羽田雄一郎議員は１５日午前、参院本会議で安倍総理の訪米帰朝報告に対する質疑を行った。
質問に先立ち羽田議員は、「前日の参院議院運営委員会理事会で北朝鮮に対する非難決議を行うことを提案し、野党各党の賛同を得たが、非難決議は行われないことになった。国権の最高機関が明確な意思表示をしないことが、北朝鮮に対して誤ったメッセージとして伝わるのではないかと、危惧している」と問題提起した。
日米首脳会談については、「さまざまな話題で率直な話がなされたと容易に想像できる」としつつも、「日米首脳会談で本当は何があったのかを可能な限りただしていく」と表明。（１）トランプ米国大統領の印象（２）共同声明中の日米安全保障協議委員会の「役割、任務及び能力の見直し」の提案は日米両国どちらの提案か（３）共同記者会見冒頭で発言し、共同文書にも「より大きな役割と責任を果たす」とある点の具体的な内容（４）在日米軍に関するわが国の負担割合の現状を説明したか。トランプ大統領とマティス国防長官のわが国の基地負担に関する認識の違い（５）自動車産業、金融政策、為替操作に関してトランプ大統領の誤認に対する説明をしたか、大統領の認識を変えられたか（６）日米２国間の枠組み交渉にどのような立場で臨むか。またＴＰＰについて既存のイニシアティブを基礎とする地域レベルの進展とは具体的に何を指すか（７）米国のイスラム圏７カ国からの入国制限問題のトランプ大統領の見解について引き出せたか（８）入国制限問題への総理の見解（９）北朝鮮の弾道ミサイル発射問題について日米韓の情報連携は万全か、中国・北朝鮮についてどのような認識を共有したか――等を質問した。
共同声明の「日米同盟」の項目で今回、「日米同盟はアジア太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎である」とあらためて確認されたことは当然である」「尖閣諸島が日米安保条約第５条の適用範囲であることを文書で確認したことは率直に評価する」と述べたうえで、両国首脳が日米安全保障協議委員会、いわゆる２＋２（ツー・プラス・ツー）について「日米両国の各々の『役割、任務及び能力の見直し』を行うよう、その開催を指示した」としていることについては「唐突感が否めない」と指摘し、日米どちらからの提案で、その具体的な内容は何かをただした。安倍総理は、「日米のどちらが提案を行ったかについては外交上のやりとりなので答えは差し控える」と答弁。「安全保障環境の変化に対応して日米の役割、任務および能力を最大限効率的かつ効果的な形とすべく不断の見直しを行っていくことが重要」などと述べるにとどまった。
また共同記者会見の冒頭発言で安倍総理が、「日本も積極的平和主義の旗の下、より大きな役割を果たしていく」と明言したことに関して羽田議員は、具体的にどのような役割と責任を果たすべきと考えているのか確認を安倍総理に求めた。安倍総理は「わが国の安全および国際社会の平和と安定及び反映の確保にこれまで以上に寄与する」などと語るだけで明言を避けた。
在日米軍の駐留経費負担に関してのやりとりに関して、どのような対応がなされたかという質問には、安倍総理は「先般のマティス国防長官の訪日時に引き続き、トランプ大統領との間でも議論はまったくなかった」と答弁した。
羽田議員はまた、自動車、金融政策、為替などをめぐるこれまでのトランプ大統領側からの日本批判などに対して安倍総理からどのように説明したか、トランプ大統領がどのように反応したかを尋ねた。安倍総理は「会談全体を通じてトランプ大統領からの日本への要求はまったくなかった」と述べた。安倍総理からは日本の自動車メーカーの米国内での生産や雇用への貢献に関して説明し、トランプ大統領からは米国内で日本がよい車を生産しているとの評価があったなどと答えた。
米国のＴＰＰ離脱を受けて、今後の日米間２国間の枠組みでの交渉の可能性について羽田議員は総理の基本方針をただした。安倍総理は「日米が主導しアジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくる必要性について一致することができた。米国がすぐさまＴＰＰに対する立場を変えるということではないが、わが国がＴＰＰを推進する意図については理解を得た」と語ったが、２国間ＦＴＡについては「今回、具体的な要請はなかった。今後の日米どのような枠組みが最善かを議論していく」という状況であると語った。
米国のイスラム圏７カ国からの入国制限問題に安倍総理がコメントを避けた問題では、羽田議員は「大統領令は、自由や人権といった米国の持つ価値観を否定しかねない内容であるだけでなく、世界各地で反米感情の高まりを産みかねず、米国にとっても全く利益にならない。同盟国としてわが国は、共生、寛容の重要さを丁寧に説得すべき立場にあり、コメントを避けてはならない」と述べ、安倍総理に態度を改めるよう求めた。
安倍総理訪米報告に対する羽田雄一郎議員質問（予定稿）
安倍総理の訪米帰朝報告に対して質問する羽田雄一郎議員