衆院予算委員会で30日、第2次補正予算の基本的質疑に立った後藤祐一議員は、昨年政府・与党が成立を強行した改正PKO法で新任務となった「駆けつけ警護」を、11月1日以降に南スーダンに派遣される陸上自衛隊に付与するか否かを稲田防衛大臣にただした。

 後藤議員は、陸上自衛隊が派遣されている南スーダンの首都ジュバ市内で7月7日以降政府側と反政府側との間での衝突が起こり、少なくとも300人以上が死亡し、7月10日から11日にかけては陸上自衛隊宿営地の隣のビルで銃撃戦があるなど、大規模な戦闘が行われていると指摘。こうした治安情勢を踏まえPKO参加5原則が維持されているかに疑問を呈し、「このような紛争が起きた時は、PKO第1原則の停戦合意は崩れているかもしれない。そう判断した場合、第4原則に基づいて撤収しなければならない。11月以降、どうするかを判断するために稲田大臣がジュバに視察に行くが、駆けつけ警護の任務付与を今の段階で前提にしていないという理解でよいか」とただした。

 稲田大臣は、現在の南スーダンの治安情勢について「法的に戦闘行為ではない。衝突で人が死亡し、物が壊れている」などと答弁し、PKO参加5原則は崩れていないとの考えを表明した。11月以降の陸上自衛隊の任務については「現時点で何かが決まっているわけではない。予断を持たずしっかりと現地を見て判断する」と答弁した。

 後藤議員は最後に、「民進党も駆けつけ警護を一部認める法案を提出している。ただ大きく違う。駆けつけ警護の対象を自衛隊員、PKO隊員に限っている。現行法は、他国の軍人関係者も対象にしているので、当然危険の度合が違う。また、民進党案は現に戦闘行為が行われていないことを要件に付している。駆けつけ警護の任務を付与するか否かを国会承認にかからしめるのがわれわれの案だ」と説明し、民進党案を真剣に受け止めるよう政府側に求めた。

駆けつけ警護に関して稲田大臣の認識をただす後藤議員

駆けつけ警護に関して稲田大臣の認識をただす後藤議員