真山勇一参院議員は28日の本会議で、政府提出の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」について質問した。

 

 真山議員は質問に先立ち、昨日逝去された三笠宮親王に対し哀悼の意を表明した。

 質問の冒頭、「わが国は、観光客に『おもてなし』をするのは得意かもしれないが、さまざまな活動を通じてわが国の社会を支えている外国人に対して、政府は十分な『おもてなし』の精神を発揮できたか。技能実習制度は、国内外から『現代の奴隷制』といった批判が相次いできた。巷にあふれる『日本はスゴイ』『日本人は素晴らしい』という自画自賛と現実との乖離(かいり)を直視しなければならない」と述べた上で、「技能実習制度を法律によって規定し、実習を適正化し、実習生を守ることは当然必要だ。熟議を重ね、二度と批判を招かないよう制度を構築したい」と、この規定の必要性を説いた。

 真山議員は、「9月27日、政府が設置した『働き方改革実現会議』で、外国人労働者の受け入れが検討されると報道されたが、もし、そうであるならば、その方々はわが国の経済と社会を支える重要な柱となる。今年6月に安倍総理は、日本版グリーンカードの創設も発表したが、それは外国人労働者を受け入れることを検討していることか」と、政府の基本姿勢について質問した。菅官房長官は、「将来的な外国人材の受け入れのあり方については、真に必要な分野に着目しつつ、相互的かつ具体的な検討を検討をする。多様な課題の一つとして受け入れ問題を議論する」と答えた。

政府の姿勢について質問する真山議員

 真山議員は、「医療全般に関する不安について、外国人の方々が相談する窓口は十分にあるのか。政府の施策を推進すれば、今後、わが国で働く外国人は増えていくはずだ。外国人の人権、特に労働権の問題にも正面から向かい合うべき時期ではないか」と訴えた。

 技能実習制度の管理強化について、「送り出し機関への規制が不十分に思える。補償金・違約金に関して送り出し機関には罰則規定がない。送り出し機関は外国にあるが、日本に駐在員を常駐させていることも珍しくなく、日本人が送り出し機関に関わっていることもある。また、強制帰国に関わる実効性のある規制も見当たらない」などとして、その理由を尋ねた。金田法務大臣は、「送り出し機関による補償金徴収や違約金契約は、一般に送り出し国で行われる。国外の不正行為に対しては、相手国の協力を得ながら不正を行ったものをわが国の制度から排除していく。強制帰国防止のため、空港などで出国の意思確認を行う取り組みを進めている。実習実施者に対しては、技能実習が困難となった場合の届け出をするよう求めている」などと説明した。

 技能実習生の賃金についても懸念があるとした真山議員は、「実習生の賃金は、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上という基準が追加されるが、政府が各種の賃金統計を活用し、客観的、合理的な最低基準を設定し、法規定できないか」と質問した。金田法務大臣は、「報酬額が日本人と同等額以上であることを、実習実施者に説明責任を課し、他の労働者の報酬から類推するなどして適切な報酬が支払われるようにしていく」と答えた。

 真山議員は最後に、「今、社会はますます複雑化し、多様化している。この多様性が国家の力になることも否定できない事実だ。本当の意味で『日本はスゴイ』『日本は素晴らしい』と、日本人も外国人も胸を張って賞賛できる国にすることが政府と国会の責務だ」と述べ質問を終えた。