衆院予算委員会で30日行われた2016年度第2次補正予算に関する基本的質疑の第1日目で、辻元清美衆院議員は(1)憲法(2)南スーダンでのPKO活動――などについて質問した。

 憲法改正のプロセスについて「憲法を改正して欲しいという、非常に多くの国民の皆さんの声が出てきたら、それを立法府で受け取り、議論していく」ものだとした上で、「自民党の改正草案では、表現の自由について公益を害する活動や結社は禁止とあるが、国民の側から表現の自由の制限をして欲しいという声があったのか」と疑問を表明。「自民党の憲法改正草案は国民不在なので、棚上げしたらどうか」と問うと、安倍総理は「自民党は既に憲法草案を示し、その上で選挙に臨んでいる。その上でここにいる議員は当選している。国民不在という指摘はあたらない」「自民党草案を議論したときにはさまざまな議論があったが、最終的に決まったら自民党はこれで行こうということになっている」「国民投票に付すための憲法改正案が出来る上で、まだ出しておらず基本的な考え方として示しているものを撤回するしないではない」という見解を示した。

 稲田防衛大臣には、大臣としての基本姿勢について質問した。稲田大臣が過去に雑誌の対談で核保有について「長期的には日本独自の核保有を単なる議論や精神論ではなく、国家戦略として検討すべきではないでしょうか」と答え問題視されていることについて、辻元議員は「国会の場で、この発言は撤回するのか。日本の国是と全く違い、国際的にも違ったメッセージを出しては(稲田大臣本人が)困るのではないか」と迫った。稲田大臣は「今日本が、核保有をすべきではない」と答えた。

 辻元議員は「いつも、『今』保有すべきではないと言うから問題になる。『今は必要ないと思っている』というあいまいな答弁では国際的にも信頼をなくす」と指摘したが、稲田大臣は「核兵器のない世界に向けて全力を尽くす」「非核三原則を堅持し、核のない世界に向けて全力を尽くす」と繰り返し答えるにとどまった。

 防衛大臣就任後、今年8月15日の全国戦没者追悼式(政府主催の追悼式で天皇皇后両陛下、総理大臣、両院議長などが臨席)に欠席したことを問うと、「今回、出席しなかったとのご指摘は、誠にその通り。大変残念だった」と答えた。

 南スーダンでのPKO活動について、「現在、自衛隊が活動しているエリアも含めた南スーダンでPKO5原則は崩れていないという判断か」との辻元議員の質問に、安倍総理は「南スーダンでは本年7月に治安が悪化したことから政府として引き続き緊張感をもって現地情勢を注視している。PKO参加5原則は維持されている」と答えた。

 駆けつけ警護に関係した自衛隊の安全対策については、PKOの南スーダンの部隊350人のうち医官(医師)は3人で、医療活動として手術ができず医療体制の不備を指摘。「新任務(駆けつけ警護)を付与して送ることは相当の覚悟が必要。自衛隊員に万が一のことがあったら総理は辞任する覚悟があるか。それぐらいの覚悟はあるのか」と迫った。安倍総理は「自衛隊員にしかできない任務を遂行しており、どこのPKO活動も危険が伴う。自衛隊が行く以上、完全に安全な、例えば東京で仕事をしているのとは違う。そういうところに部隊を出す以上、常に危険を覚悟してわれわれも指示をしている」と答えるにとどまった。

 最後に辻元議員は、「自衛隊の皆さんに『今この場所から敬意を払おう』と拍手するよりも、総理の仕事は医療体制を整えたり、最後は責任を持つ、堂々と自分の身を賭すと自衛隊員に向かって言うことだ」と指摘し質問を終えた。

質問に立つ辻元議員

質問に立つ辻元議員