第193通常国会が1月20日に開会した。蓮舫代表は24日、参院本会議での安倍総理の施政方針演説に対する代表質問で、「民進党は、一人ひとりの価値観、多様な価値観を大事にし、全ての人に居場所と出番のある社会を目指す」などと訴えた。

教育、教育、教育。これが私たちの
アベノミクスへの対案だ

 蓮舫代表は、「人々を追い立てるかのように技術は進歩しているが、国内に目を向ければ、昨年生まれた子どもの数は初めて100万人を切った。戦後のわが国の繁栄を支えてきた環境が曲がり角を迎えている。その中で、引き続き安定成長を実現していく考えに変わりはない」と訴えた上で、「同時に、経済的な『豊かさ』に偏重するのではなく、一人ひとりの価値観を大切にし、さまざまな考え方、生き方を認め合う多様性を大事にすることが、これからの『豊かさ』だと思う。全ての人に『居場所と出番』のある社会。これが民進党の目指す未来だ」と、力を込めた。
 「教育は国の力。子どもたちは未来だ」と訴えた蓮舫代表は、政府の給付型奨学金制度創設について、「評価はするが中身が残念すぎる。対象は1学年あたり2万人に過ぎない。この規模の措置で十分だと考えるか」と安倍総理に迫った。安倍総理は、「来年度から給付型奨学金を創設することとした。必要とする全ての子どもに機会が与えられるようにしていきたい」と答弁したが、規模が十分かどうかについての言及はなかった。蓮舫代表は、「民進党は、すべての子どもたちが経済的な心配をすることなく、希望する教育を受けられるよう、教育の無償化を進める。幼児教育から高等教育までの教育の無償化を目指す。教育と子育てに予算を集中投資することは、わが国の構造的な課題である人口減少を止め、女性の社会進出と活躍を促して生産性を向上させる。経済対策としても極めて重要だ。教育、教育、教育。これが私たちのアベノミクスへの対案だ」と強調した。

中間層を復活させる日本型
ベーシックインカム構想を提案

 働き方改革を進めると掲げた総理の方向性には賛成するとした上で蓮舫代表は、「野党が提出している長時間労働規制法案の審議になぜ応じないのか」「政府法案はいつ提出するのか」と質問した。安倍総理は、野党案を審議しないことについて、「野党案では省令に丸投げするなど具体的中身がない」とこれまでの批判的な答弁を繰り返し、政府法案の提出については「働き方改革実現会議で取りまとめる実行計画に沿って早期に法案を提出する」と、具体的な日程には言及しなかった。
 蓮舫代表は、「民進党は勤労意欲の低下という短所を打ち消しながら、中低所得者を底上げし中間層を復活させる具体策」として「日本型ベーシックインカム構想」を提案した。その柱は所得税減税と給付を組み合わせた「就労税額控除」の導入だと表明。現金給付ではなく社会保険料の支払いとして充てることで年金保険料未納問題の解決、ひいては将来的に生活保護に陥る人々をなくしていくことにつながると説明し、安倍総理に見解を求めた。安倍総理は、「これを検討するに当たっては、生活保護制度など、同様の政策目的を持つ制度との関係を整理することが必要で、慎重な検討が必要」と答えるにとどまった。

蓮舫代表


「人への投資」が日本の未来を
切り開くことにつながる

 蓮舫代表は、「アベノミクスを一度立ち止まり、民進党の提案する『人への投資』に大きくかじを切るべき」と指摘し、「安倍政権の4年間でわが国がバラ色になったわけではない。安定した仕事に就けない人、経済的理由で学業を諦める人、将来を確信できない地方の皆さんなど、今の生活に必死で夢や希望を抱けない人がかつてないほどにいる。そうした方々に手を差し伸べるのが政治の役割だ」と訴えた。
 最後に蓮舫代表は、民進党が目指す国のあり方について、「子どもたちの育ちを支え、学びを保障し、雇用の安定を生み出し、シニア世代の安心を作る。人への投資が日本の未来を切り開くことにつながる。株価や為替に一喜一憂するのではなく、あらゆるライフステージにおける確かな安心を民進党は作り上げたいと考える。それが、日本に生まれ、育ち、生きていることに豊かさを実感できる社会へとつながる道だ。『国家』があって『国民』があるのではなく、一人ひとりの『国民』がいて『国家』がある。一人ひとりを大切にする政治を、私たちは今年も進めていく」と、強い決意を表明して質問を終えた。

(民進プレス改題21号 2017年2月3日号より)

民進プレス電子版のお知らせ: