地方自治体議員フォーラム研修会の8日の全体講演1では、民進党政務調査会長の大串博志衆院議員が通常国会の焦点課題、民進党が目指すものについて講演した。

 通常国会前半では、文部科学省の天下り問題、米国のトランプ政権の通商政策・外交政策への対応、森友学園への国有地売却問題を追及してきたことを紹介し、今後も引き続き取り上げて行くことを表明した。

 北朝鮮によるミサイル発射や核開発は累次の国連決議違反であり、民進党としても強く非難しており、対話と圧力の両輪で対応するが、事態のエスカレーションによる偶発的な衝突を防ぐために、そのバランスに注意しなければいけないと指摘した。

 また、民進党の綱領にもうたわれている「人への投資」について、昨年末に教育無償化を中心に経済政策を取りまとめたことをあらためて報告した。「2014年にはOECDとIMFがそれぞれ、先進国で社会保障や教育・子育て、貧困対策などの分配政策、格差是正に注力した国が経済成長しているという報告書を発表しており、今や格差是正こそ成長につながるというのは経済論壇に広がっている考え方。都市部や大企業に財政を投入し、地方や中小企業におこぼれが行き渡るのを待つというアベノミクスは古い。いま、政治がなすべきことは人口減少への対策であり、民進党の『人への投資』は経済政策として最先端の議論に則った正しい政策だ」と強調した。

 政府提出の「テロ等準備罪法案」については、今まで3回廃案になった共謀罪法案とほとんど内容が変わっておらず、組織的犯罪集団でない一般の集団でも捜査の対象となること、合意したことが犯罪となることから心の中を監視する監視社会になる恐れ等があることから認められないと説明した。

 連休中に安倍総理が突如として憲法改正の2020年施行を目指すと表明したことについて、憲法は国民のものであり、総理が憲法改正の旗を振るのはおかしいと批判した。

 講演の後、参加者から教育の無償化の所要額や財源、受益者負担の原理に適うか、既に貸与された奨学金返済の軽減策等の質問があったのに対し、大串政調会長は、「幼児教育から大学・大学院までの無償化を行った場合、最大限5兆円くらいかかるのではないかと試算している。財源としては、所得税の配偶者控除等の見直し、金融所得税・資産課税等の見直し、消費税率の8%から10%への引き上げ分のうち税率1%分などを想定している。とくに大学については一気に無償化するのではなく、学費の大幅減免や奨学金の充実から段階的に実施していくので、当面は消費税率1%分の約3兆円でかなり賄えるのではないか。具体的な内容については、さらに検討していく」と説明した。