前原誠司議員は3日、衆院予算委員会で質疑に立ち、北方領土問題などについて安倍総理や関係閣僚に質問した。

 前原議員は、「2014年3月の外務大臣談話で、『ウクライナのクリミア自治共和国で行われた住民投票は法的拘束力が無く、わが国はその結果を承認しない。ロシアはクリミアの独立承認を撤回することなどを強く求める』とした考え方に変更はないか。また、北方領土交渉にクリミア問題を絡めることはないか」と質問した。安倍総理は「クリミアを武力で現状変更したことについて、国際社会とともに制裁を行っている。ミンスク合意をしっかりと履行するようロシア側に言っている。それと日ロの平和条約交渉が滞ることがあってはならないということも申し上げており、その考えは(ロシア側と)共有している」と答弁。これに対して前原議員は、ロシアへの制裁については理解していると述べた上で、「力で現状を変える勢力が出始めている。領土交渉は大切だが、解決するために『法の支配は大事である』という原則を曲げることはないか」と重ねて質問。安倍総理は「原則を曲げることは考えてもいない。日本の一貫した立場だ」と答えた。

 北方領土問題について前原議員は、「一義的には日本で決めることだが、重要な同盟国である米国とも話す必要がある。私の皮膚感覚として、米国の政権移行期にバタバタと決めるのは良いとは思わない」と感想を述べた上で、「北方領土問題解決の基本方針は、4島の帰属を解決した後に平和条約を締結するとあるが、4島は日本への帰属でいいのか」「2島先行返還と言う話も出ているが、それはありうるのか」などと質問した。岸田外務大臣は「4島の帰属を明らかにしてから平和条約を締結する。それ以上のことには触れていない」などと答えるにとどまった。これに対して前原議員は、「あいまいだ。(基本方針では)4島の日本への帰属とは明確に言っていない」と指摘した。一方、2島先行返還論について安倍総理は「報道にあるような事実、指摘のような事実はない」と答えるにとどまった。前原議員は、「2島を先に返還して、後から2島を返すなどと言うことはあり得ない。永久に返ってこない。タイミング、貫くべき基本的前提、米国との連携そして日本の歴史的な立場を踏まえて大きな事業について頑張ってほしい。そのために、大きな前提を崩すべきではない」と述べた。

 20161003 前原議員配布資料

 稲田防衛大臣の過去の言動、資質についても言及し、「防衛大臣になる前だからと言って、日米同盟は日本を守るためのものではないと言い切る不勉強さ。防衛に対する認識の足りなさにあ然とする。さらに防衛政策の隘路は何かという問いに対しても満足な回答を出せない。私が大学の教官であったら単位はあげられない」「安倍総理が防衛大臣になぜ稲田氏を指名したのかはよく分からない。能力のない、バランス感覚のない人を防衛大臣に据えたことには大いに問題がある」と指摘した。