定するような提案が検討されていると思う。広島に大統領が来られて、被爆者の皆さんとお会いをしたり、広島という地に自ら身を置いたなかでさまざまなことをお考えになった、あるいは深く考えるきっかけになった結果として今のような話が出てきているのだと思う。レガシー作りだとかいろいろなことが言われるが、オバマ大統領がもう一回プラハ演説の原点に立ち返り、何かを残さなければいけない、やらなければいけないというのが今のアメリカの動きではないか」と指摘。自身の外務大臣就任時にあった核態勢の見直し(NPR)の議論の際に米国で「同盟国の日本が核の抑止力を弱めることに反対している、賛成していない」ということをよく言われたと振り返り、「今回もそういう話があるというが、日本もそれ(米国の動き)にしっかり呼応して、協力してもらいたい。オバマ大統領が進める核なき世界に向かっての具体的な政策に日本はしっかり協力する、一緒になって取り組んでいくという明確なサイン、メッセージを安倍総理はしっかり送るべきだ。このチャンスを活かしていかなければいけない」と強く求めた。

 安倍総理の平和記念式典のあいさつについては、「そう期待した私からすると、通り一遍で残念。『努力する』と言うだけで、具体的なことはなく、このままではオバマ大統領が広島に来られた意義が残念ながら生かし切れていない」と苦言を呈した。

 広島被団協主催の原爆死没者追悼慰霊式典でのあいさつのなか言及した、自身の核軍縮、核不拡散に向けての具体的な取り組みについて問われると、「私はずっと核不拡散・軍縮議員連盟の代表を務めてきたが、(民進党の)代表就任時には、会議には出席していたがなかなか時間を割く余裕がなかった」と述べ、今後は活動を積極的に進めていく考えを表明。「野党であり限界はあるが、核禁止条約の扱いについても、核の抑止力に依存しているという現実があるのでただちに核をなくすということは必ずも可能だとは思わないが、核なき世界に向けて確実に進めていくためにどういうスタンスで臨むべきなのか、あるいは核禁止条約の中身をどうすべきかなどといった議論をしっかりやっていきたい」と力を込めた。

 憲法改正をめぐっては、岡田代表がこれまで「憲法は時代の変化に応じて議論すべきだ」という発言をしてきたことについて、現時点で憲法に関して議論になりうる課題、問題はあるかと尋ねられると、「これから党内で議論していけばいい」としたうえで、「今まで事実上憲法解釈について一つの歯止めになっていた内閣法制局が機能しなくなっている、従来の役割は期待できなくなっている。政府の一機関である限界を示している以上、違憲立法審査権について、より司法の役割を重視することは一つの議論してあるだろうと思っている。これから党の中で議論していくわけだが、憲法改正なのか立法的に対応する問題なのか。違憲立法審査権について今の最高裁判所は消極的に理解しているが、そうではないということを立法的に措置すれば十分ではないかとも思うし、そういうことは一つの議論になりうると思う」とコメント。一方で、「憲法改正をやりやすいところをまずやって次には9条に進もうという考え方が政権内にあるように私は思っているので、そこは十分気を付けながら必要なところはしっかり議論していけばいいと思っている」と警戒感をにじませた。