衆院予算委員会で1日、2017年度政府予算3案に関する基本的質疑に小川淳也議員が立ち、文部科学省の再就職等あっせん問題に関する全容解明に向けて質問した。

 天下り問題の解明に関連し、小川議員は17年度予算での天下り先団体への支出額を提示するよう求めた。麻生財務大臣は「天下り法人の定義が不明」などと述べつつも、独立行政法人向け財政支出は2兆8202億円、特殊法人向けが6131億円だとした。この答弁に対して「今一番問題なのは役所のOBが天下りしている公益法人だ」として、ここへの予算の支出額を提出するよう求めた。また、全府省に対する調査の報告時期が明示されていない点を問題視し、予算審議のために一定程度の報告をするよう求めた。「スケジュールありきではない」「調査が徹底して行われ結果が出れば報告する」などとする山本文部科学大臣に「調査の徹底が発表を遅らせる抗弁になってはいけない」と述べ、予算に深く関わる問題であることから、早期に情報を開示するよう重ねて強く求めた。

 小川議員は文科省の問題に関して、天下りのあっせんを行っていた元人事課長のR氏が理事長を務める一般社団法人「文教フォーラム」が、文科省から補助金を受け調査研究活動をしているとされる公益財団法人「文教協会」の分室にあることや、文教フォーラムの年間300万円の家賃を文教協会が負担していたこと、また「文教協会」からの事務員の派遣、電話代の負担などがあったと、この間の国会質疑で垣間見えた実態を列挙。松野大臣に事実関係をただしたが「あったことは確認している。報告を受けているが実態については今後解明していく」などと明言を避けた。

 R氏が顧問として報酬を受け取っていた保険代理店D社に、R氏以前にも文科省OBが再就職していたことについても確認した。松野大臣は、再就職に関する現行制度導入前に1人再就職していたことを答弁。また、文科省の職員団体保険をこのD社に1967年から委託していたことを明らかにした。小川議員は、半世紀以上の付き合いになる文科省とD社との関係について「文科省としてこのD社に何らかの便宜を図っているのではないか」とただしたが、松野大臣は明言を避けた。小川議員は「長年の保険契約を介在した癒着構造のなかに再就職の問題があり、顧問料を払い、その人が遠巻きにあっせんを行っていたという構図・構造が問題。なぜD社1社のみ文科省に自由に出入りできる入館許可証を発行したのか説明責任がある」などと指摘し、事実解明に向け委員会への報告を求めた。

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