15日の臨時党大会で民進党新代表に選出された蓮舫代表は、就任後初の記者会見を開いた。

 冒頭のあいさつで「先ほどの党大会で代表に選出された蓮舫です。これから先、この民進党をしっかりと選択していただける政党につくっていく。私たちには政策も対案もある。人材も、それぞれの人たちの能力も保証されたものだ。信頼を一つずつ積み重ねていくことのできる政党にしていきたい」と述べた。記者団との主な一問一答は次の通り。

 問 与党自民党と比べて支持率が伸び悩む民進党を具体的にどう変えていくのか。最重点課題は何か。安倍政権との対立軸はどうするか。

 答 信頼がなければ支持率につながらない。時間をかけて丁寧に、そして信頼される政党にしていきたいと思っている。臨時国会が始まろうとしているので、当面は政府が提出している補正予算をしっかりと精査して、同じ財源であれば、この使い方で本当にいいのか、選択肢を示す国会論戦ができるような準備にすぐに入る。

 また、10月23日に衆院補欠選挙がある。東京10区には鈴木庸介、福岡6区には新井富美子という素晴らしい候補予定者を立てているのでしっかりと勝てるよう、議員全員で応援する態勢を早々に整える。

 問 憲法の議論の際、与党が改憲項目を(自分たちの目指す方向に)絞っていく可能性があるが、与党のそうした意図に乗せられてしまう懸念はないか。また、与党は共謀罪の提出も検討しているが、これにも対案を出すのか。

 答 憲法審査会は去年から審議を止めているのは与党だ。われわれは開かれた憲法審査会に出ている。その部分ではわれわれはこれまでと同様に立法府の一員として、開かれれば参加していく。ただその先の性急すぎる論点整理は、国民が一緒になって関心をもって参加する、あるいは関心を持たないなかでの与党の(性急すぎる)運営が想定されるのであれば慎重に対応していく。これは国会対策運営上の戦術的な問題でもある。

 2点目の共謀罪については、どういう内容のものを提出してくるのか、その中身の確認をしなければいけない。その部分では党内の法務委員会を中心に、どういう形で臨んでいくのか議論していく。

 問 憲法改正に関して2点伺う。憲法審査会が動けば参加するということだが、前提条件はつけるのか。また、共産党は安倍政権下での憲法改正には反対してほしいというスタンスだがそれにはどう応えるのか。憲法について党としての見解をまとめるのか。

 答 3候補とも代表選挙候補者集会のなかで、会を重ねるなかで意見が一致してきたのは党内にもう一度憲法調査会を設けて議論をすべきだということだったので、検討する。また、他党からの声は、私は今日代表に就任したので、どういうご要請をいただけるのか、これから考えさせていただく。憲法8章への思いや、自民党の提言に対して、家族の項目に関して違和感を覚えていることは個人的にはあるが、党内にはどういう意見があるのか、調査会を開くか開かないを含めて検討していく。

 問 代表選挙期間中、民進党の支持率が8.3%と代表選挙が始まる前より低下した。一方、自民党は40%を超えている。2大政党制にはまだまだ道のりは遠いと思う。どういったことが信頼回復につながるか。

 答 過去、私たちの先輩も支持率の低いところから一歩ずつ頑張って、チャレンジして、提案をして、そして政府の問題を指摘して、2009年(の政権交代)につなげた。もう一度初心に返って、一つずつ積み上げていくことにつきる。それが信頼につながるための行動だと思っている。ただ、野党が国民の皆さま方に注目していただける場面は、国会での質疑や党首討論、あるいは10月23日の補欠選挙に向けた街頭活動など。その一つ一つが限られているので、大切にする形でしっかりと発信する。批判だけではなく提案をし、こういう考えであるということを声を大にして訴えていく。

 問 対案路線を掲げるなかで党内をまとめられるか。また、対案路線を掲げると共産党をはじめとする国会内での野党間の協力が難しくなるのではないか。

 答 それはテーマによる。閣内の不祥事であったり国民の皆さまが納得されないような問題が起きた場合は、それは対案の前に問題の指摘、そしてその問題がなぜ起きたのかの説明責任を求めるのが当然だと思う。対案は内容による。例えば安保法制に関しては憲法に集団的自衛権行使の部分で抵触するということがあるので、そことは一線を画すということで他の野党と協力をしてきた経緯があるので、その点を大きく振り切っていくという話ではない。

 問 二重国籍の問題について党内で一連の説明の仕方について批判が出ている。党内の信頼についてはどのように考えるか、国民の信頼にどうつなげていくか、新代表に選出されたことでみそぎは済んだと考えるか。

 答 党内外に向けて信頼していただくためにもしっかり説明していきたいと思う。

 問 代表選挙を通じて前原候補からいろいろ学び、前原候補が掲げた「ALL for ALL」の考え方は踏襲すると選出後のあいさつで発言していたが、これは新体制でこの考え方を掲げるという決意表明か。

 答 前原さんの考え方、国家観のあり方、民進党が目指す国家像は応分の負担とそれに見合う行政サービスをしっかりと提案していくという考え方はまったく違和感がない。また、玉木さんのおっしゃる子ども国債という、ある種新しい斬新な考えかたも含めて、財源は行革、予算の振り替えだけではないという部分が、今回の代表選では新しい結実としてひとつ出た。この考え方をもって、今後指名していく政調会長にはその方向性でまとめていきたいというのが私の意志だと示していく。

 問 解散・総選挙はいつ起きてもおかしくないが、新代表の心の準備はいかがか。
 答 衆議院の解散は、まさに「常在戦場」。しかも解散権は総理がお持ちなので、いつあっても、しっかり戦っていく態勢はすぐ整える。

 問 新代表のもとでの民進党を一言で表現するとどんな民進党になるか。

 答 新世代の民進党。年齢ということではなく、みんなが新しい世代をしっかりつくっていく。これを旗にしっかりと掲げて、全員野球で前に進めていきたいと思っている。

 問 前原さんや玉木さんを新体制で政調会長などの役職に据えるのか。

 答 人事はまだ白紙。ただ、今回戦った方も、あるいは私の選対で中心として働いて下さった方も、それ以外の方も、現職の衆参の国会議員は全員が専門性が高いので、その皆さんに支えてもらう代表でありたい。託す、委ねることができる代表でありたいと選挙戦の途中でも話してきた。白紙のうえで誰が適任なのか、しっかり考えたい。

 問 今回の代表選は、郵便投票の投票率が全国で40.89%しかなかった。政党支持率以前に党員・サポーターの関心も低いと言わざるを得ない。これだと政権交代がかなり遠いのではないか。党員・サポーターの低投票率をどう受け止め、今後どんな行動をとるか。
 答 その厳しいご指摘、本当にそのとおりだと思うので、甘んじて受け止めさせていただく。各都道府県連で、それぞれの地域で投票率が低かった原因等はちょっと自己分析をしていただき、次の代表選に向けて改善し得る点があるのかどうなのか分析させていただく。

 問 国籍問題について、法務省が、一般論としながらも、日本国籍取得後も台湾籍を残していた場合は、二重国籍状態が生じて国籍法違反に当たる可能性があるという見解を示した。これについてどう考えるか。
 答 私自身は、籍を放棄したとずっと認識をしていた。あわせて、今、放棄をする手続に入っているので、その努力はしてきた部分も含めて、違法ではないと考える。

 問 民進党は自民党に比べ地方組織が弱く無党派層に頼る選挙になりがちと言われる。どのようにして地方組織を強化し、支持基盤を広げていくか。

 答 岡田代表が進めてきた都道府県連改革をより一層強力に進めていく。あわせて自治体議員の数が現政権と比べて圧倒的に少ないので、一人でも多くの方に手を挙げていただき当選していただく。これは地方組織改革と合わせてやるべき課題。

 問 若者の政治に対する関心が薄くなっている。そのような若者にどう訴え、民進党の支持基盤に入れていこうと考えるか。

 答 分かりやすい言葉で伝えようと思う。難しい専門用語ではなく、伝わる言葉で話しかけたいとこれまでも努力してきたが、これからも代表として皆さんに伝わるような言葉で話していきたいと思う。