衆院予算委員会で3日、2016年度第2次補正予算に関する基本的質疑が開かれ、民進党の3番手として質問に立った大西健介議員は、(1)あっせん利得処罰法改正(2)甘利前経済再生大臣の説明責任(3)山本幸三地方創生・行政大臣の知人のインサイダー取引事件を調べていた証券取引等監視委員会に国会質問で圧力をかけていたと報じられたこと(4)東京オリンピック・パラリンピック予算――等に関して安倍総理らに質問した。

 蓮舫代表にならい提案型で行きたいと前置きした大西議員は、甘利前大臣と秘書が独立行政法人都市再生機構(UR)に働きかけを行い、その見返りとして金銭を受け取った問題について、秘書に対して検察審査会は不起訴不当としたが東京地検が再び不起訴処分としたことに言及。「秘書らはURに10回以上も働きかけをし、多額の金銭や接待を受け、高級車のおねだりまでした。しかも今回は録音テープが残っている。これだけのことをしているのに、何の罪にも問われないのは多くの国民の皆さんが腑に落ちない思いを抱いていると思う」と述べ、あっせん利得処罰法がこれまで過去1回も国会議員や国会議員秘書に適用され有罪となった事例はないことについて、「法に不備があり、残念ながらザル法になってしまっているのではないか」と指摘した。同法が政治活動を過度に規制しすぎないよう、適用要件を「権限に基づく影響力の行使」と狭く規定していることによって、議員が働きかけをして金銭を受け取っても罪に問われない状況となってしまっていると問題視した。

大西議員が質問

 大西議員は2000年の法案審議時の与党案と野党案の比較表を示し、野党案では「請託の有無」「権限の有無」を問わない代わりに、目的に関して「特定の者に利益を得させる目的」と縛りを設けることで広範囲の政治活動の自由が制限されないように配慮していたと説いた。今回の事件を踏まえて大西議員は、「甘利大臣の秘書が不起訴になったことを受けて、法案を審議していた2000年の野党案をベースに改正し、より実効性を高めるべき」と提案した。しかし安倍総理は、「この法律は公職にあるものの政治活動の廉潔性を高めることを目的としている」などと答弁書を棒読みするだけで「政治とカネ」の問題について本気で取り組む意向は何ら示されなかった。

 大西議員は、甘利前大臣自身が先の国会等で答弁していた説明責任が何ら果たされていない状況を踏まえ、同氏の健康も回復したとされる現在、安倍総理が同氏を促して民進党が求める国会での証人喚問に応じるように求めた。

PDF「衆院予算委 大西健介議員配布資料」衆院予算委大西健介議員配布資料