衆院予算委員会で安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議が行われ、党政務調査会長の大串博志議員が質疑に立った。

 大串議員は政府の年金制度改正案について、「今回は根幹にかかわる問題だ。賃金がマイナスになることが前提となっている。2年前に年金は100年安心だと言って政府が出した背景の数字は、すべて名目賃金の上昇率は高いプラスの領域にある。にもかかわらず、今回は賃金がマイナスになることもありうるという前提の法律が提案されている。矛盾ではないか」と追及した。

 安倍総理は、「賃金が下がることを前提にしているわけではない。しかし、さまざまな出来事が起ることを前提にしなければならない。万万が一のためだ」と答えた。

 大串議員は、「国民年金で年間約4万円、厚生年金で14万2千円減るかもしれないと言われているような、国民生活にとって極めて大きな影響を持ちうる年金カット法案だ。万万が一と総理は言うが、賃金上昇率がマイナスの場合に年金を切るような法案を、万万が一の場合に出すのか」と追及した。

 さらに、「厚生労働省の資料によると、賃金改定率がマイナスになっているケースは、近年多く、12年間のうち7回は賃金上昇率がマイナスだ。事実は想定された賃金の上昇が達成できずに、ゼロもしくはマイナスで、年金財政は破綻状態。その場しのぎの対応で、国民の年金を切るような年金カット法案を出したのではないか」と指摘し、「年金の不安は解消されていない。年金に関しては考え方を定め、正直であるべきだ。年金の最低保障機能の強化、世代間の公平の保持、働き方に中立、安全な運用の視点から年金のありかたに関してマクロ的な改革をすべきだ」と提案した。

安倍総理に質問する大串政調会長

安倍総理に質問する大串政調会長