衆院予算委員会で2日午前、2017年度政府予算3案に関する基本的質疑が行われ、民進党の1番手として質問に立った階猛議員は、「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、(1)一般国民の人権侵害の危険性(2)今回の法案が定める「テロ等準備罪」「重大な犯罪の合意罪」と従来の共謀罪との異同(3)法案の立法目的(4)捜査方法――等について安倍総理らにただすとともに、民法(債権法)改正問題を取り上げ、個人保証の見直しの必要性を訴えた。

 階議員は現行法をもとに「犯罪の類型と委縮効果」という図表(下)を示して縦軸は委縮効果を表していると説明し、「『話し合って合意する』『集まって話をする』段階で処罰するとなると、自由な会話ができにくくなり、憲法上で言うと表現の自由や知る権利の制約要因になる。集会の自由や結社の自由にも関わる」と指摘。そうした委縮効果や危険の観点から「共謀罪」「陰謀罪」は例外的・補完的なものと考えるべきで、だからこそ現行法では共謀罪は13、陰謀罪は8しか罰則の対象として定められていないと説き、「共謀罪・陰謀罪については例外的・補完的に、他に代替手段がないときに必要最小限度で設けるべき」との基本的な考え方を提起した。安倍総理は「国際組織犯罪防止条約締結要件を満たす」ことと「東京オリンピック開催を控えテロ防止の点で取締法に穴がある」ことの2つの理由で今回の法整備が必要だとあらためて強調した。

犯罪の類型と委縮効果

 「対象となる犯罪の範囲を極力、狭めるべきだ」とする階議員の指摘に、金田法務大臣は「組織的犯罪集団が対象で、一般の人が処罰対象となることはあり得ないことが明確になるスタンスで検討を行っている」と答弁したが、その具体的内容は「今の段階では言えない。法案をしっかり作ったうえで示す」などと明言を避けた。

PDF「衆院予算委員会階猛議員配布資料」衆院予算委員会階猛議員配布資料

安倍総理らに組織犯罪処罰法改正案について質問する階猛議員

安倍総理らに組織犯罪処罰法改正案について質問する階猛議員